所員 -大浦 拓哉-

名前 大浦 拓哉 (Ooura, Takuya)
助教
E-Mail ooura (emailアドレスには@kurims.kyoto-u.ac.jp をつけてください)
研究内容 数値解析,数値計算技法の開発
紹 介
 数値解析の分野での基礎的な数値計算法の開発およびその解析を 中心に行っている。これまでの主な研究内容は,フーリエ型積分変換の 高速高精度計算の研究である。
 無限区間の収束の遅いフーリエ型積分の計算はさまざまな理工学の分野で 必要とされるが,絶対収束しないような収束の遅いフーリエ積分は, 十数年ほど前までは計算機で値を計算することが困難であった。 この計算困難性の問題は,無限区間のフーリエ積分の計算が応用上非常に 重要であるという背景から,日本や海外の多くの研究者を悩ませてきた。 この収束の遅いフーリエ積分の計算法はここ十数年ほどで 飛躍的に進歩し,筆者および森正武氏により, いくつかのフーリエ積分に対して有効な二重指数関数型公式(DE公式)の 提案を行い,この困難を克服した[1],[2],[3],[8],[11]。これらの公式の 提案により,収束の遅いフーリエ積分が通常の有限区間の積分と同程度の 手間で計算可能となった。 なお,本論文のアルゴリズムは,有名な数学ソフトウェアMathematicaでの 数値積分``NIntegrate''で採用されている。
 フーリエ型積分変換計算のもうひとつのアプローチとして, 連続オイラー変換の研究 [4],[5],[7],[10]がある。 連続オイラー変換は,収束の遅い,または緩やかに発散するフーリエ積分を 速く収束するフーリエ積分に変換するための方法として私が考案した ものである。この連続オイラー変換を応用することで, 今まで計算が困難だった収束の遅いまたは緩やかに発散するフーリエ積分に 対する高速高精度の数値計算が可能になった。 さらに,級数加速に関する有名な書である G. H. Hardy 著の ``Divergent Series'', Oxford University Press, (1949) には オイラー変換((E,1) definition)の連続版は存在しないと記されていて (pp.11),この連続オイラー変換の発見はその記述を覆すものであり, 数値解析の分野において,この発見は今後さらに大きな革新を もたらすものであるとの予測がついている。 今後の研究課題は,この連続オイラー変換の研究を発展させ,さまざまな 数値計算に応用することである。
 その他の積分計算法の研究として,変数変換型数値積分公式の 高速高精度化を行った[6],[9],[12]。 論文[6]ではさまざまなタイプのDE公式 (二重指数関数型数値積分公式)の信頼性と計算効率をともに 向上させる方法の提案を行った。この方法を用いることでDE公式の 誤差の信頼性を大きく向上させることができ,さらに計算時間の 短縮も可能となった。また,論文[9]ではDE公式と同じ漸近性能を 持つIMT型公式の提案を行った。変数変換型数値積分公式は, 代表的なものに伊理正夫・森口繁一・高澤嘉光のIMT公式と, 高橋秀俊・森正武のDE公式があるが,IMT公式はその多くの改良版も 含めて,DE公式に漸近性能で劣っていた。 この論文では,DE公式と同じ漸近誤差を達成するIMT型積分公式を 初めて提案した。
 また,フーリエ積分の計算の一環として, 汎用で高速なFFT(高速フーリエ変換)ライブラリの作成を行った。 この方法は,Split-Radix FFTに再帰的なバタフライ演算を させることでメモリーアクセスを高速化したものである。このライブラリは WEBで一般公開し,多くの教育機関や企業で用いられている。 今後はさらに多くの数値計算ライブラリの開発および改良を行う予定である。
  1. The double exponential formula for oscillatory functions over the half infinite interval, J. Comput. Appl. Math., 38 (1991), 353--360. (with M. Mori)
  2. Double exponential formulas for Fourier type integrals with a divergent integrand, Contributions in Numerical Mathematics,ed. R. P. Agarwal, World Scientific Series in Applicable Analysis, 2 (1993), 301--308. (with M. Mori)
  3. A robust double exponential formula for Fourier type integrals, J. Comput. Appl. Math., 112 (1999), 229--241. (with M. Mori)
  4. A Continuous Euler Transformation and its Application to the Fourier Transform of a Slowly Decaying Function, J. Comput. Appl. Math., 130 (2001), 259--270.
  5. A Generalization of the Continuous Euler Transformation and its Application to Numerical Quadrature, J. Comput. Appl. Math., 157 (2003), 251-259.
  6. 二重指数関数型数値積分公式の収束判定法の改良, 日本応用数理学会論文誌, 13 (2003), 225-230.
  7. 連続Euler変換による二次元振動積分の計算法, 応用数学合同研究集会報告集, 龍谷大学(2005), 149-152.
  8. A Double Exponential Formula for the Fourier Transforms, Publ. RIMS, Kyoto Univ., 41 (2005), 971-977.
  9. An IMT-type quadrature formula with the same asymptotic performance as the DE formula, J. Comput. Appl. Math., 213 (2008), 232-239.
  10. 連続オイラー変換による超関数の直接計算, 雑誌「数学」、岩波書店、2009年61巻3号.
  11. 二重指数関数型変換を用いた様々な積分変換の計算法、 日本応用数理学会論文誌、Vol.19, No.1, (2009), 73-79.
  12. Fast computation of Goursat's infinite integral with very high accuracy, J. Comput. Appl. Math., 249, (2013), 1--8.