数学入門公開講座

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令和7年度 第46回数学入門公開講座
     (オンライン同時開催)

今年度の公開講座は終了致しました。テキスト全文の掲載は10月頃の予定です。
 

令和7年8月4日-8月7日(第46回) 演題及び講師


数え上げ幾何学と導来代数幾何学
助教・金城 翼

 平面上に三つの円が与えられたとき、その全てに接する円はいくつあるでしょうか?この問題はアポロニウスの問題と呼ばれ、2000年以上の歴史を持ちます。このような幾何学的な対象の数え上げを研究する数学領域を「数え上げ幾何学」と言います。数え上げ幾何学は素朴な出発点を持つ一方で、現代数学における様々な理論と関わり、現在でも活発に研究が行われています。特に、2000年ごろに登場した「導来代数幾何学」と呼ばれる代数幾何学の最新のフレームワークとの関連が近年注目を集めています。本講座ではまず27本の 直線などの古典的な数え上げ幾何学の問題を解説し、その後導来代数幾何学の哲学および数え上げ幾何学への応用を紹介します。

流体力学と数理科学諸分野との関わり
教授・大木谷 耕司

 粘性流体のナビエストークス方程式を軸に、流体力学と数理科学諸分野との関係を垣間見る。
 以下のものを含む話題を予定している。
1 )簡単な厳密解による、乱流理論でのエネルギー散逸率の重要性(流体物理)
2 )非粘性流体のオイラー方程式のハミルトン系としての定式化(微分幾何)
3 )シュレディンガー方程式と流体方程式との関連(量子力学)
4 )オンサーガー予想について最近の発展(微分幾何)

アフィン量子群の表現論入門
助教・藤田 遼

 表現論は種々の代数系の線形空間への作用を通じて対称性を研究する分野です。表現論で扱う代数系として単純リー代数は古典的ですが、20世紀後半以降その「アフィン化」や「量子化」といった変種が物理学との関係もあって注目を浴び、現在も様々なトピックと結びつきながら研究の進展が続いています。この講座では単純リー代数の「アフィン化+量子化」にあたるアフィン量子群の表現論について入門的な解説を試みます。特に最も簡単な単純リー代数 sl2に付随する場合に表現を具体的に計算し、その表現論の面白さと最新の研究成果の一端に触れたいと思います。

◇特別講演◇


Web サービスを支える数学
LINE ヤフー研究所長 田島 玲

 日々多くのユーザーの皆様に使っていただいている web サービスでは、裏側で数学に基づく技術が多く活用されています。本講演では、安心・安全と興味・関心という二つの視点を軸に、数学がどのように実社会のサービスを支えているのかを事例をもとに紹介します。まず、FIDO 認証などの暗号技術や連合学習・差分プライバシーを取り上げ、大規模なユーザーデータを扱う上で欠かせない安全性やプライバシー保護の工夫をご紹介します。また、ユーザーの興味やニーズに応えるために活用されるベクトル検索による高速な類似探索、統計的因果推論による施策効果の検証などについても取り上げ、数学がサービスの快適さやユーザー体験の向上にどのように応用されているかを例示します。

バックナンバー
(講義ノート)

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Research Institute for Mathematical Sciences (RIMS)