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全学共通科目講義(1回生~4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
―― 基礎概念とその諸科学への広がり
授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第12回
日時: 2008年7月11日(金)
16:30-18:00
場所: 数理解析研究所 420号室
講師: 玉川 安騎男 教授
題目: ヒルベルトの既約性定理とその応用
要約:
有理数係数の2変数既約多項式 f (t,x) に対し、 f (b,x) が(x の1変数多項式として)既約 になるような有理数 b が無限個存在します。 これが、David Hilbert (1862-1943) の 既約性定理の最も初等的な定式化です。

この既約性定理は、有理数体を実数体や複素数体に とりかえると成立しません。また、有限体やp進体に とりかえてもやはり成立しません。基底定理、零点定理、 定理90など、ヒルベルトの名が残る定理はいくつも ありますが、その中で、既約性定理は数論的かつ大域的な 定理ということができ、実際、現代の整数論、数論幾何の 研究にもしばしば登場します。

この講義では、既約性定理のさまざまな定式化や証明の概略を 述べた後、その応用として、数論の古典的な未解決問題である ガロアの逆問題への一つの標準的なアプローチを紹介します。 また、講義全体を通じて、群・環・体などの代数学の基本的 対象に親しんでもらえるようにしたいと思っています。


"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"

 

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