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山田 道夫

名前 山田 道夫 (Yamada, Michio)

名誉教授

E-Mail yamada (emailアドレスには@kurims.kyoto-u.ac.jp をつけてください)


研究内容 流体力学・非線形力学・ウェーブレット解析の研究

紹 介

 2次元および3次元の Navier-Stokes 方程式に従う流体の運動を研究している。対象となる流体運動は、流体乱流、回転乱流、微小生物に関わる遅い流れなどである。乱流については流れの統計的特徴と相空間におけるカオス軌道の性質の関係、回転系の流れでは天体や地球惑星系における大規模流体運動と関連する波動と流れの相互作用、遅い流れでは微小生物の運動機構などについて興味を持ち、それぞれ理論的および数値解析的な研究を行うと共に、これらの研究に現れるデータ解析に必要な応用数学的手法の研究も行っている。

・乱流の統計性質の研究
発達した流体乱流の統計性質と相空間の軌道構造の関係に興味を持っている。流体乱流のモデル方程式であるシェルモデルや低次元写像を用いて、低次元微分方程式系におけるカオス平均と周期軌道平均の関係を調べている。また(共変)リヤプノフ解析を、2次元トーラス上の Navier-Stokes 方程式(Kolmogorov問題)、ミニマル壁乱流、拡がった壁乱流などに用いて、流体系の非双曲性のReynolds数依存性、流れの中の渦の自己維持構造と軌道不安定性の関係、軌道不安定性から見た大スケール秩序構造などについて調べている。

・回転を含む系の流体運動
回転球面上において、自由減衰2次元乱流におけるジェット形成、強制2次元乱流における最終状態などについて調べている。後者については、定常解の分岐図を調べ回転による流れの安定化の性質や乱流解上の平均量の低次元計算などを行った。回転球面上の流体系では Rossby 波とジェットの相互作用が重要であるが、その記述は容易ではなく、臨界層によるジェット加速機構やRossby波の共鳴相互作用の有用な定量的記述は難しい。これらの問題に興味をもち、平行流の周りの線形摂動解の漸近形、特にRossby 波の反射係数と透過係数などによる平均流加速量の評価を行った。またRossby波の共鳴/非共鳴相互作用について、帯状流形成における役割を理論的・数値的に調べている。また3次元流に回転が及ぼす影響を、回転球殻内の熱対流パターンについて調べている。

・波動運動の安定性
一様シア流の上の有限振幅の定常進行波の安定性を調べている. この系は,一様シアの無い場合と同様,エネルギーを位相速度の関数と みたときにエネルギーの極値を与える解から superharmonic な 不安定性を生じることが,近年村重淳らによって数値的に見出された. この現象について,ハミルトン形式の発展方程式を用いることで 解析的な証明を与えた.

・微小生物の周りの遅い流れ
流体中の微小生物がゆっくりと形状変化する場合は、周囲の流れは定常 Stokes 流として扱うことができる。このような場合について、生物の形状変化が往復運動であるときは、形状変化の一周期における生物の移動距離がゼロとなることを主張する「Purcell の帆立貝定理」が知られている。これは微小生物の運動形態に強い制約を与える重要な定理であり多くの研究者が部分的な証明を試みてきたが、完全な証明は知られていなかった。そこで、周囲に流体が存在しない仮想的な生物を導入して生物運動を形状変形運動と重心・回転運動に分離することによって、この定理の完全な証明を与えた。

・ウェーブレットおよびデータ解析法の研究
データ解析に利用するために、与えられた波形に近い関数形を持つウェーブレット(双直交ウェーブレット)の構成方法を研究している。2スケール関係式の係数によって作られるシンボルと呼ばれる関数を最適化することによる双直交ウェーブレットの構成などにより、直交ウェーブレット展開の特性を利用したデータ解析や波形合成、また大規模構造物設計用の地震波形合成などを行った。また話者分離問題と関連して、雑音が重畳したデータの解析手法に興味を持っている。

  1. Resonant interaction of Rossby waves in two-dimensional flow on a beta plane, Physica D, 245(1), 1-7 (2013). doi: 10.1016/j.bbr.2011.03.031 (with T.Yoneda)
  2. Stability and bifurcation diagram of Boussinesq thermal convection in a moderately rotating spherical shell allowing rotation of the inner sphere, Phys. Fluids, 25, 084107-1 to 15 (2013). doi:10.1063/1.4819140 (with K.Kimura and S.Takehiro)
  3. Equatorial symmetry of Boussinesq convective solutions in a rotating spherical shell allowing rotation of the inner and outer spheres, Phys Fluids, 26, 084105 (2014). doi: 10.1063/1.4893374 (with K.Kimura and S.Takehiro)
  4. Regeneration cycle and the covariant Lyapunov vectors in a minimal wall turbulence, Phys. Rev. E 92, 023022-1 to -14 (2015). doi: 10.1103/PhysRevE.92.023022 (M.Inubushi, S.Takehiro)
  5. Bifurcation structure of two-dimensional viscous zonal flows on a rotating sphere, Journal of Fluid Mechanics, 774, pp 224- 244 (2015). doi: http://dx.doi.org/10.1017/jfm.2015.262 (with E.Sasakia, S.Takehiro)
  6. Reconstruction of chaotic saddles by classification of unstable periodic orbits: Kuramoto-Sivashinsky equation, Chaos, 25, 103123 (2015). doi: 10.1063/1.4933267 (with Y.Saiki, A.C.-L.Chian, R.A.Miranda and E.L. Rempel)
  7. Effects of radial distribution of entropy diffusivity on critical modes of anelastic thermal convection in rotating spherical shells. Physics of the Earth and Planetary Interiors, Physics of the Earth and Planetary Interiors, vol.276, pp.36-43 (2018). doi: 10.1016/j.pepi.2017.09.003 (with Y.Sasaki, S.Takehiro, M.Ishiwatari)
  8. An orbital instability of minimal plane Couette turbulence Physics of Fluids 30, 034107 (2018). doi: 10.1063/1.5017798 (with T.Ishikawa, S.Takehiro)
  9. Three-wave resonant interactions and zonal flows in two-dimensional Rossby-Haurwitz wave turbulence on a rotating sphere. Phys. Rev. Fluids 4, 024601 (2019) doi: 10.1103/PhysRevFluids.4.024601
  10. (with K.Obuse)
  11. Local representation and construction of Beltrami fields. Physica D, vol.391, pp.8-16 (2019), doi: 10.1016/j.physd.2019.02.003 (with N.Sato)

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Research Institute for Mathematical Sciences (RIMS)