所員 -竹広 真一-

名前 竹広 真一 (Takehiro, Shin-ichi)
准教授
E-Mail takepiro (emailアドレスには@kurims.kyoto-u.ac.jp をつけてください)
研究内容 地球および惑星流体力学の研究
紹 介
 地球および惑星などの天体での流体現象を記述し考察するための 流体力学の研究を行なっている。 地球および惑星規模の流れの特徴的な性質を与える主な要因として, 惑星が自転していること・重力と密度成層・構成物質の相変化 ・領域が球形であること,といった点があげられる。 惑星大気やマントル・中心核の現象の複雑な状況を単純化したモデルを構成し, その中に登場する自転速度や重力と密度成層の強さ, 球の半径などのパラメターを様々に変えて, 計算機を用いた数値実験によって流れの様子を求め, さらに数値実験結果に現れた流れの性質を統合的にとらえるための理論を 構築することを試みる。 このような作業を通じて 地球や惑星のさまざまな流体現象に内在する基本的な流体力学的ふるまいを 理解することを目指している。 また,上記の研究を効率的に行なうための 数値計算技法とソフトウェアの開発も行なっている[4,9]。 単純化したモデルを用いて流れの基本的な性質を掌握しておくことは, さまざまな物理過程を取り込んだシミュレーションモデルにおいて 表現されるべき流体力学過程を明らかにすることとなり, そのことが地球や惑星の構造とその進化に対する予言能力の獲得に つながると期待される。
 これまでの具体的な研究テーマの一つとして, 木星型惑星大気・太陽大気および惑星中心核の単純化したモデルである 回転球殻内での熱対流の研究があげられる。 この問題に対して,近年急速に発達した計算機を利用して線形安定性 と弱非線形計算を数値的に実行し, 球殻の回転角速度や厚さなどのパラメターを広い範囲で変化させて 発生する熱対流の構造の変化の様子を調べ, その流れの支配要因の分析を詳細に行った[6,7]。 その結果,回転が遅い場合には回転と逆向きに 伝播するバナナ型の対流セルが出現すること,回転が速い場合には回転方 向と同じ向きに伝播する回転軸に沿った柱状あるいは螺旋状に棚引い た対流セルが出現すること,そしてこの傾向は球殻の厚さに関係なくテイ ラー数にして $10^4$ 程度のところで遷移すること,を見出した。 そして バナナ型・柱型・螺旋型といった対流構造と伝播性質が,実は渦度の 伸縮に伴う波動運動の性質の違いによるものであることを見出し,従来の 単にみかけの形態による対流パターンの分類を力学的な構造に結びつける ことに成功した[6,7]。 加えて,対流の存在によって生成される平均帯状流の構造を, 同様に広いパラメター範囲に渡って求めることを行い,さまざまに変化する帯状 流分布の生成の仕組みを分類し明らかにした[10]。 最近では,地球内核内の流れ[2], 回転球殻内の磁気流体ダイナモ[3], 木星大気および地球中心核の状況を想定した球殻の上層に安定成層が 存在する場合の熱対流による帯状流分布とその生成過程[1,5], ならびに安定成層内の2次元乱流運動[8]についても考察している。 太陽や木星型惑星の表面の平均帯状流は観測可能な物理量であり, 各天体の大気運動を特徴づけるものとしてそのパターンが以前から注目され, その生成過程を詳細に調べることは地球惑星科学的な面からも重要である。 また,現在フランスのサクレー研究所と共同して 太陽及び恒星内部の熱対流の臨界状態と有限振幅状態との関係について 研究を進めている。
  1. Penetration of steady fluid motions into an outer stable layer excited by MHD thermal convection in rotating spherical shells, Phys. Earth Planet. Inter., (2017) in print. (with Y. Sasaki)
  2. Influence of surface displacement on solid state flow induced by horizontally heterogeneous Joule heating in the inner core of the Earth, Phys. Earth Planet. Inter., 241 (2015), 15--20.
  3. Effects of latitudinally heterogeneous buoyancy flux conditions at the inner boundary on MHD dynamo in a rotating spherical shell, Phys. Earth Planet. Inter., 223 (2013), 55--61. (with Y. Sasaki, S. Nishizawa, and Y.-Y. Hayashi)
  4. "Gtool5": a Fortran90 library of input/output interfaces for self-descriptive multi-dimensional numerical data, Geosci. Model Dev., 5 (2012) 449-455. (with M. Ishiwatari and other 13 authors)
  5. Retrograde equatorial surface flows generated by thermal convection confined under a stably stratified layer in a rapidly rotating spherical shell, Geophys. Astrophys. Fluid Dyn., 105 (2011) 61-81. (with M. Yamada and Y.-Y. Hayashi)
  6. On the retrograde propagation of critical thermal convection in a slowly rotating spherical shell, J. Fluid Mech, 659 (2010) 505-515.
  7. Physical interpretation of spiralling-columnar convection in a rapidly rotating annulus with radial propagation properties of Rossby waves, J. Fluid Mech., 614 (2008) 67-86.
  8. Circumpolar jets emerging in two-dimensional non-divergent decaying turbulence on a rapidly rotating sphere, Fluid Dynam. Res., 39 (2007) 209-220. (with M. Yamada and Y.-Y. Hayashi)
  9. SPMODEL: A series of hierarchical spectral models for geophysical fluid dynamics, Nagare Multimedia (2006)
    http://www.nagare.or.jp/mm/2006/index_en.htm (with M. Odaka, K. Ishioka, M. Ishiwatari, Y.-Y. Hayashi and SPMODEL Development Group)
  10. Mean zonal flows excited by critical thermal convection in rotating spherical shells, Geophys. Astrophys. Fluid Dyn., 90 (1999), 43--77. (with Y.-Y. Hayashi)