研究会「2018年確率論早春セミナー」
- 日時:2018年3月5日(月)9:40〜3月6日(火)17:00(講演終了は15:10)
- 会場:神戸大学理学部(交通案内と周辺地図)
- 3月5日:神戸大学理学部Y棟2階Y201号室(Y201号室はB棟入口脇にある階段を2階に上がり,
その脇の廊下の十字路左方向の扉からB棟の外に出てすぐのところにあります.)
- 3月6日:神戸大学理学部B棟4階B428〜430号室(B428〜430号室はB棟4階の最奥右の部屋です.)
- 世話人:梶野 直孝(神戸大学)
講演予定者
- 特別講演:
星野 壮登 氏(早稲田大学)
中島 誠 氏(名古屋大学)
永沼 伸顕 氏(大阪大学)
- 一般講演:
山本 航平 氏(東北大学)
須田 颯 氏(東京大学)
中村 ちから 氏(京都大学)
浜口 雄史 氏(京都大学)
村山 拓也 氏(京都大学)
森 隆大 氏(京都大学)
高畠 哲也 氏(大阪大学)
福田 光 氏(大阪大学)
長田 翔太 氏(九州大学)
プログラム
2018年3月5日(月)
- 9:40〜10:30 須田 颯 氏(東京大学)
磁場中の確率調和振動子鎖モデルにおける熱の異常拡散について
- 10:40〜11:40 中島 誠 氏(名古屋大学)(特別講演)
ランダム媒質中のディレクティドポリマー
- 11:50〜12:40 山本 航平 氏(東北大学)
-
直積グラフ上のパーコレーション
(昼食休憩60分)
- 13:40〜14:40 永沼 伸顕 氏(大阪大学)(特別講演)
4次モーメント定理とその確率微分方程式の解の近似理論への応用
- 14:50〜15:40 浜口 雄史 氏(京都大学)
Large financial marketにおける無裁定理論
- 16:00〜16:50 福田 光 氏(大阪大学)
高頻度観測の下での安定過程モデルの局所漸近正規性
- 17:00〜17:50 高畠 哲也 氏(大阪大学)
非整数ボラティリティモデルに対する統計的推測
3月6日(火)
- 9:20〜10:20 星野 壮登 氏(早稲田大学)(特別講演)
特異な確率偏微分方程式に関する二つの理論とその同値性
- 10:30〜11:20 長田 翔太 氏(九州大学)
連続行列式点過程のベルヌイ性
- 11:30〜12:20 村山 拓也 氏(京都大学)
Characterization of the explosion time for the Komatu-Loewner evolution
(昼食休憩60分)
- 13:20〜14:10 森 隆大 氏(京都大学)
Large Deviations for Intersection Measures of Some Markov Processes
- 14:20〜15:10 中村 ちから 氏(京都大学)
優臨界 Voronoi パーコレーションの臨界確率について
- 15:20〜17:00 自由討論
講演題目とアブストラクト
- 須田 颯 氏(東京大学)
磁場中の確率調和振動子鎖モデルにおける熱の異常拡散について
アブストラクト
- 中島 誠 氏(名古屋大学)
ランダム媒質中のディレクティドポリマー
ランダム媒質中のディレクティドポリマー (directed polymers in random environment, DPRE)
は1985年に物理学者のHuse, Henleyらによって導入された統計力学模型で, 不純物が混じっ
た溶媒中で成長する高分子を記述する. この不純物により受ける影響を解析することが
DPREの研究の中心である. 一方で空間次元が1次元のDPREはKPZ普遍性と呼ばれる性質
があると予想されており, 特別な場合に関してはその予想が肯定的に解決されている.
この講演ではDPREの基本的な性質の解説を行い, 1次元DPREと確率熱方程式との関連を
紹介する.
- 山本 航平 氏(東北大学)
直積グラフ上のパーコレーション
本公演ではグラフ上のパーコレション、とりわけ直積グラフ上における無限クラスター
の分布について話をする。
- 永沼 伸顕 氏(大阪大学)
4次モーメント定理とその確率微分方程式の解の近似理論への応用
4次モーメント定理(Peccati-Nualart (2005))とは,ある次数のWienerカオスに属する確率変
数列の正規分布への法則収束を2次と4次のモーメントの収束で特徴付ける定理である.
本定理の有用性はモーメント法と比較するとよく分かる.モーメント法では,確率変数
列のすべての次数のモーメントの収束から法則収束を保証するが,4次モーメント定理は
たったふたつのモーメントの収束から法則収束を保証している.本講演では,このよう
な有用性,簡便性をもつ4次モーメント定理の証明や関連する未解決問題を紹介する.
また,非整数Brwon運動により駆動される確率微分方程式の解の近似理論への応用に
ついても紹介する.
- 浜口 雄史 氏(京都大学)
Large financial marketにおける無裁定理論
アブストラクト
- 福田 光 氏(大阪大学)
高頻度観測の下での安定過程モデルの局所漸近正規性
局所漸近正規(LAN)である統計的実験の列は、漸近ミニマックス定理より推定量の漸近
分散下限が導かれる。そのためLAN性の理論は推定量の最適性を論じる際の強力な枠組み
を与える。高頻度観測の下での安定過程モデルについては、弱いLAN性が示されている。
本講演では、レート行列として推定されるパラメータ依存の非対角行列を用いることで
LAN性が示されることを解説し、推定量の漸近分散下限を与えるレート行列を紹介する。
なお、本講演は深澤正彰氏(大阪大学)との共同研究に基づく。
- 高畠 哲也 氏(大阪大学)
非整数ボラティリティモデルに対する統計的推測
近年数理ファイナンスの分野において、金融データの特徴をより正確に表現・予測する
対数価格モデルとして、非整数ボラティリティモデルが提案されている。本講演では、
非整数ボラティリティモデルの二次変動に基づき、潜在変数であるボラティリティの
変動の激しさと大きさを推定する問題を考察し、得られた研究成果について報告する。
- 星野 壮登 氏(早稲田大学)
特異な確率偏微分方程式に関する二つの理論とその同値性
KPZ方程式や放物型Andersonモデルなどの「繰り込み」を必要とする確率偏微分方程式
は、近年登場した二つの理論によって初めて統一的に扱われるようになった。一つは
Hairerによる正則性構造理論で、もう一つはGubinelli、Imkeller、Perkowskiによるパラ
コントロール解析である。二つの理論はそれぞれ独立したものだが、ほぼ同じ結果を
導くことができる。本講演ではこれらの理論の概略と、それぞれの長所と短所を
述べる。また現在私が行っている、二つの理論の同値性に関する研究も紹介する。
- 長田 翔太 氏(九州大学)
連続行列式点過程のベルヌイ性
アブストラクト
- 村山 拓也 氏(京都大学)
Characterization of the explosion time for the Komatu-Loewner evolution
Loewner方程式は複素函数論において単連結領域上の単葉函数族の極値問題に応用されて
きた.近年の確率論においては2次元のランダム増大集合を記述する確率的
Loewner発展
(SLE)理論の基礎ともなっている.Komatu-Loewner方程式はこのLoewner方程式を多重
連結領域へ拡張したものである.截線(スリット)領域における具体的な表式はBauer-
Friedrich (2008)により得られ,後にLawler (2006), Chen-Fukushima-Rohde (2016)らにより
確率論的な導出が与えられた.本講演では截線に対するKomatu-Loewner方程式の爆発
時間,すなわち,方程式の生成するKomatu-Loewner発展のそれについて,Bauerらの
論文に基づいた一つの特徴付けを与える.同時に,多重連結領域へSLEを拡張する
Lawlerの試みに対して,我々の手法が応用可能なことも説明する.
- 森 隆大 氏(京都大学)
Large Deviations for Intersection Measures of Some Markov Processes
p個の独立なd次元ブラウン運動に対し,交差測度と呼ばれるユークリッド空間上のランダ
ム測度が定義できる.これは形式的にはブラウン運動の時刻tまでの軌跡の共通部分に対
する滞在時間と捉えられる.KoenigとMukherjeeは2013年に滑らかな境界を持つ領域から
脱出するまでのブラウン運動に対する交差測度について,時刻無限大での大偏差原理を
証明した.講演者はディリクレ形式を利用することでこの結果を一般の測度距離空間上
の確率過程に拡張した.本講演ではこの結果を解説し,いくつかの具体例を紹介する.
- 中村 ちから 氏(京都大学)
優臨界 Voronoi パーコレーションの臨界確率について
連続パーコレーションの一つのモデルである Voronoi パーコレーションについて、その
臨界確率に関する一性質について説明する。
Naotaka Kajino
Department of Mathematics,
Graduate School of Science,
Kobe University,
Rokkodai-cho 1-1, Nada-ku, 657-8501 Kobe, Japan
Office: Faculty of Science Building B, Room B426
Tel: +81-78-803-5616
Fax: +81-78-803-5610
E-mail: nkajino ``at" math.kobe-u.ac.jp