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齋藤 盛彦

名前 齋藤 盛彦 (Saito, Morihiko)

特任教授

E-Mail msaito (emailアドレスには@kurims.kyoto-u.ac.jp をつけてください)

U R L

研究内容 代数解析学の研究

紹 介

 ホッジ加群[1][2]や$D$-加群の理論の応用等について研究を続けている。まず$b$-関数の根を計算するための極位数スペクトル系列の研究に関しては,昨年来続けている4変数斉次多項式の場合にかなりの進展があった[3]。去年の段階では,極位数スペクトル系列の$E_1$項を構成する各要素を具体的に計算する方法がよく分からなかったのであるが,色々と調べているうちにコンピュータソフトの Singular や Macaulay2 などをうまく使えば,4変数の場合には$E_1$項に関する自己双対性定理と組み合わせることによって,普通の具体例の場合にはそれらはごく簡単に計算でき,理論的考察には多いに役立つことが分かった。これをもとに研究を続けた結果,4変数斉次多項式で定義されるアファイン超曲面が局所的には重み付き斉次多項式で定義され,かつ対数ベクトル場が自由加群な場合には極位数スペクトル系列が殆ど$E_2$退化することが証明できた。これは更に4変数超平面配置の場合に拡張され,そこでは対数ベクトル場のマンフォード正則性に関して今まで知られていた結果を改良することが必要となったがこれも比較的簡単に証明された[4]。なお上記の場合においては対応する射影超曲面は孤立特異点ではないので,2年前の$E_2$退化に関する結果を適用することはできない。また,アファイン超曲面の対数ベクトル場が自由加群な場合には,極位数スペクトル系列の$E_2$項の交代和には二重対称性があることが具体例の計算から発見され,それも理論的に証明することができた[5]。これは将来$b$-関数の根の計算に役立つものと期待されている。
射影的超平面配置の補集合上の階数1の局所系のコホモロジー(例えばミルナー束のコホモロジー)を青本複体を使って計算する方法に関しては,シェヒトマン・寺尾・ヴァルチェンコの条件を満たさない場合の計算方法についての考察を行った[6]。これは思ったよりもかなり複雑で,簡単な公式を得るのは無理なようである。応用としては,他の人の結果と合わせることにより,$G_{31}$型の複素鏡映群に付随した超平面配置のミルナー束の一次コホモロジー群が消えることをコンピュータを使わずに証明することができた。なお,$G_{31}$型の超平面配置は次数60で,その組合せ論的考察というのはそう簡単ではない。
ホッジ・イデアルの理論に関連しては,韓国の S.-J. Jung, I.-K. Kim, Y. Yoon との共著でホッジ・イデアル・スペクトルに関する研究を行い,超曲面孤立特異点の場合にホッジ・イデアルと超局所$V$-フィルトレーションとがヤコビ・イデアルを法としても違っている為の十分条件などを調べた[7]。
代数多様体の退化の理論に関連しては,特異ファイバーが有理特異点しか持たない場合の一般ファイバーのコホモロジーとの関係を,Kerr-Lazaの論文との関連で研究した[8]。

  1. Modules de Hodge polarisables, Publ. RIMS, Kyoto Univ. 24 (1988), 849--995.
  2. Mixed Hodge Modules, Publ. RIMS, Kyoto Univ. 26 (1990), 221--333.
  3. Roots of Bernstein-Sato polynomials for projective hypersurfaces with general hyperplane sections having weighted homogeneous isolated singularities, preprint
  4. Degeneration of pole order spectral sequences for hyperplane arrangements of 4 variables, preprint
  5. Double symmetry of modified spectra, preprint (Appendix to [3])
  6. Rank one local systems on complements of hyperplanes and Aomoto complexes, preprint
  7. Hodge ideals and spectrum of isolated hypersurface singularities, preprint (with Seung-Jo Jung, In-Kyun Kim and Youngho Yoon)
  8. Smoothing of rational singularities and Hodge structure, preprint

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