数学入門公開講座

TOP > 一般の方へ > 数学入門公開講座

令和5年度 第44回数学入門公開講座

今年度の公開講座は終了致しました。公開講座テキスト全文を公開します。

令和5年7月31日-8月3日(第44回) 演題及び講師


ヒッチン方程式とその周辺
教授・望月 拓郎

ヒッチン方程式はリーマン面上で定義される非線形な微分方程式です。もともとは物理学で重要なヤン - ミルズ方程式を簡単にしたものとして導入されたのですが、むしろ数学的に興味深い方程式であり、微分幾 何・代数幾何・トポロジーなど様々な分野を結びつける役割を果たし、その影響は代数解析や数論といった かなり離れた分野にまで及んでいます。この講座では、ヒッチン方程式に関連する数学的対象について説明 し、ヒッチン方程式に触発されて発展した研究の一端を紹介する予定です。また、ヒッチン方程式を例とし て、非線形微分方程式の解析の難しさと面白さなどについても触れたいと考えています。

二重指数関数型数値積分公式の理論と発展 
助教・大浦 拓哉

二重指数関数型数値積分公式(DE 公式)は高橋秀俊・森正武により1974年に提案された定積分の値を数 値的に求める手法です。現在この DE 公式は様々な数学ソフトウェアに組み込まれており、理工系の分野で 広く利用されています。DE 公式の特徴は計算できる定積分の範囲が広いことから広義積分の計算にも適用 可能であること、また計算精度が任意にコントロールできるということです。古典的な数値積分公式にはな いこれらの優れた特徴はコンピュータへの実装を容易にし、この公式を実用性に優れたものにしています。本 講義では、まず DE 公式の理論を解説し、その公式の普及と発展・応用についてご紹介したいと思います。

スライド: 1  2  3  4

代数トポロジーと物理学
特任准教授・山下 真由子

幾何学・トポロジーにおいて、図形や多様体などの幾何学的対象を分類するというのは基本的な問題であ り、代数トポロジーとは、幾何学的対象の情報を扱いやすい代数的な情報に落として不変量を得る枠組みと いえます。このように純粋数学的な問題意識から発展してきた代数トポロジーの手法が、近年物理学に応用 できることが明らかにされ、注目を集めています。本講義では、代数トポロジーを物理学の分類問題に応用 する基本的なアイデアを、物性物理学や素粒子物理学に現れる例に基づいて解説します。

講演映像: 1日目  2日目  3日目  4日目

◇特別講演◇


人流データの複雑ネットワーク分析とその応用
東北大学大学院情報科学研究科・藤原 直哉 准教授

人流データと呼ばれる、人々の移動に関するデータが近年利用可能となっており、様々な場面で応用され ています。人流データはいわゆるビッグデータの一種ですが、このような巨大なデータを取り扱う数理的な 手法が必要となっています。人流は地点間の関係を表すので地理空間におけるネットワークとして捉えるこ とが可能です。本講演では、複雑ネットワークに関する近年の発展について解説するとともに、応用例とし て、ネットワーク上における感染症の数理モデルを導入し、人流データを用いたネットワークにおける感染 症伝播に関する話題を紹介します。

バックナンバー
(講義ノート)

← BACK TO THE TOP

← BACK TO THE TOP

  • Follow on

Research Institute for Mathematical Sciences (RIMS)