メンバー

TOP > メンバー > 磯野 優介

磯野 優介

名前 磯野 優介 (Isono, Yusuke)

特定助教

E-Mail isono(emailアドレスには@kurims.kyoto-u.ac.jp をつけてください)


研究内容 作用素環論の研究

紹 介

私は非従順von Neumann環の分類問題について研究している。
作用素環とは,ヒルベルト空間上の有界線形作用素全体のなす環の部分環の事であり,考える位相の違いによりC$^*$環とvon Neumann環がある。元々はvon Neumannが量子力学を数学的に正しく定式化する際に現れた副産物であるが,数学・物理両方の面から興味深い対象であったため,現在においてもなお数学・物理両方の側面から研究が行われている。数学的にはエルゴード理論や群の表現論と関係が深く,またA. Connesの非可換幾何学,V. Jonesの部分因子環論,D. Voiculescuの自由確率論など,多くの重要な理論が後に発見された。
量子力学で現れるvon Neumann環は全て従順と呼ばれるクラスであり,行列環によって良い近似が出来る事が知られている。このようなクラスの環を研究・分類する事が,初期のvon Neumann環論における最重要問題であったが,冨田・竹崎理論の発展と,A. Connesの決定的仕事によって(数学的には)完全に解決している。これを踏まえ,近年最も興味を持たれているのが,非従順von Neumann環の分類問題である。2001年に,S. Popaが非従順環に対する新しい研究方法を開発した。これは従順な部分環の位置を特定する事で,環全体の構造を理解するような方法である。この新たな方法の発見以降,非従順環の研究は劇的な進展を見せ,多くの未解決問題が解決した。部分環の位置の特定に,環の変形(deformation)と剛性(rigidity)が使われたため,現在ではこの分野はdeformation/rigidity理論と呼ばれている。
私はこのdeformation/rigidity理論を,III型von Neumann環に適用する事に興味を持っている。III型とは環がtrace写像(行列の場合のtraceの一般化)を持たない事を意味する。例えば上で述べた量子力学に現れる従順環はいつもIII型であるし,他にも多くの興味深い例がある。一般にIII型環の構造は極めて複雑で,研究には冨田・竹崎理論が必要である。実はdeformation/rigidity理論における重要技術のほとんどが,III型環に対しては適用出来ない。そこで,これらの技術を冨田・竹崎理論を用いて改良し,III型環に対しても適用可能にする,というのが私が実際に行っている研究である。
例えば[1]では,小沢の性質AOを用いた仕事がIII型環にも直接適用出来る事を示したし,[3]ではspectral gapというPopaの開発した技術がIII型環でも再現できる事を示した。結果として,多くのIII型環に対する構造定理を示す事が出来た。
[2,4]では(作用素環的)量子群から作るvon Neumann環に対してもdeformation/rigidity理論が使える事を示した。特に興味を持たれている例である自由量子群を対象に含むため,その価値は高い。
[4,5]では,deformation/rigidity理論における最重要技術の一つであるintertwining theoremを,初めてIII型環に適用する事に成功した。これは適用範囲も広く満足のいく形であったが,未解決の部分もあった。近年の研究[10]でようやく,極めて満足のいく形での定理の再現に成功した。これは冨田・竹崎理論の基本的道具であるmodular作用が,そのままintertwining theoremに組み込まれるという,非常に美しい形をした定理である。この定理は実用性も高く,今後も基本的道具として活躍する事が期待される。

  1. Weak exactness for C$^*$-algebras and application to condition (AO), J. Funct. Anal. {\bf 264} (2013), 964--998.
  2. Examples of factors which have no Cartan subalgebras, Trans. Amer. Math. Soc. {\bf 367} (2015), 7917--7937.
  3. (with C. Houdayer) Bi-exact groups, strongly ergodic actions and group measure space type III factors with no central sequence, Comm. Math. Phys. {\bf 348} (2016), no. 3, 991--1015.
  4. Some prime factorization results for free quantum group factors, J. Reine Angew. Math. {\bf 722} (2017), 215--250.
  5. (with C. Houdayer) Unique prime factorization and bicentralizer problem for a class of type III factors, Adv. Math. {\bf 305} (2017), 402--455.
  6. Cartan subalgebras of tensor products of free quantum group factors with arbitrary factors, Anal. PDE {\bf 12} (2019), no. 5, 1295--1324.
  7. Unique prime factorization for infinite tensor product factors, J. Funct. Anal. {\bf 276} (2019), 2245--2278.
  8. On fundamental groups of tensor product II$_1$ factors, J. Inst. Math. Jussieu., to appear.
  9. (with C. Houdayer) Factoriality, Connes' type III invariants and fullness of amalgamated free product von Neumann algebras, Proc. Roy. Soc. Edinburgh Sect., to appear.
  10. Unitary conjugacy for type III subfactors and W$^*$-superrigidity, preprint 2019, arXiv:1902.01049.

← BACK TO THE TOP

← BACK TO THE TOP

  • Follow on

Research Institute for Mathematical Sciences (RIMS)