伊藤清名誉教授文化勲章受章
2008年10月28日

伊藤清名誉教授「文化勲章受章のお知らせを受けて」
このたび文化勲章受章者の一人に選ばれましたことを、
数学者として誠に光栄に存じます。
数学はあらゆる自然科学の基礎であり、 宇宙の現象を厳密で美しい表現で記述するための言語であります。 宇宙の中の小さな星、私たち人類の唯一の故郷である地球、 その上で営まれる人間社会に関する社会科学も、 この意味において自然科学であり、 数学の厳密で美しい表現が社会科学の分野にまで応用を見出したことは喜ばしいことであります。 しかし、抽象的な数学の世界の方程式が、 自然と人間の関わる現実世界に応用される時には、 数学だけを研究してきた私などには測りきれない問題があるように思えてなりません。 確率解析やその応用分野がより一層の発展を遂げることを期待するとともに、 現実世界への応用にあたっては、多様で広範な分野の専門家の方々が、 その高い知力と技術を結集して、 地球社会の調和ある共存に寄与する場を見出されることを願っています。 願わくは国連などの機関が、 この予測不能な時代の危機に対応する力のある組織として、 より良く機能する日が近いことを祈りつつ、栄えある受章の喜びを多くの知人、 友人、家族と分かち合いたいと思います。 (伊藤清) |
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