数学入門公開講座

今年度の公開講座は終了致しました。テキスト全文の掲載は10月頃の予定です。

2015年8月3日-8月6日(第37回) 演題及び講師


ポアンカレ予想とリッチフロー                         助教・横田 巧

 ポアンカレ予想とは「任意の単連結な3次元閉多様体は3次元球面に同相であろう」という1904年の H. Poincaré による位相幾何学(トポロジー)の予想で、2002〜03年に G. Perelman がその証明を発表しました。実際には彼はポアンカレ予想を含む W. Thurston の幾何化予想を証明し、その証明には R. Hamilton が開発した(手術付き)リッチフローと、リーマン多様体の崩壊理論という微分幾何学の手法が使われています。彼の証明は多くの数学者達によって検証され、また今も沢山の研究を触発し続けています。
 この講義では、ポアンカレ予想の意味やその解決にまつわるドラマよりも、その証明の数学的な中身に踏み込み、受講者にその雰囲気が少しでも伝わるような解説を試みたいと思います。

天体ダイナモ理論の数理 -- なぜ星や惑星は固有の磁場を持っているのか?
                                        准教授・竹広 真一

 地球を始めとする数々の天体、たとえば太陽などの星や木星などの惑星は固有の磁場を伴っています。このような磁場は天体内部の電気電導性物質が流れることによって生じる「ダイナモ作用」により生成・維持されていると考えられており、その数理モデルが古くは20世紀初めから研究されてきています。本講義では、ダイナモ作用の基本的な性質の解説から始めて、ダイナモ理論の歴史をたどり、最後に近年可能となったコンピュータシミュレーション計算による研究を紹介しようと思います。

バナッハ=タルスキーのパラドックス                    教授・小澤 登高

 バナッハ=タルスキーのパラドックスは、球体を3次元空間内で幾つかに分割し、それらを回転や平行移動させてうまく組み合わせることによって、元の大きさの球体を2つ作ることが出来るという定理である。これは、1≠1+1と矛盾するようにも見えるが、分割したパーツに体積がきちんと定義できないゆえに起こりうる現象である。(また、各パーツを動かす時に他のパーツをすり抜けることが出来るものとしている。)従って純理論的にはパラドックスではなく、歴とした定理である。この公開講座では、体積や面積とは何かという話題から始めて、バナッハ=タルスキーの定理の紹介(証明)をしたい。

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