数学入門公開講座

今年度の公開講座は終了致しました。公開講座テキスト全文を公開します。

2014年8月4日-8月7日(第36回) 演題及び講師


乗法的情報による加法構造の復元     講師・星 裕一郎

 数や式に対するもっとも基本的な操作として、「加法(=足し算)」と「乗法(=掛け算)」があります。この加法・乗法という2つの操作は、非常に複雑に絡み合っており、例えば整数に関わる様々な問題の難しさは、ある意味において、この複雑な絡み合いに起因していると考えられます。一方、この絡み合いの1つの表れとして、数や式の適当な集まりに対して、そこで定義される加法を、その乗法的な情報によって記述・復元することができる場合があります。本講義では、そのようなタイプの数学的命題について、お話をしようと思います。

ビリヤードからシンプレクティック・トポロジーへ     助教・入江 慶

 解析力学のハミルトンによる定式化では、位置と運動量を組にして相空間というものを考えます。相空間の幾何、特にその大域的な性質を調べる分野をシンプレクティック・トポロジーといって、近年盛んに研究されています。ハミルトン力学系の周期軌道の研究はその起源のひとつで、現在でもこの分野の重要な主題です。
 講演の前半では、例としてビリヤード球の運動における周期軌道について考察し、バーコフによる古典的な定理を紹介します。この定理にはすでにシンプレクティック・トポロジーの一端が表れており、後半はそれを手掛かりに、より現代的な話題に進みたいと思います。

楽して計算するには −アルゴリズムの設計と解析     准教授・牧野 和久

 近年の情報化社会において、高速なアルゴリズムを設計することは極めて重要である。しかしながら、P vs NP問題に代表されるように、与えられた問題が効率的に解けるができるかどうかは、容易には分からない現状にある。
 本講義では、計算可能性,P,NPなどの計算量理論の基礎的な概念を説明すると同時に、高速アルゴリズム設計の意義や重要性を応用などを交えて議論する。その後、分割統治法や動的計画法などの高速なアルゴリズム設計のための手法およびその解析法を具体的な問題を用いて紹介する。
それ以外にも、NP困難な問題に対する最適化の手法を用いた近似アルゴリズムの設計法も議論する。

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(講義ノート)