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全学共通科目講義(1回生~4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
―― 基礎概念とその諸科学への広がり
授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第12回
日時: 2012年7月13日(金)
16:30-18:00
場所: 数理解析研究所 420号室
講師: 長谷川 真人 教授
題目: 型付きラムダ計算の話
要約:
ラムダ計算(lambda calculus)は、理論計算機科学において重要な 役割を果たす計算体系です。この講義では、もっとも基本的な単純 型付きラムダ計算(simply typed lambda calculus)に限定して、 ラムダ計算の「3つの顔」について解説したいと思います。

*         *         *

1つ目の顔:「計算モデルとしてのラムダ計算」

ラムダ計算には単純かつ強力な計算規則(β簡約)が備わっており、 ラムダ計算の要素(ラムダ項)は、そのままプログラムとみなして 実行することが可能です。

2つ目の顔:「証明の理論としてのラムダ計算」

型付きラムダ計算のデータ型を論理式、ラムダ項を証明と捉える ことにより、ラムダ計算を、形式的な論理体系とみなすことが 出来ます。

3つ目の顔:「代数系としてのラムダ計算」

単純型付きラムダ計算(とそのモデル)は、自然に、カルテジアン 閉圏(Cartesian closed category)と呼ばれる圏論的な構造を 定めます。

*         *         *

1つ目の顔と2つ目の顔を組み合わせることにより、計算の世界と 論理の世界の深い結び付きが明らかにされてきました(Curry-Howard 対応)。2つ目と3つ目の顔は圏論的論理・圏論的型理論の分野で 基本的な役割を果たします。最後に、1つ目と3つ目の顔の関係は、 プログラミング言語の意味論(semantics of programming languages) と呼ばれる研究分野の骨子をなすものです。


"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"

 

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Research Institute for Mathematical Sciences (RIMS)