所員 -荒川 知幸-

名前 荒川 知幸 (Arakawa, Tomoyuki )
教授
E-Mail arakawa (emailアドレスには@kurims.kyoto-u.ac.jp をつけてください)
研究内容 表現論
紹 介

 主に理論物理などに現れる無限次元代数の表現論を研究している。特にアフィンKac-Moody代数や Virasoro代数などの無限次元Lie環,その仲間である$W$代数の表現論について興味がある。またこれらを統一的に扱う枠組みである頂点代数の理論やその応用にも興味がある。 頂点代数は物理学における二次元の共形場理論に起源を持つが,数学的には可積分系,量子群,モジュラー表現論,幾何学的 Langlands対応などさまざまな話題とも密接に関係する興味深い対象である。 また物理的にも高次元の場の理論との新しい関係が最近明らかになりつつあり,物理学者・数学者双方から注目を浴びている。
一般に表現論における基本問題は
(1) 既約表現の指標を決定すること,
(2) ``良い''表現を決定し,その応用を研究すること,
の二つに集約されると思われる。
(1)の問題に関して, 論文[1]では 極小冪零元に付随する(スーパー)$W$代数の既約最高ウエイト表現の指標が(スーパー)アフィンリー環のそれから完全に決定される事を示し,特に2003年のKac-Roan-脇本予想を肯定的に解決した。 論文[2]では主冪零元に付随する$W$代数のすべての最高ウエイト表現の既約指標を決定し, 特にモジュラー 不変な表現の存在と構成に関する1992年のFrenkel-Kac-脇本予想を肯定的に解決した。F. Malikovとの共著論文[3]ではカイラルD加群のアフィンKac-Moody代数の表現論への応用を行い, アフィンKac-Moody代数の臨界レベルにおける$G$可積分な表現の指標公式の導出を行った。 P. Fiebigとの共著論文[4]ではアフィンリー環の臨界レベルの表現の指標に関するFeigin-Frenkel予想の一部である新しいlinkage principleを証明した。  
(2)の問題に関して, 論文[5]では$W$代数の$C_2$有限性条件とアフィンリー環の 表現の特異台との関係を明らかにし,アフィンリー環の許容表現の特異台に関するFeigin-Frenkel の予想を解決するとともに$W$代数 の$C_2$有限性条件に関する2008年のKac-脇本の予想を肯定的に解決した。 論文[7]ではアフィンリー環の許容表現に関する1995年のAdamovic-Milasの予想を肯定的に解決した。 また論文[6]では 主冪零元に付随する$W$代数の有理性に関する1992年のFrenkel-Kac-脇本の予想を証明する事に成功した。 またA. Moreauとの共著論文[8]では最近の川節和哉氏の研究に触発され,極小冪零元に付随する$W$代数の新しい「良い」表現の系列を発見した。
論文[8]の結果はRastelli等物理学者によって注目され,四次元の$N=2$超対称性調教型場理論のヒッグス枝が対応する頂点代数の随伴多様体に同型であるという予想が提出された。これを受け,[9]では川節和哉氏と共に擬平滑頂点代数の概念を導入し,四次元の$N=2$超対称性調教型場理論のシューア指数が保型性を持つことを示した。 またGaiottoの導入したクラスS理論に対応する頂点代数を構成しすることに成功した([10]にアナウンス有り)。 これまでの研究により$W$代数の基礎理論は(少なくとも主冪零軌道の場合は)ほぼ完成したので, 今後は徐々に幾何学的Langlands対応や物理学などへの応用へ研究の主眼を移して行く予定である。
  1. Representation Theory of Superconformal Algebras and the Kac-Roan-Wakimoto Conjecture, Duke Math. J., Vol. 130 (2005), No. 3, 435-478.
  2. Representation Theory of W-Algebras, Invent. Math., Vol. 169 (2007), no. 2, 219--320.
  3. (with F. Malikov) A chiral Borel-Weil-Bott theorem, Adv. Math., 229 (2012) 2908-2949.
  4. (with P. Fiebig) The linkage principle for restricted critical level representations of affine Kac-Moody algebras, Compos. Math., 148, 1787--1810, 2012.
  5. Associated varieties of modules over Kac-Moody algebras and C_2-cofiniteness of W-algebras, Int. Math. Res. Not. (2015), Vol.2015 11605--11666.
  6. Rationality of W-algebras; principal nilpotent cases, Ann. Math., 182 (2015), 565-604.
  7. Rationality of admissible affine vertex algebras in the category $\mathcal{O}$, Duke Math. J, Vol.165, No.1 (2016), 67-93.
  8. (with A. Moreau) Joseph ideals and lisse minimal W-algebras, J. Inst. Math. Jussieu, published online.
  9. (with K. Kawasetsu) Quasi-lisse vertex algebras and modular linear differential equations, arXiv:1610.05865 [math.QA], to appear in Kostant Memorial Volume, Birkhauser.
  10. Representation theory of W-algebras and Higgs branch conjecture, submitted to the Proceedings of the ICM 2018.