全学共通科目講義(1回生~4回生対象)
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現代の数学と数理解析 |
―― 基礎概念とその諸科学への広がり |
数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。 | |
日時: | 2018年6月29日(金) 16:30-18:00 |
場所: | 数理解析研究所 420号室 |
講師: | 磯野 優介 特定助教 |
題目: |
力学系の同型問題とKolmogorov-Sinaiエントロピーに ついて |
要約: |
力学系とは状態の時間変化を表す数学モデルのことである.その起源はニュートン力学にまで遡り,豊かな数学的構造を持つ対象として長く研究されてきた.本講義では,それらの研究の中でもとりわけ重要とされている,力学系の同型問題に焦点を当てる.同型問題とは要するに,与えられた二つの力学系が互いに同一視出来るかどうかを調べよという事で,数学においては自然な問題意識の一つである. Kolmogorovはこの問題を考えるため,エントロピーと呼ばれる不変量を導入した.これは簡単に言うと,力学系に対してある方法で定まる数字を対応させるという事である.この数字を比較する事で,力学系が互いに同じかどうかを判定しようのが基本的な考え方だ.Kolmogorovは実際にこの数字を計算する事で,当時問題となっていたベルヌーイ力学系に対する同型問題を見事に解決した.(正しくは後のOrnsteinの仕事と合わせての解決である.)この大きな成功もあり,現在ではエントロピーは力学系の研究に欠かせない基本的な道具になっている.ちなみにエントロピーという名前は,情報理論におけるShannonエントロピーから来ており,後にSinaiが理論を整備した事と合わせて,現在ではKolmogorov-Sinaiエントロピーと呼ばれている. 本講義では,このKolmogorov-Sinaiエントロピーについて紹介し,さらにベルヌーイ力学系に対してその計算を試みる. 参考文献: この講義に最も適した本は[1]であり,講義の内容は全てこの本で学習できる.[2]は力学系の位相的エントロピーについて解説しており,最後の章でKolmogorov-Sinaiエントロピーとの関係が述べてある.[3]は近年のブレイクスルーであるsoficエントロピーについての入門書で,基本的な事から分かりやすく書いてあり読みやすい.
[1]
十時東生,エルゴード理論入門,共立出版
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"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html" |