談話会/Colloquium
Title
解析関数に対する最良近似公式の探究について
(On research of optimal approximation formulas for analytic functions)
Date
2024年12月18日(水) 16:45〜17:45 (16:15より1階ロビーでtea)
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
田中 健一郎 (Ken'ichiro Tanaka)氏 (東京科学大・情報)
Abstract
本講演では,実軸を含む帯状の領域で所定の減衰を持つ解析関数の近似理論について述べる.このような関数は,変数変換型数値計算法を用いるときに現れる.この方法の典型的な例として,関数近似のための二重指数Sinc公式(DE-Sinc公式)や数値積分のための二重指数関数型公式(DE公式)がある.これらは,実軸上での関数の二重指数関数的減衰をもたらす変数変換に基づいており,関数やその積分の近似精度を向上させる.これらの公式は,実軸を含む帯状領域上で二重指数関数的な重みを持つHardy空間上で評価した場合に,ほぼ最適であることが知られている.しかし,最適な公式はこれまで明示的に知られていなかった.そこで,帯状領域上の一般的な重みを持つ重み付きHardy空間における解析関数の近似理論を考察する.より正確には,我々の目的は(i)空間における関数とその積分の最良近似精度の正確な評価と,(ii)その評価に基づいて正確な近似式を構築する一般的な手順の発見である.目的(i)について,本講演ではいくつかの結果を示す.さらに目的(ii)について,関数近似と数値積分のための標本点を得るための簡単な方法を示す.この方法は,離散エネルギーの凸最小化問題に基づいている.この問題を標準的な最適化手法で解くことにより,高精度な公式を実現する標本点を得ることができる.また,最小化問題の連続対応物の双対定理により,公式の理論的収束解析も与える.
Title
ヴォルテラ型ガウス過程の無限次元リフト
(Infinite dimensional lifts of Gaussian Volterra processes)
Date
2024年12月11日(水) 16:45〜17:45 (16:15より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Graduate School of Science, Kyoto University)
Speaker
濱口 雄史 (Yushi Hamaguchi)氏 (京大・理)
Abstract
非整数ブラウン運動などに代表されるヴォルテラ型ガウス過程は、標準ブラウン運動と比べて標本経路の変動が激しいことや、過去時点での増分と未来時点での増分が負の相関を持つことなどが特徴として挙げられる。また、このような確率過程は一般にはマルコフ過程論の範疇を超えていることが知られている。本講演では、 ヴォルテラ型ガウス過程の無限次元空間への持ち上げ(リフト)によって得られる確率過程に着目し、無限次元空間上のマルコフ過程として実現可能であること、および付随するマルコフ半群の諸性質について紹介する。
Title
同変ラグランジュフレアーホモロジーについて
(Remarks on equivariant Lagrangian Floer homology)
Date
2024年12月4日(水) 16:45〜17:45 (16:15より1階ロビーでtea)
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
深谷 賢治 (Kenji Fukaya)氏 (清華大学)
Abstract
群作用がある場合のラグランジュ部分多様体のフレアー理論について,何が正しそうか何が書かれていて,どこまで証明されているか何に役立ちそうかなどについて,私の理解しているところをお話ししてみたい.
Title
階数2のp進ガロア表現に対する岩澤主予想
(Iwasawa main conjecture for 2 dimensional p-adic Galois representations)
Date
2024年11月27日(水) 16:45〜17:45 (16:15より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Graduate School of Science, Kyoto University)
Speaker
中村 健太郎 (Kentaro Nakamura)氏 (九州大・数理)
Abstract
1990年代に加藤和也氏は岩澤主予想の一般化として一連の予想群を定式化しました。岩澤主予想では、円単数や加藤のゼータ元などのゼータ関数の代数的な対応物が非常に重要な役割を果たしますが、加藤の予想では、そのようなゼータ元が全ての大域p進ガロア表現の族に対しても存在することが予想されています。本講演では、古典的な円単数に関する岩澤主予想の解説から始めて、加藤の予想に関して講演者がこれまでに得た結果について解説します。特に、モジュラー曲線の完備化コホモロジーによるp進局所ラングランズ対応の幾何的実現(Emerton)を用いた、階数2の普遍変形に対するゼータ元の構成に関する結果について解説します。
Title
モジュラス付きモチーフ理論について
(On the theory of motives with modulus)
Date
2024年11月13日(水) 16:45〜17:45 (16:15より1階ロビーでtea)
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
宮﨑 弘安 (Hiroyasu Miyazaki)氏 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
Abstract
モチーフ理論の究極目標のひとつは代数幾何や数論幾何にあらわれる「良い」コホモロジーたちを統合することである.「良い」の意味を定めるごとにモチーフ理論の枠組みは変わる.なるべく多くのコホモロジーを対象にしたいと思えば「良い」の意味は弱くすべきだが,あまり弱めすぎると面白い結果が得られないため,いい塩梅の「良さ」を選定することが肝心である.優れたモチーフ理論の例としては,「良い」=Weilコホモロジーとして得られる純モチーフ理論や,「良い」=$\mathbb{A}^1$-ホモトピー不変コホモロジーとして得られる混合モチーフ理論が挙げられる.混合モチーフ理論は純モチーフ理論の一般化とみなすことができる.
本講演では上記の2つの理論について簡単に述べたのち,混合モチーフ理論の一般化として講演者らが構築したモジュラス付きモチーフ理論の概要を紹介する.この一般化により,従来は扱えなかったホッジコホモロジーやホッジ-ヴィットコホモロジーなどを新たにモチーフ理論で制御できるようになることも述べる.本講演の内容はBruno Kahn氏,齋藤秀司氏,山崎隆雄氏,Shane Kelly氏,小泉淳之介氏とのいくつかの共同研究にもとづく.
Title
ブラウン運動と古典力学系
(Brownian motion and classical mechanical models)
Date
2024年11月6日(水) 16:45〜17:45 (16:15より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Graduate School of Science, Kyoto University)
Speaker
梁 松 (Liang Song)氏 (早稲田大・教)
Abstract
ブラウン運動とは、液体や気体中に浮遊する微粒子が不規則に運動する物理現象のことである。この現象の古典力学系による導出という問題を考える。具体的には、理想気体と呼ばれる一定の初期条件に従う無限個の軽粒子を含む環境に重粒子が置かれ、重粒子と軽粒子は古典力学法則に従い相互作用しながら動くという古典力学系を考察する。この講演では、一定の条件の下で、軽粒子の質量が 0 に収束するとき、重粒子の位置と速度を表す確率過程は拡散過程に弱収束することを解説する。
Title
Weight filtrations and higher algebra
Date
2024年10月30日(水) 16:45〜17:45 (16:15より1階ロビーでtea)
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
Piotr Pstragowski 氏 (京大・白眉センター & 数理研)
Abstract
One of the most classical subjects in mathematics is the study of algebraic varieties, which are subsets of the projective space cut out by polynomial equations. If the variety is smooth and hence topologically a manifold, its cohomology acquires additional structure such as the Hodge decomposition, which puts heavy restrictions on what kind of topological spaces can be made into an algebraic variety. It was discovered in the 1970s by Deligne that even if the variety is singular and hence not a manifold, its algebraic structure leaves a shadow in its topology in the form of the so-called weight filtration on cohomology. I will survey this topic and mention recent joint work with Peter Haine in which we show these filtrations exist at a "spectral" level, in the realm of higher algebra.
大談話会
Title
トポロジカル相の分類問題
(Classification of topological phases)
Date
2024年10月23日(水) 15:10〜16:10
Place
京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Graduate School of Science, Kyoto University)
Speaker
緒方 芳子 (Yoshiko Ogata)氏 (京大・数理研)
Abstract
本講演では量子統計力学におけるトポロジカル相の分類問題と呼ばれる問題についての数学的な研究についてお話しします。量子統計力学において、物質の中で粒子たちがどのように相互作用しているかを規定するのがハミルトニアンと呼ばれるエネルギーを表す演算子です。物理系をどんどん冷やしていって絶対零度となった状態を基底状態と言います。この基底状態がどのような様子をしているかは、このハミルトニアンがどういう性質を持つかに依ります。近年、このハミルトニアンで、「スペクトル(エネルギー準位)にギャップがあるもの」が興味を持たれています。この分類問題についての数学的なアプローチについてお話ししたいと思います。
大談話会
Title
非線形拡散方程式の解の漸近形とその定量的解析
(Quantitative analysis of asymptotic profiles for nonlinear diffusion)
Date
2024年10月23日(水) 16:45〜17:45
Place
京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Graduate School of Science, Kyoto University)
Speaker
赤木 剛朗 (Goro Akagi)氏 (東北大)
Abstract
拡散の古典論から逸脱するいわゆる異常拡散はさまざまな文脈で登場するが、その数学モデルの一つである非線形拡散 (nonlinear diffusion) の研究は古くは Boltzmann にまで遡る。ここでは最もシンプルながら非線形拡散の典型的な特異性を示す冪型の拡散係数を伴う非線形拡散方程式に焦点を当て、その数学的構造や解の性質について概観し、正常拡散との差異について考察するとともに、非線形拡散方程式を解析するための函数解析的手法とそれを用いた解の漸近形の定量的解析に関する近年の進展について概観する。
Title
数え上げ幾何学と導来代数幾何学
(Enumerative geometry and derived algebraic geometry)
Date
2024年10月16日(水) 16:45〜17:45 (16:15より1階ロビーでtea)
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
金城 翼 (Tasuki Kinjo)氏 (京大・数理研)
Abstract
数え上げ幾何学は、幾何学的な対象の数え上げを研究する分野です。例えば以下のような問題を考えます:「二次元のアフィン空間$¥mathbb{C}^2$内の一般の位置に5つの滑らかな二次曲線$C_1$, $C_2$, $C_3$, $C_4$, $C_5$ が与えられている。この5つの二次曲線全てに接する滑らかな二次曲線はいくつあるか?」
この問いはSteinerの問題と呼ばれ、答えが3264本であることが知られています。この値は1860年頃にde JonquieresとChaslesによって独立に(現代の数学の基準では厳密ではない方法で)導出され、その後に20世紀の交叉理論の進展によって彼らの導出が正当化されました。
数え上げ幾何学は素朴な対象を扱う一方で、導来代数幾何学と呼ばれるホモトピー論に立脚した最先端の幾何学との密接な関係を持ちます。実際、上述のSteinerの問題は、導来代数幾何学における仮想基本類の概念と深く関わっています。
本講演ではまず素朴な幾何学的対象を通して導来代数幾何学のアイデアを説明し、その後、数え上げ幾何学と導来代数幾何学の近年の進展について、講演者の結果を交えながら紹介しようと思います。
Title
破壊フェーズフィールドモデルのエネルギー勾配構造とその拡張
(The energy gradient structure of the fracture phase field model and various extensions)
Date
2024年10月9日(水) 16:45〜17:45 (16:15より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Graduate School of Science, Kyoto University)
Speaker
木村 正人 (Masato Kimura)氏 (金沢大・理工)
Abstract
弾性体の変形による亀裂成長現象の理論は破壊力学と呼ばれ、1920年のGriffithによるガラスの脆性破壊理論から始まったとされている。一方で、1998年にFrancfort-Marigoにより、エネルギー最小化を基盤とした変分的破壊力学が創始され、その応用として、亀裂界面エネルギーのAmbrosio-Tortorelli正則化を利用して提案された破壊フェーズフィールドモデルにより、今日では本格的な3次元破壊シミュレーションが可能になっている。Ambrosio-Tortorelli正則化は、もともと画像処理のためのMumford-Shah汎函数の数学的近似手法として考えられたもので、変分的破壊力学と破壊フェーズフィールドモデルの発展において、数学的アイデアの果たしてきた役割は非常に大きいものがある。講演では、エネルギー勾配構造をはじめとした破壊フェーズフィールドモデルの数理について概観し、熱応力破壊、乾燥破壊、粘弾性体破壊、水圧破砕法(フラッキング)などへの拡張について紹介する。
Title
From frieze patterns to Nichols algebras
Date
2024年8月7日(水) 16:45〜17:45 (16:15より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Graduate School of Science, Kyoto University)
Speaker
István Heckenberger 氏 (University of Marburg)
Abstract
Frieze patterns are infinite strips of integers with funny periodic patterns, introduced by Coxeter. The aim of the talk is to introduce different aspects of the mathematics of friezes, with special emphasis of their role in the structure theory of Hopf algebras.
Title
Level crossings of Gaussian stationary processes
Date
2024年7月24日(水) 16:45〜17:45 (16:15より1階ロビーでtea)
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
Ohad Noy Feldheim 氏 (Hebrew University of Jerusalem)
Abstract
Centered Stationary Gaussian Processes (SGPs) are real valued
continuous stochastic processes on R^d or Z^d whose marginals
are centered normal random variables. Gaussianity occurs when
a process is obtained as a sum of many infinitesimal independent
contributions, and Stationarity occurs when the phenomenon in
question is invariant under translations in time or in space.
This makes stationary Gaussian processes an excellent model for
stationary noise and random signals, placing them amongst the
most well studied stochastic processes.
Level crossings of SGPs have been extensively studied for several
reasons: firstly, as a point process related to particle systems
in various media. Secondly, as an instrument for understanding the
behaviour of the Gaussian process itself, and finally, due to the fact
that many physical processes are closely approximated by a stationary
Gaussian processes conditioned not to cross a certain level.
In this talk we will define SGPs and survey classical and recent
results concerning their level crossings, starting from early works
in the 1940s by Kac, Rice and Slepian, through works of Dembo and
Bryc in early 2000's and ending up with recent state of the art
developments obtained with several co-authors. Our journey shall
take us through the forming relations between the theory of SGPs and
convex geometry, Hilbert spaces and finally -- harmonic analysis.
Our focus will be the direction of progress, its interaction with
various subfields of analysis and the ultimate goals it pursues.
No prior knowledge of the subject will be assumed.
Title
非整数階時間微分をもつ偏微分方程式とその逆問題について
(On time-fractional partial differential equations and their inverse problems)
Date
2024年7月17日(水) 16:45〜17:45 (16:15より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Graduate School of Science, Kyoto University)
Speaker
劉 逸侃 (Yikan Liu)氏 (京大・理)
Abstract
通常,与えられた偏微分方程式に対し,適切なパラメーターや初期条件・境界条件のもとで解く問題を順問題と呼ぶが,解の欠落データから係数などを再構成する問題を逆問題という.多くの逆問題は非適切問題,すなわち解の存在性・一意性・安定性のいずれかが成り立たない問題であるが,CTやEITなど様々な非破壊検査で重要な役割を果たしている.一方,拡散方程式などの古典的な発展方程式と異なり,例えば0.7回,1.5回時間微分をもつような偏微分方程式が非局所性を表すことができ,近年理論と応用の両方から注目されている.本講演では,逆問題の概念と非整数階方程式の基本性質に触れたのち,近年得られた非整数階拡散方程式に対するいくつかの逆問題の結果を紹介する.
Title
幾何学的不等式と現象
(Geometric inequalities and phenomena)
Date
2024年7月10日(水) 16:45〜17:45 (16:15より1階ロビーでtea)
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
三浦 達哉 (Tatsuya Miura)氏 (京大・理)
Abstract
等周不等式によってシャボン玉がなぜ丸いかが説明されるように、幾何学的不等式はそれ自身が数学的に興味深い研究対象であるのみならず、往々にして自然現象の解明に直結する。本講演では弾性曲線や極小曲面などの古典的な対象について最近得られたいくつかの幾何学的不等式を紹介し、現象と直接的な関わりを持つことを観察する。
大談話会
Title
Inspirations for Moduli Spaces from Counting Problems
Date
2024年7月3日(水) 15:10〜16:10
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 420 号室
(Rm420, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
Motohico Mulase 氏 (京大・数理研 & University of California, Davis)
Abstract
In this talk I will weave a story of a simple counting problem about cell-decompositions of a closed topological surface. Despite the elementary formulation of the problem, the results as concrete formulas exhibit unexpected connections to, and new interpretations of, the topological properties of the moduli stacks of stable algebraic curves. The key idea of proving all these formulas lies in "topological recursion," the Laplace transform of an elementary combinatorial relation. The story spotlights the hidden "spectral curve" and its quantization known as an "oper." Finally we switch to a new, still developing story of the geometry translating Apéry's irrationality proof of $\zeta(3)$. In this new situation, we have an oper and well-understood moduli problem. Yet we do not know what the spectral curve is, which is expected to be the (semi) classical limit of the oper.
The first part of the talk is based on my joint papers with Olivia Dumitrescu, Bertrand Eynard, Paul Norbury, Sergey Shadrin, Piotr Su\lkowski, and others.
大談話会
Title
3次元球面の種数が3と4のHeegaard分解に対するPowell予想
(The Powell Conjecture for the genus-3 and 4 Heegaard splittings of the 3-sphere)
Date
2024年7月3日(水) 16:45〜17:45
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 420 号室
(Rm420, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
古宇田 悠哉 (Yuya Koda)氏 (慶應大・経)
Abstract
Powell 予想とは,3次元球面のHeegaard分解の写像類群の具体的な有限生成系を提唱するものであり,3次元多様体,結び目,写像類群の研究に関連する未解決問題である.本講演では,この予想の背景を概説した後,Heegaard 分解の種数が3と4の場合にこの予想が正しいことを証明する.種数が3の場合の結果はFreedman--Scharlemann によるものの別証明であり,種数が4の場合の結果は新事実となっている.本講演の内容は,Sangbum Cho 氏 (Hanyang University・KIAS), Jung Hoon Lee (Jeonbuk National University) との共同研究に基づく.
Title
トロピカル有理関数半体と合同
(Tropical rational function semifields and congruences)
Date
2024年6月26日(水) 16:45〜17:45 (16:15より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Graduate School of Science, Kyoto University)
Speaker
宋 珠愛 (Song, JuAe)氏 (京大・理)
Abstract
Since tropical geometry, the main topics of this talk belong to, is an algebraic geometry over a semifield called tropical semifield, we first explain classical algebraic geometry, in particular, the duality of geometry and algebra. Next, we give a brief introduction to tropical geometry. This includes its history, sources, easy examples and important theorems. Then focusing on the tropical version of duality of geometry and algebra, we explain how tropical rational function semifields are well-behaved, i.e., my results on them.
Title
多重ポリログの反復積分表示の離散化について
(On a discretization of the iterated integral expression of the multiple polylogarithm)
Date
2024年6月12日(水) 16:45〜17:45 (16:15より1階ロビーでtea)
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
関 真一朗 (Shin-ichiro Seki)氏 (青山学院大・理工)
Abstract
多重ゼータ値の反復積分表示は1990年代初頭にKontsevich, Drinfel'd, Le--Murakamiらによって得られた重要公式であるが、今年になって、この表示の離散化と呼ばれる新現象が発見された。この新現象について解説した後に、期待される応用や多重ポリログへの拡張について述べる。前阪拓己(九州大学)、渡邉大貴(東京大学)との共同研究および広瀬稔(名古屋大学)、松坂俊輝(九州大学)との共同研究に基づく。
Title
ランダムYoung図形の極限形状と対称群のスピン表現
(Limit shapes of random Young diagrams and spin representations of symmetric groups)
Date
2024年6月5日(水) 16:45〜17:45 (16:15より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Graduate School of Science, Kyoto University)
Speaker
松本 詔 (Sho Matsumoto)氏 (鹿児島大・理工)
Abstract
対称群のプランシェレル測度は,最も基本的なランダムヤング図形を与える.このランダムヤング図形の極限形状は, Logan--Shepp と Vershik--Kerov によりそれぞれ得られている. またBianeは,より広いクラスのランダムヤング図形について,自由キュムラントを用いた極限形状の導出に関する結果を得た.この談話会ではBianeの結果について主に解説する.さらに,講演者とPiotr \'Sniadyとの共同研究によって得られた,対称群のスピン表現から定まるランダムヤング図形の極限形状について触れる.
Title
還元と有限性の研究
(The study of reduction and finiteness)
Date
2024年5月29日(水) 16:45〜17:45 (16:15より1階ロビーでtea)
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
高松 哲平 (Teppei Takamatsu)氏 (京大・理)
Abstract
与えられた方程式の整数解/有理数解がいつ有限個になるか、という問題は整数論の古典的な問題である。このような問題は、整数上定義された代数多様体の有限性(Shafarevich 予想と呼ばれる)と関係がある。本講演では、有理数解の有限性の話から始め、数論幾何の重要な技法である正標数還元という概念を紹介した後、Shafarevich 予想の主張を述べ、時間の許す限り、正標数還元と有限性に関連した私の研究について紹介する。
Title
等号の代わりにパスを用いた代数
(Doing algebra with paths in place of equalities)
Date
2024年5月22日(水) 16:45〜17:45 (16:15より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Graduate School of Science, Kyoto University)
Speaker
前原 悠究 (Yuki Maehara)氏 (京大・数理研)
Abstract
The usual definition of associativity simply states that (ab)c = a(bc)holds for any triple a, b, and c. However, when we use associativity in practice, often our products have more than three factors. When one is working in a context where the natural notion of sameness is not that of equality, this discrepancy becomes a serious issue and one is forced to consider "higher" associativity. (For example, the fundamental group of a topological space enjoys a shadow of this sort of associativity.) In this talk, I will explain how category theory may be used to deal with such "higher" algebra.
Title
高階スケイン代数と量子クラスター代数
(Higher-rank skein algebras and quantum cluster algebras)
Date
2024年5月15日(水) 16:45〜17:45 (16:15より1階ロビーでtea)
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
湯淺 亘 (Wataru Yuasa)氏 (京大・理)
Abstract
スケイン代数とは、厚みのある曲面内の結び目たちの量子不変量からなる代数である。曲面が境界に指定点をもつ場合に、Muller(2016)がsl(2)に付随するスケイン代数と曲面の量子クラスター代数が同型であることを示した。本講演では、スケイン関係式の基本的な解説からはじめ、rank 2の単純リー代数におけるスケイン代数とクラスター代数の対応を紹介する。この講演は石橋典氏(東北大学)との共同研究に基づく。
Title
準F分裂と正標数の双有理幾何学
(Quasi-F-splitting and birational geometry in positive characteristic)
Date
2024年5月8日(水) 16:45〜17:45 (16:15より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科3号館110講演室
(Rm110, Building No.3, Graduate School of Science, Kyoto University)
Speaker
河上 龍郎 (Tatsuro Kawakami)氏 (京大・理)
Abstract
正標数の代数幾何学では,Frobenius射が重要である.特に,Frobenius射の分裂性である「F分裂」という概念は,双有理幾何学,表現論可換環論などの多くの文脈で自然に現れる.
この講演では,F分裂と双有理幾何学の関連について概説した後,F分裂を弱めた概念である準F分裂について述べる.この講演は,高松哲平氏,田中公氏,Jakub Witaszek氏,呼子笛太郎氏,吉川翔氏との共同研究に基づく.
Title
周期的な仕事の割当について
(Scheduling recurring tasks)
Date
2024年4月24日(水) 16:45〜17:45 (16:15より1階ロビーでtea)
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
河村 彰星 (Akitoshi Kawamura)氏 (京大・数理研)
Abstract
いくつかある仕事のそれぞれについて、どの連続する○○日にも一度以上やるべしという日数が指定されている。これを満しながら毎日ひとつづつ仕事をし続けることができるだろうか。できるためには明らかに、指定された日数の逆数の和が1以下である必要があるが、逆にこの逆数和が或る程度小さければ十分であることも判っている。本講演ではこの問題について、必要条件や十分条件、判定する方法(アルゴリズム)やその効率、「一度以上」を「一度以下」や「ちょうど一度」にした変種や、これらに関する最近の研究動向などを解説する。
2023 | 2022 | 2021 | 2020 | 2019 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | 2013 | 2012 | 2011 | 2010 | 2009 | 2008 | 2007 | 2006 | 2005 | 2004 | 2003 | 2002 | 2001 | 2000 | 1999 |