所員 -星 裕一郎-

名前 星 裕一郎 (Hoshi, Yuichiro)
講師
E-Mail yuichiro (emailアドレスには@kurims.kyoto-u.ac.jp をつけてください)
研究内容 数論幾何の研究
紹 介
 私は,遠アーベル幾何学という観点を中心として,双曲的な代数曲線,及び,それか ら派生する代数多様体の数論的基本群の研究を行っている。
 Grothendieck は,遠アーベル幾何学という枠組みを提唱すると同時に,その基本的 な問題として,遠アーベル予想,セクション予想という $2$ つの予想を定式化 した。
 [3],[5],[7],[8],[10] は,上記遠アーベル予想関連の研究の成果である。 [3] で は,$p$ 進局所体の絶対 Galois 群の間の開準同型射に対して,その開準同型射が体 の拡大から生じることと,その開準同型射が $p$ 進表現の Hodge-Tate 性を保つこ とが同値であるという事実が証明されている。[5] では,多重双曲的曲線に関する様 々な形の遠アーベル予想型の結果が議論されており,特に,劣 $p$ 進体上の次元 が $4$ 以下の多重双曲的曲線に対する遠アーベル予想が解決されている。[7] では, 中山能力氏との共同研究により,適当な対数的スキームたちのなす圏における狭義射 の圏論的特徴付けを与え,その系として,望月新一氏によって証明されていた 対数的スキームの圏論的表示の別証明を与えた。[8] では,Kummer 忠実体上の アファ インな双曲的曲線に対する遠アーベル予想の研究を行い,そのような曲線の数論的基 本群の間の同型射が曲線の間の同型射から生じるための必要十分条件を与え た。[10] では,木下亮氏と中山能力氏との共同研究により,付加構造付き楕円 曲線の モジュライ空間に対する遠アーベル予想を解決した。
 [1],[4] は,上記セクション予想の研究の成果である。[1] では,セクション 予想の 副 $p$ 版が一般には成立しないことが証明されている。この展開は,双曲的曲 線に対 する遠アーベル予想の副 $p$ 版の成立と対比すると興味深い。[4] では,有理 数体や 虚二次体上の代数曲線に対する双有理セクション予想の研究を行った。特に,例 えば, そのような双有理 Galois セクションが有理点から生じるためのいくつかの必要十分 条件が与えられている。 [2] では,望月新一氏との共同研究として,組み合わせ論的遠アーベル幾何学に関す る様々な話題の研究を行った。特に,副有限 Dehn 捻りの一般論を展開して,その帰 結として,曲線のモジュライ空間上の普遍曲線に対する幾何学版遠アーベル予想を解 決した。
 双曲的曲線の数論幾何学の研究として,遠アーベル幾何学とは独立 に,$p$ 進 Teichmüller 理論の研究を行っている。[6] では,古典的 な $p$ 進 Teichmüller 理論の正標数部分においてもっとも中心的な対象である 巾零許容固有束や巾零通常固有束という概念を,標数が $3$ の場合に考察して いる。 特に,標数が $3$ の場合の巾零許容固有束や巾零通常固有束の Hasse 不変量や超特 異因子を Cartier 作用素を通じて特徴付けて,そして,その系として,望月新一氏 による巾零固有束の通常性の有限エタール被覆に対する安定性の問題を否定的に解決 した。
 Coleman は,曲線の上にある Jacobi 多様体の等分点の分岐に関する研究を行い,あ る仮定のもとでは曲線の上の等分点は不分岐であると予想した。[9] では,古典的 な $p$ 進 Hodge 理論を用いて,絶対不分岐な底上で安定還元を持つ曲線の上の等分 点の分岐の研究を行った。その帰結として,例えば,上記の Coleman の予想の仮定 のもと,曲線の上の等分点は,少なくとも剰余標数倍すれば不分岐となることを証明 した。
  1. Existence of nongeometric pro-p Galois sections of hyperbolic curves, Publ. Res. Inst. Math. Sci. 46 (2010), no. 4, 829-848.
  2. Topics surrounding the combinatorial anabelian geometry of hyperbolic curves I: Inertia groups and profinite Dehn twists (with Shinichi Mochizuki), Galois-Teichmüller Theory and Arithmetic Geometry 659--811, Adv. Stud. Pure Math., 63, Math. Soc. Japan, Tokyo, 2012.
  3. A note on the geometricity of open homomorphisms between the absolute Galois groups of p-adic local fields, Kodai Math. J. 36 (2013), no. 2, 284-298.
  4. Conditional results on the birational section conjecture over small number fields, to appear in the Proceedings for Symposium in Durham (July 2011) ``Automorphic Forms and Galois Representations''. vol. 2, 187--230, London Math. Soc. Lecture Note Ser., 415, Cambridge Univ. Press, Cambridge, 2014.
  5. The Grothendieck conjecture for hyperbolic polycurves of lower dimension, J. Math. Sci. Univ. Tokyo 21 (2014), no. 2, 153--219.
  6. Nilpotent admissible indigenous bundles via Cartier operators in characteristic three, Kodai Math. J. 38 (2015), no.3, 690--731.
  7. Categorical characterization of strict morphisms of fs log schemes (with Chikara Nakayama), Math. J. Okayama Univ. 59 (2017), 1--19.
  8. On the Grothendieck conjecture for affine hyperbolic curves over Kummer-faithful fields, Kyushu J. Math. 71 (2017), no. 1, 1-29.
  9. On ramified torsion points on a curve with stable reduction over an absolutely unramified base, to appear in Osaka J. Math.
  10. The Grothendieck conjecture for the moduli spaces of hyperbolic curves of genus one (with Ryo Kinoshita and Chikara Nakayama), to appear in Kodai Math. J.