数学入門公開講座

今年度の公開講座は終了致しました。テキスト全文の掲載は10月頃の予定です。

2017年7月31日-8月3日(第39回) 演題及び講師


素数定理とRiemannゼータ関数                               講師・山下 剛

 素数とは、1と自分自身の2つ以外に約数をもたない自然数である。古代ギリシャでは素数が無限に存在することが知られていたが、古来より素数がどのように分布しているのか人類の大きな関心の1つである。Gauss自身の回想によると、与えられた自然数 N 以下に存在する素数の個数π(N )をたくさん計算することで1792年頃に

と予想した。ゼータ関数と素数の分布の関係に関するRiemannによる1859年の革新的な研究を経て、Riemannのゼータ関数を用いて予想の式をHadamardとde la Vallée Poussinが(それぞれ独立に)1896年に証明した。これは素数定理と今日では呼ばれている。 当講座では素数定理のHadamardとde la Vallée Poussinによる証明を紹介する。

超準解析入門 -超実数と無限大の数学-                   特定助教・磯野 優介

 「無限に大きい数」は存在しません。どんな数を持ってきても、それに1を足せば、より大きな数が出来るからです。同様に「無限に小さい数」も存在しません。このような無限数は、数学的に厳密に定義出来ないにもかかわらず、古くから研究に用いられてきました(いわゆる「無限小解析」)。その後19世紀に入り、厳密さを備えたε-δ論法が登場し、無限小解析は歴史から姿を消します。  超準解析とは、「無限に大きい、小さい数」を、数学として厳密に定式化し、取り扱う学問です。この枠組みでは、無限数を用いた計算や証明が可能で、現代数学を用いた無限小解析の再現とも言えます。この講義では、そのような無限数を含む「超実数」を構成し、それを用いて解析学の基礎的な定理を実際に証明してみようと思います。

五重積公式のADE一般化 -場の理論の視点から-              准教授・河合 俊哉

 有名なヤコビの三重積公式に似たワトソンの五重積公式と呼ばれる古典的な恒等式があります。この公式のある種の拡張(ADE一般化)が場の理論の視点から自然に導かれることを紹介したいと思います。使う場の理論は二次元のN=2超共形場理論というもので、これに付随した楕円種数と呼ばれる量の考察が鍵になります。二次元共形場理論はそれ自身で学習を要する分野ですので、講義では詳細に立ち入れないところも多々あると予想しますが、物理的考察が意図せず他の数学に貢献できる場合があるという事例の雰囲気を出来るだけ伝えたいと思います。

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(講義ノート)