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山下 真由子

名前 山下 真由子 (Yamashita, Mayuko )

助教

E-Mail mayuko (emailアドレスには@kurims.kyoto-u.ac.jp をつけてください)


研究内容 (微分幾何学の研究)

紹 介

 私は微分幾何学・トポロジーの研究をしています。その中でも特に , Atiyah-Singer の 指数理論や作用素環の手法,さらに測度付き距離空間の理論などを用いる研究を行ってい ます。また,それらを用いた数理物理学への応用にも興味があります。 Atiyah-Singer の指数定理は,閉多様体上の楕円型作用素の Fredholm 指数を特性類で 表す定理であり,多様体上の解析とトポロジーを結び付ける結果として,現代数学の発展 において重要な役割を果たしてきました。指数定理は位相空間上の K 理論の言葉で記述 されますが,この理論の枠組みをより一般に作用素環の K 理論を用いて拡張することで, 純粋な幾何学の立場からは扱うのが難しい状況に対して作用素環論を用いた手法が強力な 道具となりうることが明らかにされてきました。有名な例としては,多様体上の正スカ ラー曲率の存在に関する問題や,葉層構造のトポロジーへの応用が知られています。 私は [1] において境界にファイバー束構造を持つ多様体上の指数理論に対する K 理 論的な一般論を構築しました。従来このような対象の上で指数理論を展開するときは, Mazzeo-Melrose による超局所解析という解析的な道具が主に用いられてきましたが,私 は作用素環論の K 理論を用いることで,トポロジカルな扱いを可能にしました。また,こ の理論の応用のひとつに,特異ファイバー束上の符号数の局所化の問題があります。この 問題は,微分幾何学,複素幾何学,トポロジーといったさまざまな分野から興味を持たれ 研究されてきたものですが,このアプローチは従来のものと比較して,高次元の対象にも 適用可能であるという利点があります。
この符号数の局所化という現象は,より一般に「指数・スペクトルの局所化」と呼ばれ る現象のひとつと見ることができます。「指数・スペクトルの局所化」とは,多様体上に ある「付加構造」が与えられているとき,楕円型作用素の指数やスペクトルの情報がそ の構造の「特異集合」の近傍の情報のみから計算できる,という現象です。古典的には Poincaré-Hopf の定理や Lefshetz 不動点公式などの例があり,様々な状況でこの現象が 知られています。このような局所化が起こる原理とは何か,という問いから出発し,その 一つの例として,服部広大氏(慶応大学)との共同研究 [2] , [3] において,幾何学的量子 化に現れるスペクトル収束に関する研究を行いました。シンプレクティック多様体上の複 素構造の退化に従って作用素のスペクトルが Bohr-Sommerfeld 点に局所化するという結 果であり,測度距離空間の理論と指数理論を組み合わせた考察が鍵になります。このよう な局所化は,場の理論などに現れる無限次元空間の幾何学の根底にある考え方の一つとも みなすことができ,これからは無限次元空間上の作用素解析も視野に含めた研究を行って いきたいと考えています。
さらに別の方向性の発展として,私は [4] において Lagrangian ファイバー束に対する 1変形量子化の新しい構成を与えました。現在この構成の応用として,格子ゲージ理論で現 れる,作用素の離散近似によって得られる指数が連続極限のものと一致するか,という問 題に対する K 理論的な証明を与えることに取り組んでいます。 さらに,数理物理学への応用に関しては,理論物理学者を交えたグループでの共同研究 を行っています。数学者である松尾信一郎氏 ( 名古屋大学 ) ,古田幹雄氏 ( 東京大学 ) と私,さらに素粒子物理学者である大野木哲也氏,深谷英則氏と山口哲氏 (3 人いずれも 大阪大学 ) の共同研究において, Atiyah-Patodi-Singer の境界付き多様体に対する指数定 理に対して「物理学者フレンドリーな再定式化」を与えるという結果 [5] を得ました。現 在も引き続き,上記の格子の指数定理を含め,素粒子物理学に現れる指数定理との関連に ついて研究を進めています。

  1. M. Yamashita. A topological approach to indices of geometric operators on manifolds with fibered boundaries. Commun. Math. Phys. 377, 77-147 (2020)
  2. K. Hattori and M. Yamashita. Spectral convergence in geometric quantization --- the case of non-singular Langrangian fibrations, preprint. arXiv:1912.07994 (2019).
  3. K. Hattori and M. Yamashita. Spectral convergence in geometric quantization --- the case of toric symplectic manifolds, preprint. arXiv:2002.12495 (2020).
  4. M. Yamashita. A new construction of strict deformation quantization for Lagrangian fiber bundles, preprint. arXiv:2003.06732 (2020).
  5. H. Fukaya, M. Furuta, S. Matsuo, T. Onogi, S. Yamaguchi and M. Yamashita. The Atiyah-Patodi-Singer index and domain-wall fermion Dirac operators. to appear in Commun. Math. Phys. (2019).

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