特任講師 -山下 剛-

名前 山下 剛 (Yamashita, Go)
特任講師
E-Mail gokun (emailアドレスには@kurims.kyoto-u.ac.jp をつけてください)
研究内容 数論幾何の研究
紹 介
数論幾何, 特に以下のトピックに関心を持っている:
  • p進Hodge理論とそれに関連する分野((\varphi,\Gamma)加群, p進微分方程式など),
  • 岩澤理論とBloch-加藤の玉河数予想,
  • 多重ゼータ値, 淡中基本群, 混合Tateモチーフ,
  • 志村多様体(やDrinfel'dモジュラー多様体やシュトゥカのモジュライ) とLanglands対応,
  • 保型性持ち上げ定理(R=\mathbb{T}) とp進Langlands対応,
  • 代数的サイクル, 混合モチーフ, 代数的K理論,
  • 宇宙際Teichmüller理論とそれに関連する分野(遠アーベル幾何, p進Teichmüller理論, Hodge-Arakelov理論など).
 多重ゼータ値は, 共形場理論・KZ方程式・結び目の量子不変量・擬テンソル圏・擬三角擬Hopf量子普遍包絡代数・曲線のモジュライ・Grothendieck-Teichmüller群・混合Tateモチーフ・代数的K理論など数学・物理の様々な分野と関連する面白い対象である. [2]において, 多重ゼータ値におけるDon Zagier氏の次元予想のp進版であるp進多重ゼータ値の空間の次元についての予想を定式化(古庄英和氏との予想) し, 混合Tateモチーフの圏のモチーフ的Galois群を用いることで代数的K理論と関係のある予想値で次元を上からおさえることを示した([6] も参照). これは多重ゼータ値の空間の次元に関する寺杣友秀氏, Alexander Goncharov氏, Pierre Deligne氏による結果のp進版であり, p進多重ゼータ値に膨大な線形関係式が存在することを示している. また, ここでは以前開多様体に対して拡張したp進Hodge理論([1], [5]) も使われている. p進多重ゼータ値の空間と同様にp進多重L値の空間の次元も代数的K理論と関係のある量で抑えたが, 多重L値の時と同様にp進多重L値の間には一般に代数的K理論だけでは説明できない関係式が存在し, その一部は保型形式と関係することも分かった([2], [6]). 混合Tateモチーフの圏のモチーフ的Galois群の特殊元についてのGrothendieckの予想のp進版も定式化し, それと上述の古庄英和氏との次元予想及びp進等圧予想との関係も明らかにした([2], [6]). 岩澤理論の"混合Tate型の非可換化" の方向性の疑問についても[2] で言及した.

 [4] の内容は玉川安騎男氏からの質問へ返答である. Pierre Berthelot氏とArthur Ogus氏によるp進Lefschetz(1,1)定理を準安定還元の場合へ拡張することと兵頭治氏と加藤和也氏による兵頭-加藤同型を族の場合に拡張することでDavesh Maulik氏とBjorn Poonen氏によるPicard数跳躍軌跡についての結果を拡張した.

 Andrew Wiles氏とRichard Taylor氏によってつくられMark Kisin氏によって改良されたTaylor-Wiles系の議論による保型性持ち上げ定理(Rred = \mathbb{T})とそこから得られるLanglands対応において, 技術的には整p進Hodge理論を用いて局所普遍変形環を調べることが核心になってくる. [3] ではLaurent Berger氏とHanfeng Li氏とHui June Zhu氏によるFrobenius跡の附値が十分大きい時のクリスタリン表現の法p還元の計算及びそれを用いたMark Kisin氏による局所普遍変形環の構造解明の手法をn次元表現に拡張した (考える絶対Galois群もp進体だけでなくその有限次不分岐拡大にも拡張した). その研究をFrobenius跡の附値が大きくないときにも推し進め, p進体の絶対Galois群の2次元表現でHodge-Tate重みの差が(p2 + 1)/2以下の時にクリスタリン表現の法p還元の様子が超幾何多項式の係数や終結式のp可除性などにより統制される事実を見つけた([7]). これはクリスタリン表現の法p還元についてこれまで知られていなかった現象である. また, 統一的視点もなく予想すらなかった法p還元の研究において部分的にであれ一般的な規則を見出したので, それと手がかりにより統一的な視点も模索したい. また, Pierre Colmez氏・Christophe Breuil氏・Vytautas Paskunas氏・Matthew Emerton氏たちによるp進Langlands対応の拡張の研究への応用や相互作用も期待される.

 近年は, 望月新一氏による宇宙際幾何学のさらなる発展の方向性で同氏と共同研究をしている. 望月新一氏の計算においてabc予想の誤差項にRiemannゼータ関数との関連性を示唆する1/2が現れる. 一方, 同氏の宇宙際Teichmüller理論においてテータ関数が中心的役割を果たすのであるが, テータ関数はMellin変換によってRiemannゼータ関数と関係する. さらに, 宇宙際Teichmüller理論において宇宙際Fourier変換の現象が起きている. これらのことから, 長期的な計画であるが"宇宙際Mellin変換" の理論ができればRiemannゼータ関数と関係させることができるのではないかと期待して共同研究を進めている.

 他, 代数的サイクルやp進微分方程式やtモチーフなどでそれぞれ関連する専門家と議論を進めることもしている.

References

  1. Yamashita, G. p-adic etale cohomology and crystalline cohomology for open varieties with semistable reduction. preprint.
  2. Yamashita, G. Bounds for the dimensions of p-adic multiple L-value spaces. Documenta Math. Extra Volume: Andrei A. Suslin's Sixtieth Birthday (2010), 687-723.
  3. Yamashita, G., Yasuda, S. Applications of integral p-adic Hodge theory to automorphy lifting for unitary groups. preprint.
  4. Yamashita, G. p-adic Lefschetz (1,1) theorem in semistable case, and Picard number jumping locus. Math. Res. Let. 18 (2011), no. 01, 107-124.
  5. Yamashita, G. p-adic Hodge theory for open varieties. Comptes Rendus Math., volume 349 (2011), issues 21-22, 1127-1130.
  6. Yamashita, G. p-adic multiple zeta values, p-adic multiple L-values, and motivic Galois groups. Galois-Teichmüller Theory and Arithmetic Geometry, Adv. Studies in Pure Math. 63 (2012), 629-658.
  7. Yamashita, G., Yasuda, S. Reduction of two dimensional crystalline representations and Hypergeometric polynomials. In preparation.