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全学共通科目講義(1回生~4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
―― 基礎概念とその諸科学への広がり
授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第5回
日時: 2005年5月20日(金)
16:30-18:00
場所: 数理解析研究所 420号室
講師: 大槻 知忠 助教授
題目: 結び目の不変量
要約:
円周を3次元ユークリッド空間に自己交差がないように埋め込んだものを 結び目といいます。 埋め込み方をかえると、できる結び目もさまざまです。 では、どれくらい多様な結び目があるのでしょうか? 変形して互いにうつりあう結び目を同じ結び目とみなして、 数学的対象として結び目を研究する分野を結び目理論といいます。

与えられた結び目が同じであることを示すのは比較的簡単で、 すなわち、実際にそれらを変形してみせることによって 同じ結び目は同じであるとわかります。 ちがう結び目が確かにちがうということを示すのは比較的難しく、 これを示すときに不変量というものがつかわれます。

歴史的には、1980年代に数理物理的手法が幾何学の研究に導入され、 結び目理論においては、量子群や共形場理論に関連して、 Jones 多項式をはじめとする大量の結び目不変量が発見されました。 この講義では、Jones 多項式を例にとって、 結び目の不変量がどのように構成されるのかを解説します。 幾何的な量をいかに離散化して代数的にとりだしてくるのかという工夫に 不変量の研究のおもしろさがあるとおもいます。

"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kenkyubu/zengaku/index.html"

 

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