談話会/Colloquium

Title

Galois 表現の有限平坦モデルのモジュライ空間について
(On the moduli spaces of finite flat models of Galois representations)

Date

2011年1月12日(水) 16:30〜17:30     (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110 号室

Speaker

今井 直毅 (Naoki Imai) 氏 (京大・数理研)

Abstract

 p進体の絶対 Galois 群の標数pの有限体上の表現が与 えられた時に, 一般ファイバーがその Galois 表現と同型になるような, p進体の整数環上の有限平坦群スキームのことを, その Galois 表現の有限平坦モデルという. 一般に有限平坦モデルの取り方は,一意的ではなく, Galois 表現を一つ固定した時に, その有限平坦モデルのモジュライ空間を定式化することができる. モジュライ空間の定式化及び構成は, 有限平坦群スキームの情報を持つ Kisin 加群という加群を用 いて行われた.
 この講演では,Kisin 加群によるモジュライ空間の定式化を 説明した後に, そのモジュライ空間の幾何学的な性質に関して得られた結果を紹介 したい. また,モジュライ空間の幾何学的な性質が, どのように数論に応用されるかについても話したいと思う.

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Title

3次元球面の平坦トーラスの直径について
(Extrinsic diameter of immersed flat tori in S^3)

Date

2010年12月22日(水) 16:30〜17:30     (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110 号室

Speaker

梅原 雅顕 (Masaaki Umehara) 氏 (阪大・理)

Abstract

3次元のEuclid 空間,双曲型空間および球面S^3 の平坦な曲面については,以下の共通の性質がある.
・ 平坦な曲面の平行曲面がまた平坦となる.
・ 平坦な曲面の焦面(縮閉面)がまた平坦となる.
この事実は,定曲率空間の平坦な曲面は 波の伝播と相性がよいことを物語っている. 3つの場合に共通点もあるが,共通でない点もある. 例えば,コンパクトな曲面が存在するのは S^3のときのみである.さらにこのとき,曲面は自動的 に向き付け可能となり,平坦なトーラスになることが 知られている.本講演では,宇都宮大学の北川氏と 筆者との最近の共同研究で得られた3次元球面S^3の 平坦トーラスの外的直径に関する結果について報告する. また,特異点をもつS^3の平坦な曲面ついても少し言及する.

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Title

一般テータ関数の空間のstrange duality現象について

Date

2010年12月15日(水) 15:00〜16:00    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室110講義室(理3号館)

Speaker

阿部 健(Takeshi Abe)氏 (熊本大・自然科学)

Abstract

代数曲線上の代数的な直線束のモジュライ空間であるピカール群上には テータ因子があり、それに付随する直線束の大域切断はテータ関数で与えられる。 これの非可換類似として、代数曲線上のベクトル束のモジュライ空間上の 行列式直線束の大域切断を一般テータ関数と呼んだりする。 代数曲線上で、階数の異なるベクトル束のモジュライ空間を二つ考えるとき、 それらの上の一般テータ関数のなすベクトル空間が双対になることがあり、 この現象をstrange dualityと呼ぶ。 もっとも代表的な例は、代数曲線上のSL(r)束のモジュライ空間上の レベル n の一般テータ関数の空間とGL(n)束のモジュライ空間上の レベル r の一般テータ関数の空間が双対と言うものであり、 これはBelkale, Marian-Opreaによって証明された。 この他にもSp束や例外型代数群束のモジュライ空間に対しても stragne duality が観察されている。 また次元を上げて、代数曲面上のベクトル束のモジュライに対しても 近年strange dualityが見つかっている。 講演ではこれらさまざまな場合のstrange dualityを紹介したい。

Comment 同日 16:30-17:30 岩瀬則夫(Norio Iwase)氏の講演があります。

Title

位相的複雑さとLSカテゴリ
(Topological complexity and L-S category)

Date

2010年12月15日(水) 16:30〜17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室110講義室(理3号館)

Speaker

岩瀬 則夫(Norio Iwase)氏 (九州大・数理)

Abstract

We show that a topological complexity is a fibrewise L-S category. There is also a concordance between the related computable invariants including cup-length and category weights. We expect deeper relations between higher topological complexities and some versions of fibrewise L-S category.

Comment 同日 15:00-16:00 阿部 健(Takeshi Abe)氏の講演があります。

Title

平面内の2Dクーロン無限粒子系の確率幾何と力学
(Stochastic geometry and dynamics of infinite log-gases in the plane)

Date

2010年12月8日(水) 16:30〜17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

長田 博文(Hirofumi Osada)氏 (九大・数理)

Abstract

平面の中の無限個の粒子が2次元クーロンポテンシャル(対数関数)で 相互作用するシステムを考える。 このようなシステムを記述する確率測度の存在は非自明で、特別な ポテンシャルの強さ(\beta=2)の場合だけが構成されている。この測度は、 非エルミート・ガウシアンランダム行列の固有値の分布の熱力学極限、 つまりGinibre ensembleの極限なので、ここではGinibre random point fieldと呼ぶ。 尚、直線上の対応物はDyson's モデルとよばれガウシアンランダム行列 (GOE, GUE, GSE)の固有値の熱力学極限である。 従来考察されてきたのは、Lebesgue測度を密度とするPoissonランダム測度や、 Ruelleクラスの干渉ポテンシャルをもつGibbs測度であった。 Poissonランダム測度は理想気体を表現する、 無限粒子系の空間のLebesgue測度の役割を果たすものであり、 Gibbs測度はそれに近いクラスである。 ここで、Gibbs測度とは、与えられた干渉ポテンシャルをもつ無限粒子系を 記述する測度を、その条件付き確率が満たすべき方程式 (Dobrushin-Lanford-Ruelle方程式)で記述するものだが、その構成は、 70年前後にRuelleクラスポテンシャルという超安定性と、正則性と呼ばれる 遠方での可積分性のもとで確立した。しかし、クーロンポテンシャルは遠方で 非可積分のため、この標準的なクラスから除外されていた。 この講演では、いかに無限クーロン系(Ginibre random point field)が、 Gibbs測度と異なる世界を形成するか、確率幾何および確率力学の視点から論じる。

Comment

Title

リー群上の球関数とアルキメデスゼータ積分
(Spherical functions on Lie groups and Archimedean zeta integrals)

Date

2010年12月1日(水) 16:30〜17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

石井 卓(Taku Ishii)氏 (成蹊大・理工)

Abstract

保型形式に付随するL関数の性質を調べる上で、 L関数の積分表示(ゼータ積分)による方法は強力な手段であるが、 分岐素点、アルキメデス素点における局所ゼータ積分の扱いには 様々な困難が伴う。 保型形式のフーリエ展開に現れる多変数の特殊関数(球関数)の 明示公式を与えることで、その積分変換であるアルキメデスゼータ積分が 具体的に計算されたいくつかの実例について紹介する。

Comment

大談話会


Title

ヒルベルトの第14問題と不変式環に対するフェアリンデ型公式
(Hilbert's 14th problem and Verlinde type formulas for rings of invariant polynomials)

Date

2010年11月17日(水) 15:00〜16:00

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室110講演室(理3号館)

Speaker

向井 茂 (Shigeru Mukai) 氏 (京大・数理研)

Abstract

m次正方行列が与えられるとそれの生成する1パラメータ群が 得られ,それに関して不変なm変数多項式の全体,すなわち, 不変式環が定まります.この環はいつも有限個の多項式で生成され ます.例えば,(m-1)次方程式の「半不変式」は最も古くから 知られている例で,2次方程式ax^2+bx+c=0 の場合です と不変式環は最高次のaと判別式b^2-4acで生成されま す.これを一般化して,n個の可換な正方行列より得られる nパラメータ群に関して不変な多項式の全体がいつも有限個の多項式 で生成されるかという問題が考えられます.これが,本来の Hilbertの第14問題の,特別ですが本質的な部分で す.Hilbertの楽観を覆して,永田はn=25の時に反例を 与えましたが,その後の改良によって,現在では3パラメータ 群で反例が構成されています.しかし,2パラメータ群で有限 生成かどうかは未解決です.全体を展望した後,2パラメータ 群の不変式環の二つの例を説明します.どちらも有限生成であるだ けでなくVerlinde型の次元公式が成立しているのが著しいで す.古典的なCayley-Sylveter公式のaffine Lie代数版 というべきもので,これがどの程度一般の場合に成立するかが上の 未解決問題の解決の鍵になるのではないでしょうか?

Comment 16:00-16:50 109号室にてTea Break

大談話会


Title

ラグランジュ部分多様体のフレアーホモロジーの計算と応用
(Calculations and applications of Lagrangian Floer theory)

Date

2010年11月17日(水) 16:50〜17:50

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室110講演室(理3号館)

Speaker

深谷賢治(Kenji Fukaya)氏 (京大・理)

Abstract

シンプレクティック多様体のラグランジュ部分多様体に対して, フレアーはフレアーホモロジーという不変量を20年以上も前に 導入した.
当初は定義のためにかなりきつい制約条件がついていたが, Y.G.-Oh,太田啓,小野薫氏との共同研究で,それらをほぼ 取り払うことができた.
一般のラグランジュ部分多様体のフレアーホモロジーは, ノビコフ環上のA無限代数のホモトピー論という, かなり大掛かりなホモロジー代数的枠組みが必要で, 結果は相当複雑に見える.
一方ラグランジュ部分多様体のフレアーホモロジーの 計算は一般に難しく,最近に至まで計算例は非常に少なかった.
最近のY.G.-Oh,太田啓,小野薫氏との共同研究で, トーリック多様体のトーラス作用の軌道など,多く場合に計算が可能になり, また,その過程で,複雑に見えた代数的枠組みのほとんど全体が 実際の計算に自然に登場し,応用上も重要な意味を持って いることがわかってきた.
この講演では,具体的な計算例を中心にラグランジュ部分多様体のフレアーホモロジー とその応用について説明したい.

Comment 16:00-16:50 109号室にてTea Break

Title

有理写像と最尤推定復号:力学系からの符号理論へのアプローチ
(Rational Maps and Maximum Likelihood Decodings: Dynamical System Approaches to Coding Theory)

Date

2010年11月10日(水) 16:30〜17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

平岡 裕章(Yasuaki Hiraoka)氏 (広大・理)

Abstract

この講演では誤り訂正符号理論に力学系的視点を導入する最近の試みについて 解説する.ここで最も重要になってくるアイディアは最尤推定復号をある有理 写像として定式化することである.この有理写像は符号語を不動点に,非符号 語を極にもつことが示せるが,これらの安定性を調べることで最尤推定復号の 骨格を表す近似写像が定義できる.この講演ではこの近似写像を用いて新たな 実用的な符号化法を提案する.
紹介する結果としては以下の2点を予定している.
1.符号-復号双対定理:生成行列の列ベクトルの1次独立性が復号性能を制御 し,これにより代数幾何符号の道具が復号過程に使えることを示す.
2.誤り率特性:ここで提案する符号方式が,現在実用化されている幾つかの 符号(BCH符号等)よりも誤り率特性が優れていることを数値的に示す (林和則氏(京大)との共同研究).

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Title

KP-II方程式のline-soliton解の安定性
Stability of line-soliton for the KP-II equation

Date

2010年10月27日(水) 16:30〜17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

水町 徹(Tetsu Mizumachi)氏 (九大・数理)

Abstract

KP-II方程式はKdV方程式を波の進行方向と垂直な横方向への変化を取り入れるよ うに拡張したモデル方程式である.
 ソリトン(孤立波)は非線形性による凝集効果と分散性が釣り合った場合に生じ る安定的な波形で,非線形分散型方程式の代表的な解である.
 80年代半ばからの研究で,多くの問題においては,孤立波が方程式の持つ不変 量の極小点であり,孤立波の安定性はそのことから説明できることがわかった. しかしながら,いくつかの水面波のモデル方程式やKP-II方程式においては, ハミルトニアンの主要部分が不定であるため,変分原理から安定性を説明するこ とが難しいように思われる.本講演ではKP-II方程式を中心に幾つかの問題につ いて考察を述べる.

Comment

Title

Curve counting theories via stable objects
(安定対象による曲線の数え上げ理論)

Date

2010年10月20日(水) 16:30〜17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

戸田 幸伸 (Yukinobu Toda)氏 (東大・IPMU)

Abstract

Donaldson-Thomas (DT) invariant is a counting invariant of stable sheaves on a Calabi-Yau 3-fold, and the rank one theory counts curve on it. On the other hand by developing DT theory on the derived category of coherent sheaves, several important properties have been proved recently, e.g. DT/PT correspondence, rationality conjecture. In this talk, I will give a survey on the recent development in this research field.

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Title

BRST reduction and representation theory of W-algebras
(BRST還元法とW代数の表現論)

Date

2010年10月13日(水) 16:30〜17:30     (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110 号室

Speaker

荒川 知幸(Tomoyuki Arakawa)氏 (京大・数理研)

Abstract

W代数は1980年代後半に物理学者Zamolodchikovによって導入された 頂点代数(一種の代数系)である。その構造は極めて複雑であり、 現在でも特別な場合を除き生成元の間の関係式は知られていない。 その一方でW代数は共形場理論の他にもKdV方程式などの可積分系、 幾何学的Langlands対応、 Gromov-WItten不変量, AGT予想などの 様々な話題と関連する魅力的な対象でもある。実際、W代数の 有限次元版である有限W代数が既に興味深く、モヂュラー表現、 普遍包絡環の原始イデアル、Springer ファイバーの幾何との 関係で多くの研究者によって活発に研究されている。
W代数にはいろいろな定義があるが、Feigin-Frenkelにより 発見されたBRST還元法によるものが代表的である。 近年この手法に対する理解が進みW代数の表現論は解明されつつある。 W代数をKac-Moodyリー環の表現論への応用することも可能になってきた。 本講演ではこのようなW代数の表現論の現状についてお話したい。

Comment

Title

Gromov-Witten 理論における量子化と保型性
(Quantization and modularity in Gromov-Witten theory)

Date

2010年10月6日(水) 16:30〜17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

入谷 寛 (Hiroshi Iritani)氏 (京大・理)

Abstract

Gromov-Witten不変量は複素多様体の中の正則曲線の個数を 数え上げる不変量である.これらの不変量の生成母関数はさまざまな 興味深い性質をもつことが知られている.WittenやGiventalによれば, 高種数の理論は種数0の理論のある量子化ととらえることができる. そのことから,種数0の理論のモノドロミーが高種数の理論の対称性 として作用することが予想され,生成母関数の保型性が期待される. 本講演ではGromov-Witten理論における無限次元の幾何学的量子化の 枠組みを紹介し,保型性への応用なども述べたい.

Comment

Title

胞体複体の配置空間の組み合せ論的モデルについて
(Combinatorial configuration spaces)

Date

2010年7月28日(水) 16:30〜17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

玉木 大(Dai Tamaki)氏 (信州大学理学部)

Abstract

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Title

安定レヴィ過程に対する処罰問題について
(Penalising stable Lévy paths)

Date

2010年7月14日(水) 16:30〜17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

矢野 裕子(Yuko Yano)氏 (京大・理)

Abstract

Roynette-Vallois-Yor(2006)は,Wiener測度に重みを掛けて正規化した測度の長時間極限を考察し,これらの問題を(Brownian) penalisation problemsと呼んだ.ここではこれを日本語で(ブラウン)処罰問題と呼ぶことにする.
 本講演では先ずRoynette-Vallois-Yorのブラウン処罰問題を概観する.特に,重み過程が最大値過程の関数,原点局所時間の関数及びカッツ消滅型汎関数の場合を振り返り,これらの問題がNajnudel-Roynette-Yor(2009)によって導入されたシグマ有限測度によって統一的に論じられることを見る.続いて,安定レヴィ過程への一般化について述べる(矢野孝次氏,Marc Yor氏との共同研究を含む).安定レヴィ過程においては,局所時間及びカッツ消滅型処罰問題と最大値処罰問題との間に,ブラウン運動の場合には見えなかった本質的な違いが現れる.このことが伊藤の周遊理論や調和変換によって説明されることを紹介したい.

Comment

Title

反応拡散系にみられるパターンダイナミクス:生物の環境適応性への応用
(Pattern dynamics in reaction-diffusion systems: Application to biological systems)

Date

2010年7月7日(水) 16:30〜17:30     (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110 号室

Speaker

上田 肇一 (Kei-Ichi Ueda)氏 (京大・数理研)

Abstract

近年、様々な分野において自己組織化現象に関する研究が行われている。 自己組織化現象とは分子や細胞といった サイズの小さい個々の要素が相互作用することによって自発的に 空間スケールの大きいパターンを生成する現象のことである。 反応拡散系はそのような自己組織化現象を記述する方程式の一つである。 反応拡散系で見られるパターンは美しく、ダイナミックでありそれ自体 魅力的な現象であるが、最近では生命現象における機能との 関わりにおいて重要な役割をしていることが生物実験で 明らかになりつつある。 その一つとして真正粘菌にみられる環境適応性に関する実験がある。 真正粘菌では細胞先端部で起きる化学反応と細胞内を流れる原形質との 相互作用を適切に行うことによって、外部の環境変化に 適応していることが実験的に報告されている。その機能を理解するためには 反応拡散系と流体現象の適切な 相互作用のルールを解き明かす必要がある。 本講演においては、真正粘菌の環境適応性を理解する上で 重要な、反応拡散系にみられるパルスダイナミクスに対する解析手法に ついて解説する。また、 真正粘菌の数理モデルの構築を行い、反応拡散系と流体現象 の適切な相互作用について議論する予定である。

Comment

Title

保型形式の岩澤理論とゼータの化身
(Iwasawa theory for modular forms and incarnation of Zeta)

Date

2010年6月30日(水) 16:30〜17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室110号室(理3号館)

Speaker

加藤 和也 (Kazuya Kato)氏 (University of Chicago)

Abstract

古典的な岩澤理論では,円単数という,ゼータ関数の化身が大活躍する. 保型形式の岩澤理論では,Beilinson element というゼータ関数の化身が 大活躍するのでは,と講演者はかつて思い,円単数が岩澤理論で用いら れるように, Beilinson element が保型形式の岩澤理論でさかんに用い られる日が来るのでは,と思った.そして,日本の昔話に鶴の化身や 蛇の化身が現れるから,岩澤理論で日本の昔話が活躍する日が来るのでは とも思った.この最後の予測は必ずしも現実化しているとは言えないよう である.しかし,Beilinson element が多くの人によって岩澤理論に用い られるようになっている.そのことを紹介したい.

Comment 今回の会場は、127から110号室に変更になりました。

Title

非可換局所類体論の幾何学的実現
(Geometric realization of local Langlands correspondence)

Date

2010年6月23日(水) 16:30〜17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

吉田 輝義(Teruyoshi Yoshida)氏 (University of Cambridge)

Abstract

Gaussによるレムニスケートの五等分は虚数乗法論の一例であった.高木貞治は楕円函数 の虚数乗法論を完成させたのち,その「対応」が必ずしも虚数乗法論という幾何学的実現 をもたない形で一般の代数体で成り立つこと(類体論)を示した(1920年代).類体論は 各素数pに対するp進体上の理論(局所類体論)に分解されたが(1930年代),局所類体論 はつねに幾何学的実現をもつことをLubin-Tateが示した(1960年代).非可換類体論 (Langlands対応)も,特殊な場合の幾何学的実現(志村多様体論)の発見が先行し,必 ずしも志村多様体に現れない場合も一般の代数体上で予想が定式化された(1970年代). これも局所理論に分解し,局所Langlands対応はつねに幾何学的実現(非可換Lubin-Tate 理論)をもつ.局所Langlands対応はこの幾何学な形で,志村多様体を用いて示された (1990年代)が,いまだ局所体上の議論のみでは証明できない.これらの流れを概観する. この非可換Lubin-Tate理論は,Lubin-Tate空間またはp進上半空間と呼ばれる「p進対称 空間」のコホモロジー群に標準的に実現される.これは代数的整数論とGL(n)の表現論を つなぐLanglands対応の神秘的な部分がもっとも直接的に現れた幾何学的構造ともいえる が,まだ解明されていないことが多い.馴分岐という簡単な場合に,Deligne-Lusztig多 様体・アフィンHecke環の作用などを通して局所Langlands対応の仕組みが見える様子を解 説する.暴分岐の場合の構造もようやく解明され始めている.

Comment

Title

アルゴリズム的ランダムネス
(Algorithmic randomness)

Date

2010年6月16日(水) 16:30〜17:30     (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110 号室

Speaker

宮部 賢志 (Kenshi Miyabe)氏 (京大・数理研ポスドク)

Abstract

アルゴリズム的ランダムネスとはランダムな二進無限列を計算の側面から 定義し、その性質を調べる分野である。ランダムな列の定義には、 典型性、記述不可能性、予測不可能性の3つのアプローチがあり、 適切な定式化のもとで同値になる。最初に定義された Martin-Löfランダムネスでは、多くのランダムな列として自然な性質が 示された。また許す計算可能性を変化させることで、様々なランダムネスが 定義され、それらの計算可能性との関連が深く調べられている。 本講演では前半ではこのようなアルゴリズム的ランダムネスの基本概念を紹介する。
 後半ではSchnorrランダムネスに関して得られた結果を紹介する。 Schnorrランダムネスは自然な概念と考えられていたが、 独立性定理の不成立やLownessの不自然な結果が最近得られていた。 これは相対化が不適切なことが原因であるとして、 真理値表Schnorrランダムを提案し、独立性定理が成立することや、 自然なLownessの概念が得られることを示した。 これによりランダムネスは計算可能性による制限よりも、 チューリングマシンの制限により定まるとの理解が自然であることが分かる。

Comment

Title

Microlocal methods in symplectic geometry

Date

2010年6月9日(水) 16:30〜17:30     (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110 号室

Speaker

Boris Tsygan 氏 (京大・数理研/Northwestern University)

Abstract

I will review recent works of Nadler-Zaslow, Tamarkin, and myself on microlocal study of symplectic manifolds. The new microlocal invariants, whether of sheaf theoretical of deformation theoretical nature, are related to the Fukaya category of a symplectic manifold.

Comment

Title

コクセター型超平面配置の補空間と不変式論
(Complement and invariant theory of Coxeter arrangements of hyperplanes)

Date

2010年6月2日(水) 16:30〜17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

阿部 拓郎(Takuro Abe)氏 (京大・理)

Abstract

超平面配置とはベクトル空間内の超平面の有限族である. この超平面配置を巡る数学は, コクセター群の鏡映面として定義 されるコクセター型超平面配置の研究をその端緒とする. 特にそ の補空間の部屋(chamber)の数やポアンカレ多項式と, コクセター 群の指標との関連はよく知られている.
 これらの結果は齋藤恭司氏により, 代数的, 不変式論的観点を持つにいたる. すなわち, 与えられたコクセター型超平面配置に接するようなベクトル場全 体のなす加群が, コクセター群不変な自由基底を持ち, その次数 が指標と一致することが示されたのである. さらにこの結果は近年 吉永正彦氏により, 変形されたコクセター型超平面配置の補空間と, 各超平面が正数の重みを持つ多重配置の不変式論との関連へと一般化された. この際, 齋藤氏が導入した原始微分及び, 寺尾宏明氏による多重コクセター型 超平面配置の不変式論的基底構成が重要な役割を果たすこととなった.
 本講演ではこれらの研究の流れを概観すると共に, 本研究分野の近年の進展を, 時間が許す限り紹介したい.

Comment

大談話会


Title

解析的捩率と保型形式
(Analytic torsion and automorphic forms)

Date

2010年5月26日(水) 14:40〜15:40

Place

京都大学数理解析研究所 420 号室

Speaker

吉川 謙一(Ken-Ichi Yoshikawa)氏 (京大・理)

Abstract

Bershadsky-Cecotti-大栗-Vafaは楕円的Gromov-Witten不変量の複素幾何学 における対応物として、解析的捩率を用いて構成されるBCOV不変量を導入した。 BCOV不変量が厳密に計算されている例はまだ少数であり、5次超曲面のミラー の他に幾つかのBorcea-Voisin多様体がある。 BorceaとVoisinは対合付きK3曲面と楕円曲線の直積から適当な方法で得られる 3次元Calabi-Yau多様体のミラー構成法を与えたが、彼等の構成法が適用できない 例外の場合がある。今回の講演では、例外型Borcea-Voisin多様体のBCOV不変量が Del Pezzo曲面のKaehlerモジュライ上の具体的な保型形式として表示できることを 紹介する。これらの保型形式は奇ユニモジュラー格子とある楕円モジュラー形式に 付随するBorcherds積として表示される。

Comment 15:40-16:30 402号室にてTea Break

大談話会


Title

底タングルの圏と量子不変量について
(Category of bottom tangles and quantum invariants)

Date

2010年5月26日(水) 16:30〜17:30

Place

京都大学数理解析研究所 420 号室

Speaker

葉廣 和夫(Kazuo Habiro)氏 (京大・数理研)

Abstract

3次元ハンドル体の中の底タングルとは, 区間に同相な有限個の成分からなる タングル (1次元部分多様体)で, 端点がハンドル体の境界の「底」の円盤の中にあって, 各成分の2個の端点が互いに隣り合っているようなもののことである. 底タングルのイソトピー類がなす集合にbraidedモノイダル圏の構造を 入れることができる. この圏BはCrane とYetter, Kerler らが導入した, 境界が円周S^1でパラメトライズされた曲面を対象とし, コボルディズムを射とする圏の部分圏と思うことができる. 彼らは、圏Cの中にbraided Hopf代数の構造があることを示したが、 このHopf代数構造は、底タングルの圏Bの中にも含まれている。 講演では, 底タングルの圏と、結び目や絡み目の不変量に対する応用に ついて解説する予定である.

Comment 15:40-16:30 402号室にてTea Break

Title

Algebraic surfaces of general type with vanishing geometric genus

Date

2010年5月19日(水) 16:30〜17:30     (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110 号室

Speaker

Yongnam Lee氏 (京大・数理研/Sogang University)

Abstract

Algebraic surfaces with vanishing geometric genus are interesting in view of Castelnuovo's rationality criterion. This class of surfaces has been studied extensively by algebraic geometers and topologists for a long time. Although a large number of non-simply connected complex surfaces of general type with vanishing have been known, the only previously known simply connected, minimal, algebraic surface of general type with vanishing geometric genus was Barlow surface. In 2006, Jongil Park and I gave a new method to construct simply connected algebraic surfaces of general type with vanishing geometric genus via Q-Gorenstein smoothing of a singular rational surface. Q-Gorenstein smoothing is the rational blow-down surgery in the complex category. This singular surface is obtained by contraction of the chains of rational curves in the blowup of a special rational elliptic surface. In this talk, I will present some historical background of algebraic surfaces with vanishing geometric genus, and explain ideas of construction of surfaces of general type via Q-Gorenstein smoothing and elliptic surfaces.

Comment

Title

古典型affine Hecke環の緩増加表現の指標の遷移公式
(Transition formula of characters of tempered modules of affine Hecke algebras of classical types)

Date

2010年5月12日(水) 16:30〜17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

加藤 周(Syu Kato)氏 (京大・理)

Abstract

Affine Hecke環とはp-進代数群の表現論をある意味で含むと考えられている代数系であり、さらにp-進代数群の表現論に移行する時には特殊化されるパラメタを持つ。そ してp-進代数群の基本的な表現として知られている緩増加表現はaffine Hecke環の対応する表現を与え、やはり対応する良い性質を持つ事が知られている。
 さて、このパラメタを適当に(実数の範囲で)動かすとaffine Hecke環の緩増加表現は変形族を定めること、そして特別なパラメタを越える時にのみ緩増加表現の構造が本 質的に変わることが先行研究によって知られている。この講演では(affine Hecke環が古典型の場合に限って)その変化の仕方を記述する公式を紹介する。
 この話はUtah大学のDan Ciubotaru氏との共同研究である。

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Title

リッチ流の古代解の比較幾何
(Comparison geometry of ancient solutions to the Ricci flow)

Date

2010年4月28日(水) 16:30〜17:30     (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110 号室

Speaker

横田 巧 (Takumi Yokota)氏 (数理解析研究所)

Abstract

リッチ流(Ricci flow)とは、多様体上のリーマン計量に対するある放物型偏微分方 程式の解のことである。この方程式を解くことで与えられたリーマン計量をより良い ものに変形するという手法は、Hamiltonによって開発され、Perelmanによるポアンカ レ予想の解決にも用いられたことで注目を集めた。
 その論文の中でPerelmanが示した定理の一つに、簡約体積という積分量の単調性があ る。その証明はリッチ流という時空に対する比較幾何的アプローチから得られ、 これはリッチ平坦多様体に対する既存の比較定理のリッチ流版とも考えられる。
 一方、リッチ流の古代解とは過去に無限時間存在するリッチ流方程式の解のことであ り、リッチ平坦計量や縮小型リッチソリトンを含む重要な概念である。この講演では、 Perelmanによるリッチ流の比較幾何および講演者の得た古代解に対するギャップ定理 を紹介する。

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Title

代数多様体に対する消滅定理
(Vanishing theorems for algebraic varieties)

Date

2010年4月21日(水) 16:30〜17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

藤野 修(Osamu Fujino)氏 (京大・理)

Abstract

複素射影代数多様体に対する小平型の消滅定理の様々な一般化を紹介したい。一般次元の代数多様体の双有理分類理論では、小平型の消滅定理が重要な役割を演じている。最も有名な消滅定理の一つは、川又--Viehweg消滅定理である。極小モデル理論の基本定理のほとんどすべてが川又--Viehweg消滅定理の応用として得られていると言っても過言ではない。また、最近の研究では、川又--Viehweg消滅定理と本質的に同じである(代数的な)Nadel消滅定理も有効に使われている。
 今回は小平の消滅定理の究極の一般化の一つについて紹介したい。新しい消滅定理は川又--Viehweg--Nadel消滅定理の一般化になっているだけでなく、たくさんの応用を持っている。以前より簡単な議論で従来のものより遥かに強力な結果が証明出来るという理想的な状態が実現されている。今後の極小モデル理論では不可欠な道具になるはずである。 Hodge理論の観点から見ると、従来のものはpureな話で今回の話はmixedな話に対応する。

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Title

奇閉路対称グラフにおける独立偶因子問題
(The independent even factor problem in odd-cycle-symmetric digraphs)

Date

2010年4月14日(水) 16:30〜17:30     (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110 号室

Speaker

高澤兼二郎(Kenjiro Takazawa)氏 (数理解析研究所)

Abstract

多項式時間で解くことのできる組合せ最適化問題の代表例として, マッチング問題とマトロイド交叉問題がある.これらの問題に対しては, 最大最小定理,組合せ的アルゴリズム,完全双対整数性を持つ 不等式表現などの組合せ最適化における基本的な結果がそれぞれ 1960 年代,1970 年代から知られている.
 この二つの問題の共通の一般化として,Cunningham と Geelen (1997) は 独立パスマッチング問題を提案した. Cunningham と Geelen は 独立パスマッチング問題に対して最大最小定理と完全双対整数性を持つ 不等式表現を与え,多項式時間アルゴリズムを構築した.しかしながら, そのアルゴリズムは行列を用いた代数的なものであり,組合せ的 アルゴリズムの構築には至らなかった.
 そこで,Cunningham と Geelen (2002) は独立パス マッチング問題の さらなる一般化として独立偶因子問題を提案した.独立偶因子問題は 一般には NP 困難であるが,奇閉路対称と呼ばれるグラフク ラスにおいては マッチング問題やマトロイド交叉問題に対する基本的な定理が 拡張できることが明らかにされている.また,Pap (2007) による 重みおよびマトロイド制約のないケースに対する組合せ的アルゴリズム を皮切りに,多項式時間可解であることが知られている最も一般的な クラスである奇閉路対称グラフにおける重みつき独立偶因子問題に 対しても 組合せ的アルゴリズムが設計され,マッチングとマトロイド交叉の 組合せ的アルゴリズムの共通の拡張に関しても解決を見た.
 本講演では,独立偶因子問題について,講演者の近年の研究を含め て紹介する.

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