談話会/Colloquium

Title

確率過程と統計的漸近推測論

Date

2016年1月6日(水) 15:30〜16:30    (16:30より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)

Speaker

清水 泰隆 (Yasutaka Shimizu)氏 (早稲田大・理工)

Abstract

 統計学における最も基本的な問題は,分布の未知母数を観測されるデータから推定することである.このとき,データ数が大きくなるほどその推定の「確かさ」が向上することが要求される.これに数理的な正当性を与えるのが数理統計学であり,その方法論として最も基本的なものが最尤推定法である.古典的な(IIDの)統計学では,「確かさ」の度合いとして(対数)尤度が用いられるが,例えば連続的に時間発展する確率過程の場合,そのデータの取られ方によっては,尤度が陽に求まらず基本的な最尤法すら利用できなくなる.このような場合,擬似的な尤度を構成し,それを元にある種の漸近理論(大標本理論)を展開することによって,推定の正当性を主張することができる.本講演では,古典的なIID統計学の復習から入り,M-推定(Z-推定)などの一般的な大標本理論を概観した後,それらの保険・ファイナンスへの応用について紹介する.

Comment 同日 17:00-18:00 逆井 卓也 (Takuya Sakasai)氏の講演があります。

Title

自由群の外部自己同型群の有理コホモロジーについて

Date

2016年1月6日(水) 17:00〜18:00    (16:30より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)

Speaker

逆井 卓也 (Takuya Sakasai)氏 (東大・数理)

Abstract

 自由群の(外部)自己同型群は組み合わせ群論における基本的対象として長い研究の歴史を持つ.その中で,Culler と Vogtmann によってouter space と呼ばれる空間が導入され,この群の研究はより幾何学的色彩を深めるとともに,Kontsevich の理論を通じてグラフホモロジーや形式的シンプレクティック幾何学との関連を持つようになった.本講演では,自由群の外部自己同型群の有理コホモロジーについて,森田茂之氏,鈴木正明氏(明治大学)との共同研究で得られた計算結果や最近の進展について紹介する.

Comment 同日 15:30-16:30 清水 泰隆 (Yasutaka Shimizu)氏の講演があります。

大談話会


Title

非障害的ワインシュタイン圏とラグランジュ部分多様体のフレアー理論

Date

2015年12月16日(水) 15:20〜16:20

Place

京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)

Speaker

深谷 賢治 (Kenji Fukaya)氏 (ストーニーブルック大・サイモンズセンター)

Abstract

 シンプレクテシック多様体に対して,ラグランジュ部分多様体のフレアー理論に基づくA無限大圏(深谷圏)を対応させる対応を,函手的に構成する試みが,いろいろ行われてきた.これを,全てのコンパクトなシンプレクテシック多様体を対象とする圏からA無限大圏全体のなす圏への函手として,一般に構成することができるようになったので,その説明をしたい. シンプレクテシック多様体の圏を考える場合,射としては,直積のラグランジュ部分多様体をとるワインシュタインの提案が有力である.これを若干変更し,赤穂-JoyceによるFOOOの障害理論のラグランジュはめ込みへの一般化をもとに,Biran-Corneaによるラグランジュ同境も用いて,非障害的なはめ込まれたラグランジュ部分多様体の同境類を射としてとると,求める函手が構成できる.談話会のある週に行う予定の集中講義での,境界付き3次元多様体のゲージ理論とは,実は密接に関係があるが,談話会は,それとは独立で,ゲージ理論との関係は注意程度にとどめる.

Comment 16:20-17:00 109号室にて Tea Break

大談話会


Title

Morava E理論におけるべき作用素の比較

Date

2015年12月16日(水) 17:00〜18:00

Place

京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)

Speaker

鳥居 猛 (Takeshi Torii)氏 (岡山大・自然科学)

Abstract

 安定ホモトピー圏を調べる上で局所化は基本的であり、Morava K理論で局所化した安定ホモトピー圏は(大域的な)安定ホモトピー圏の基本構成単位と考えられる。Morava K理論で局所化した安定ホモトピー圏を調べる上で基本的な道具がMorava E理論である。Morava E理論は複素K理論の一般化であり、Morava E理論にはAdams作用素の一般化としてべき作用素が定義される。この講演では、異なる高さをもつMorava E理論のべき作用素の比較について考えます。

Comment 16:20-17:00 109号室にて Tea Break

Title

有限多重ゼータ値
(Finite multiple zeta values)

Date

2015年12月9日(水) 16:30〜17:30    (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)

Speaker

金子 昌信 (Masanobu Kaneko)氏 (九州大・数理)

Abstract

 通常の実数世界での多重ゼータ値の,二つの「有限」類似について述べる.これら二つの間の関係を予想として定式化し,予想を支持するような結果を紹介する.これは Don Zagier 氏との共同研究である.
 We discuss two very different “finite” versions of the classical multiple zeta values. After giving some basics, we present a conjectural isomorphism of the two rings of finite multiple zeta values and give some results which support our conjecture. This is a joint work with Don Zagier.

Comment

Title

Morrey空間の複素補間について

Date

2015年12月2日(水) 15:30〜16:30    (15:00より105談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)

Speaker

澤野 嘉宏 (Yoshihiro Sawano)氏 (首都大学東京・理工)

Abstract

 複素補間とは大まかにいうと3線定理を用いて与えられた二つのバナッハ 空間から新しいバナッハ空間を得る操作をいう.これにより例えば,L1有界性とL有界性からLp有界性が従うことはよく知られているが,この背景には1964年のカルデロンの第一複素補間がある.1964年にはカルデロンの第二複素補間も定義されていたが,ルベーグ空間に対してはこれらは同一の結果を出すので第二複素補間は忘れ去られていた.しかし,モレー空間では第一複素補間ではなく第二複素補間を用いないといけないことがLumarie-Rieussetにより示された.本講演、我々が得た二つの補間の違いに関する結果を説明したい.なお、本研究は首都大学東京のDenny Ivanal Hakim氏との共同研究である.

Comment 同日 16:45-17:45 芥川 和雄 (Kazuo Akutagawa)氏の講演があります。

Title

エッジ・コーン アインシュタイン計量と山辺不変量

Date

2015年12月2日(水) 16:45〜17:45    (15:00より105談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)

Speaker

芥川 和雄 (Kazuo Akutagawa)氏 (東工大・理工)

Abstract

 先ず iterated edge 空間などの特異空間上の山辺の問題を解説する.特異空間上の山辺の問題やその山辺定数の研究は,滑らかな閉多様体 M 上でのそれらの研究の単なる一般化ではなく,M 自身の山辺不変量の研究においても重要であることが最近分かってきた.後半は,この最近の発展(edge-cone Einstein 計量の山辺定数など)を解説する.

Comment 同日 15:30-16:30 澤野 嘉宏 (Yoshihiro Sawano)氏の講演があります。

Title

ユニタリー群のある非消滅周期積分を持つ保型形式について
(Distinguished automorphic spectrum of unitary groups)

Date

2015年11月18日(水) 16:30〜17:30    (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)

Speaker

都築 正男 (Masao Tsuzuki)氏 (上智大・理工)

Abstract

 総実代数体上定義される階数1のユニタリー群のカスプ的保型表現であって、一つ小さな行列サイズを持つ特別な部分ユニタリー群のアデール軌道に沿った積分(周期積分)がゼロでないような保型形式が表現空間に含まれるようなものを考える。このようなクラスの保型表現はユニタリー群の定義に使ったCM体上のGL(2)保型表現と対応することが期待される。この対応の関連した2つの群の相対跡公式の比較による構成と、その副産物として得られる保型形式の周期の間に成立する関係式に関してお話ししたい。

Comment

Title

5階の分散型方程式の局所適切性と放物型平滑化効果

Date

2015年11月11日(水) 16:30〜17:30    (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)

Speaker

津川 光太郎 (Kotaro Tsugawa)氏 (名大・多元数理)

Abstract

 本講演では,5階の非線形分散型方程式の周期境界条件下での初期値問題を考える.非線形項がある条件を満たすとき,これを摂動として扱う事が出来て,正および負の時間方向に対して局所適切性が成り立つことを示す.これは分散型方程式に対する典型的な結果である.また,その条件を満たさないとき,正または負の時間方向にのみ平滑化効果を持つ解が存在し,逆の方向には非適切であることを示す.これは放物型方程式が持つ特徴である.半線形分散型方程式であるにも関わらずこのような結果が得られるのは,非線形項による影響が支配的となるためである.

Comment

Title

微分方程式の構造保存数値解法とその高速化

Date

2015年11月4日(水) 16:30〜17:30    (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)

Speaker

降籏 大介 (Daisuke Furihata)氏 (阪大・サイバーメディアセンター)

Abstract

 微分方程式の数値解析において、その厳密解がもつ数学的な性質の一部を数値解においても再現することを「その数値解法が構造保存性を持っている」といい、こうした計算法を構造保存数数値解法という.実際に保存しようとする性質は系のエネルギーやシンプレクティック性などいろいろであるが、 その多くは系の変分構造などに基づく数学的な背景を持ち、数値解の数学的な素性の良さを得ることを狙いとしているとみてよい.そしてこの素性の良さが数値解の安定性や精度の「良さ」に繋がることがしばしば見いだされる.こうしたことから、今日、構造保存数値解法は微分方程式の数値解法の研究者の間で広く研究対象となっているが、構造保存性と引き換えの欠点も存在する.それは構造保存数値解法はしばしば「計算量が比較的大きい」という問題である.こうした状況に対して、偏微分方程式に対する構造保存数値解法の一つである離散変分導関数法をもとに、具体的な問題点とその技術的、本質的な解決についての議論を紹介する.

Comment

Title

ランダム複素多項式力学系におけるランダム性誘起現象とリアプノフ指数の負値性 (Randomness-induced phenomena and negativity of generic random dynamical systems of complex polynomials)

Date

2015年10月28日(水) 16:30〜17:30    (16:00より105談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)

Speaker

角 大輝 (Hiroki Sumi)氏 (阪大・理)

Abstract

 リーマン球面上における次数2以上の有理写像の反復合成による通常の複素力学系においては、そのジュリア集合のところで必ずカオス性があり、リアプノフ指数が正となる初期点の集合のハウスドルフ次元は正である。これに対して、本講演では、大概の独立同分布ランダム複素多項式力学系において、高々可算個の点を除く初期点において、ほとんどすべての列に対するリアプノフ指数は負となり、平均化システムのカオス性が通常の複素力学系より著しく弱くなり、ある種の秩序を形成することを示す。このように、近年、ランダム力学系では通常の力学系では起きないような、新しい現象が多く観察されるようになってきており、それらをランダム性誘起現象とよぶ。そのメカニズムや背景などを述べる。
 We consider random dynamical systems of complex polynomial maps on the Riemann sphere. In the usual iteration dynamical system of a single rational map of degree two or more, we have a kind of chaos in the Julia set and the Hausdorff dimension of the set of initial values whose Lyapunov exponent is negative, is positive. However, in this talk, we show that for a generic random dynamical systems of complex polynomials, for all but countable initial values $z$, for almost every sequence of polynomials, the Lyapunov exponent is negative and the chaoticity of the averaged system is much weaker than usual iteration dynamical system. There are many new phenomena in random dynamical systems which cannot hold in the usual iteration dynamical systems. We call such phenomena "randomness-induced phenomena". We investigate the mechanisms and background of these phenomena.

Comment

Title

"The Hole Story": how to solve problems in multiply connected domains

Date

2015年10月21日(水) 16:30〜17:30    (16:00より105談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)

Speaker

Darren Crowdy 氏 (Imperial College London)

Abstract

 This talk will survey recent developments in providing novel constructive methods for the solution of boundary value problems in multiply connected, or "holey", planar domains. All the investigations are driven by problems arising in applications and examples will be given. Two distinct mathematical approaches will be described: one based on special function theory, and another centred around generalized transform methods. The setting for the special function theory approach tackles the problems on a compact Riemann surface naturally associated to any planar multiply connected domain known as the Schottky double, and makes use of the Schottky-Klein prime function associated therewith. On the other hand, our new transform approach for multiply connected domains generalizes and combines classical transform ideas of Fourier and Mellin with more recent developments pioneered by A. S. Fokas and collaborators.

Comment

Title

粘性Hamilton-Jacobi方程式の一般化主固有値と確率最適制御
(The generalized principal eigenvalue for viscous Hamilton-Jacobi equations and stochastic optimal control)

Date

2015年10月14日(水) 16:30〜17:30    (16:00より105談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)

Speaker

市原 直幸 (Naoyuki Ichihara)氏 (青山学院大・理工)

Abstract

 本講演では,古典的な変分問題の確率版である確率的変分問題に関して,講演者により最近得られた結果の一部を紹介する。確率的変分問題は確率最適制御問題の一種とみなすことができ,Bellmanの動的計画原理を通して粘性Hamilton-Jacobi方程式と呼ばれる偏微分方程式と密接に関係する。本講演では,粘性Hamilton-Jacobi方程式の一般化主固有値を用いた最適軌道の(再帰性などに関する)特徴付けを与える。

Comment

Title

軸対称ナヴィエ・ストークス流の正則性について
(On regularity of axially symmetric Navier-Stokes flows)

Date

2015年10月7日(水) 16:30〜17:30    (16:00より105談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)

Speaker

阿部 健 (Ken Abe)氏 (京大・理)

Abstract

 3次元非定常ナヴィエ・ストークス方程式の特殊解として軸対称流がある. 軸対称流は速度場の旋回成分がない場合渦伸長が消え, 滑らかになることが知られている.旋回成分がある場合解が滑らかかは一般に不明であるが,タイプI条件のもとでは爆発が起こらないことが証明されている.講演では初期値問題について説明し, その後外部問題について最近の結果を述べる.

Comment

Title

ホログラフィー原理を通した量子情報の幾何学化
(Geometry of Quantum Information via Holographic Principle)

Date

2015年7月15日(水) 16:30〜17:30    (16:00より105談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)

Speaker

高柳 匡 (Tadashi Takayanagi)氏 (京大・基礎研)

Abstract

 理論物理学において重力理論(一般相対性理論)と電磁気学的な理論(ゲージ理論)は、互いに異なる性質を持つ別々な理論であるように一見思われがちであるが、超弦理論においては両者は同一のルーツを持ち、統合されることが分かる。その端的な例がゲージ重力対応(AdS/CFT対応)やその一般化に相当するホログラフィー原理である。このホログラフィー原理は、重力理論は、実はそれよりも一次元低い空間における量子多体系(重力を含まない他自由度の量子系)と等価になることが予想される。さらに、この対応関係において、量子系の情報(量子情報)は、曲がった空間の幾何学的な情報と等価であることが分かる。例えば、共形場理論(CFT)と呼ばれる量子系において、量子情報量を表すエンタングルメント・エントロピーは双曲空間における極小曲面と等しくなることが示せる。この考え方をさらに発展させると、重力理論の時空間自体が、量子エンタングルメントという量子論特有の相関現象の集合体として解釈できることが予想される。本講演では、この最近活発に研究が行われているトピックに関して解説したい。

Comment

Title

微生物の流体力学と生殖生物学への応用
(Hydrodynamics of swimming microorganisms and its application to biology of reproduction)

Date

2015年7月8日(水) 16:30〜17:30    (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)

Speaker

石本 健太 (Kenta Ishimoto)氏 (京大・数理研)

Abstract

 生物の遊泳運動を流体力学の視点から理解しようとする試みは半世紀以上前から行われてきたが,近年の観測・計測技術や計算機等の発達に伴い急速に進展している.特に,微生物の運動に関しては,流体方程式の性質から生物遊泳への制限が強く現れる.講演の前半では,その制限を印象的に表現している帆立貝定理を中心に微生物スケールの流体力学を概観する.後半では,生殖生物学への応用に関する最近の研究を紹介し,生物学への数理科学的アプローチの試みについてお話ししたい.

Comment

Title

Chern-Simons摂動論とその周辺の不変量
(On invariants related to the Chern-Simons perturbation theory)

Date

2015年7月1日(水) 16:30〜17:30    (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)

Speaker

清水 達郎 (Tatsuro Shimizu)氏 (京大・数理研)

Abstract

 WittenはChern-Simons量子場の理論の分配関数が、3次元多様体の位相不変量を与えることを提唱した.分配関数はそのままでは数学的に正当化されない.KontsevichとAxelrod,Singerは分配関数の摂動展開を行い,Chern-Simons摂動論を構築した.Chern-Simons摂動論は閉有向3次元多様体とその上の非輪状な局所系の組に対する不変量を与える.Chern-Simons摂動論は自明な局所系(非輪状ではない)に対する変種や,これに触発されたいくつかの不変量が存在する.しかし,自明な局所系の場合を除いて,その性質はほとんど理解されていない.本講演の前半ではChern-Simons摂動論を取り巻くこのような現状を概観する.
後半ではより具体的に2つの話題について講演者の最近の研究を紹介する:
1)具体的な計算例…局所系が複素1次元表現に対応する場合に,Chern-Simons摂動論(の変種)のいくつかの計算例を示す.
2)Morse homotopyによるChern-Simons摂動論の記述の可能性…深谷賢治氏はMorse homotopyによるChern-Simons摂動論の類似物の構成のアイデアを与えた.この構成は自明な接続に対しては成功している.Morse homotopyを用いて局所系のChern-Simons摂動論を記述するには3次元多様体と局所系にある条件が要請されることを示す.

Comment

Title

楽器シミュレーションにおける数理
(Mathematics in Simulations of Musical Instruments)

Date

2015年6月24日(水) 15:00〜16:00    (16:00より105談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科3号館127大会議室
(Rm127, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)

Speaker

谷口 隆晴 (Takaharu Yaguchi)氏 (神戸大・システム情報学)

Abstract

 近年,次世代の楽音合成技術として,偏微分方程式による楽器のモデルを直接数値計算する方法が注目されている.偏微分方程式モデルのパラメータは物理的な意味付けが明確であるため,値の推定の精度が上がり,従来から用いられている信号処理による方法と比較して,より現実に近い音が合成できると期待されている.このような研究は始まったばかりであり,数理的に興味深い課題が数多く残されている.本講演では,ピアノのシミュレーションに関する話題を中心に,最近の研究や解決するべき課題などについて紹介する.
 Much attention has recently been paid to musical sound synthesis using partial differential equation models. Compared to the conventional signal-processing approach, the parameters in the PDE models have physical interpretation. This enables appropriate parameter fitting and the design of more realistic models. The research on this approach is still at the beginning and there remain many interesting mathematical problems. In this talk, recent developments on piano simulations are exemplarily presented. Some mathematical challenges are also shown.

Comment 同日 16:30-17:30 大橋 久範 (Hisanori Ohashi)氏の講演があります。

Title

エンリケス曲面の自己同型について
(On automorphisms of Enriques surfaces)

Date

2015年6月24日(水) 16:30〜17:30    (16:00より105談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科3号館127大会議室
(Rm127, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)

Speaker

大橋 久範 (Hisanori Ohashi)氏 (東京理科大・理工)

Abstract

 エンリケス曲面の自己同型の研究は80年代に遡りBarth-Peters, Dolgachev, Kondo, Mukai-Namikawaらにより興味深い現象が挙げられていたが、K3曲面においてNikulinが行ったような有限自己同型群の一般論という形では今まで論じられてこなかった。談話会では、エンリケス曲面の位置づけから始めてK3曲面と対比しながらsemi-symplectic, non-semi-symplectic自己同型やMathieu型自己同型群の分類について最近の結果を紹介したい。

Comment 同日 15:00-16:00 谷口 隆晴 (Takaharu Yaguchi)氏の講演があります。

大談話会


Title

コンピュータは数学者になれるのか?
(Can a computer be a mathematician?)

Date

2015年6月17日(水) 15:00〜16:00

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 420 号室
(Rm420, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)

Speaker

照井 一成 (Kazushige Terui)氏 (京大・数理研)

Abstract

 数学におけるコンピュータの使用は、数式処理や数値計算といった「計算」の範囲内では一定の成功を収めている。一方で「証明」の自動化は未だ覚束ないし、「予想」や「理論構築」に至っては夢のまた夢である。また、「教育」分野でコンピュータがどの程度の役割を果たしうるかは、職業数学者にとって大いに興味のあるところであろう。
 本発表では、数学活動の中でも特に「証明」に焦点をあて、コンピュータによる自動定理証明の可能性について問題提起する。依って立つのは数学基礎論における「証明論」、およびコンピュータ科学における「型理論(証明とプログラムの理論)」である。不完全性定理やP≠NP予想によりコンピュータによる数学の限界が示唆される現状で、あえて突破口を見出すとしたらそれは一体どこにあるのか?近年における証明支援系(対話型定理証明システム)の発展と絡めて論じる予定である。

Comment 16:00-16:30 110号室にて Tea Break

大談話会


Title

Geometry of contracting geodesics

Date

2015年6月17日(水) 16:30〜17:30

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 420 号室
(Rm420, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)

Speaker

藤原 耕二 (Koji Fujiwara)氏 (京大・理)

Abstract

 双曲幾何は離散群の研究で重要な役割を果たしてきた。最近、大域的には双曲的でないが、局所的には双曲的な振る舞いをする場合にも、応用範囲が広がっている。例として、タイヒミュラー空間と写像類群がある。講演では、離散群における双曲性について述べた後、Bestvina-Brombergとの共同研究に基づいて、局所的な双曲性の公理化について述べる。

Comment 16:00-16:30 110号室にて Tea Break

Title

The Fourier Transform and the Calculus of Residues

Date

2015年6月10日(水) 16:30〜17:30    (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)

Speaker

Machiel van Frankenhuijsen 氏 (京大・数理研 & Utah Valley University)

Abstract

 The introduction of Fourier analysis in number theory dates back to Tate's thesis and at the time greatly clarified the functional equation of L-series. For global function fields, the local characters seem to be given by a residue. Lifting to characteristic zero, we will see that this is indeed the case. Back to number theory, we will give some speculations how the characters, as originally defined by Tate in an ad hoc manner, could be viewed as residues as well.

Comment

Title

Periods of residual automorphic forms

Date

2015年6月3日(水) 16:30〜17:30    (16:00より105談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)

Speaker

山名 俊介 (Shunsuke Yamana)氏 (京大・理)

Abstract

 保型形式のその定義されている群の適当な部分群上の積分は周期と呼ばれる。周期とL 函数の関係がいろいろな場合に確認されているが、これまでの殆どの研究では尖点的保型形式の周期のみが考えられて来た。本講演では、尖点的でない保型形式の周期について議論する。尖点的でない平方可積分な保型形式はアイゼンシュタイン級数の留数として得 られ、留数的保型形式と呼ばれる。下記の群とその部分群について周期が0にならない留数的保型形式が分類される: (GL(n+1)XGL(n), GL(n))、(GL(n,E), GL(n,F))、(GL(n)XˆGL(n)XˆGL(n), GL(n))。ここで、EはFの二次拡大、ˆGL(n)はGL(n)の二重被覆である。

Comment

Title

ホロノミック系に対する完全 WKB 解析をめぐって --- 現状と展望
(On the exact WKB analysis for holonomic systems --- present and prospect)

Date

2015年5月27日(水) 16:30〜17:30    (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)

Speaker

竹井 義次 (Yoshitsugu Takei)氏 (京大・数理研)

Abstract

 1次元 Schrödinger 方程式の WKB 解に対して Borel 総和法により解析的な意味付けを与える完全 WKB 解析は、2階常微分方程式の解の大域解析に威力を発揮する。しかし、仮想的変わり点が現れ Stokes 幾何の構造が複雑な高階常微分方程式の場合をはじめとして、残された課題も数多い。特に、多変数のホロノミック系を完全 WKB 解析の視点から論じることは、重要かつ魅力的なテーマである。
 残念ながら、ホロノミック系に対する完全 WKB 解析を系統的に扱った仕事はまだ存在しない。しかし、その建設に向けての第一歩と考えられるような結果や、これからどのような方向に理論を展開していくかといった見通しも、少しずつではあるが得られつつある。本講演では、こうしたホロノミック系に対する完全 WKB 解析をめぐる現状についてお話したい。具体的には、次の3つの話題を中心に論じる予定である。
 1) 仮想的変わり点や新しい Stokes 曲線の問題と、線型ホロノミック系に対する廣瀬の結果。
 2) KdV 方程式に対する Dubrovin の結果(予想)と、廣瀬の結果の非線型方程式への拡張。
 3) WKB 解や Voros 係数に関する壁越え公式と、微分方程式に含まれるパラメータに関する差分方程式。

Comment

Title

動く自由境界の数理
(Mathematical analysis of moving free boundaries)

Date

2015年5月20日(水) 16:30〜17:30    (16:00より105談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)

Speaker

Karel Svadlenka 氏 (京大・理)

Abstract

 泡や液滴の運動のモデルとして現れる発展自由境界問題は特異性や非局所的な要素を含み,数学解析や数値計算の観点から扱いにくいとされる.一方では,楕円型の定常問題はAltとCaffarelliの有名な論文をはじめ様々な結果が知られている.
 本講演では,発展問題を定常問題の列で近似するminimizing movementという方法を解説し,放物型と双曲型の自由境界問題に対してこれまで得た結果を紹介する.また,この近似によるアプローチは数値解析において効果的であるので,数値解法についても触れ,液滴の接触角ダイナミックス解析への応用における課題について考察する.

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Title

The Cremona group

Date

2015年5月13日(水) 16:30〜17:30    (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)

Speaker

Igor Dolgachev 氏 (University of Michigan)

Abstract

 The Cremona group in dimension n is the group of automorphisms of the field or rational function in n variables with coefficients in a field K. In geometric language, it is the group of birational transformations of the projective n-dimensional projective space over K. I will report on the recent progress in the study of this group based on the techniques of hyperbolic geometry and the theory of complex dynamical systems.

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Title

genericな力学系の周期点の個数の増大度
(Growth rate of the number of periodic points for generic dynamical systems)

Date

2015年4月22日(水) 16:30〜17:30    (16:00より105談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)

Speaker

浅岡 正幸 (Masayuki Asaoka)氏 (京大・理)

Abstract

 双曲力学系と呼ばれる統計的によい振る舞いをする力学系に関しては,その周期軌道の数の増大度は常に高々指数的で,増大度は系の統計的性質と密接に関係することが知られている.一方で1999年にKaloshinにより,homoclinic接触と呼ばれる複雑な分岐現象が稠密に起きるような領域においてはgenericな力学系はその周期軌道の数の増大度は指数的よりも速くなることが証明されている.
 では,弱い双曲性を持ち,homoclinic接触からは離れている「部分双曲系」と呼ばれる系において周期点の数の増大度がどう振る舞うだろうか.双曲力学系と同様に高々指数的になるだろうか,それとも,homoclinic接触とは異なるメカニズムによって,指数的よりも速くなるだろうか?
 講演者は,篠原克寿氏とDimitry Turaev氏との共同研究によって,部分双曲系のダイナミクスのある種の単純化である「区間上の反復函数系」においてその周期軌道の数がgenericには指数的よりも速く増大することを証明した.本講演では,力学系の周期軌道の増大度の問題の歴史の概観した後,指数的よりも速い増大度を引き起こすメカニズムについて,Kaloshinが見つけたhomoclinic接触によるものと講演者たちが見つけたものを対比しつつ解説したい.

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Title

アーベル多様体に関する種々の有限性について
(Some finiteness results on abelian varieties)

Date

2015年4月15日(水) 16:30〜17:30    (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)

Speaker

小関 祥康 (Yoshiyasu Ozeki)氏 (京大・数理研)

Abstract

 アーベル多様体は非常に古くから存在する研究対象であり、多くの数学者を魅了してきました。今でも岩澤理論やフェルマー予想の証明などにあらわれるように、数論幾何では最前線で活躍する代表的な道具の一つです。さて、タイトルにありますようにアーベル多様体に関する有限性と一言に述べても様々な解釈があります。本講演では、以下の二つの『有限性』に焦点を絞って近年の結果の話をさせていただきます:
(1)数体や局所体上定義されたアーベル多様体の、無限次拡大体に値を持つ有理点の成す群のねじれ部分群がいつ有限になるか。
(2)いくつかの与えられた条件を満たすアーベル多様体の同型類の個数の有限性。特にRasmussen-玉川による予想。

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