数学入門公開講座

今年度の公開講座は終了致しました。公開講座テキスト全文を公開します。

2013年8月5日-8月8日(第35回) 演題及び講師


型無しラムダ計算とモデル     助教・星野 直彦

 ラムダ計算は数学で日常的に行われる関数抽象や関数適用など関数についての操作を形式化したもので、関数型プログラミング言語の基礎理論として研究されています。またラムダ計算はCurry-Howard同型と呼ばれる対応によって論理学と強く結び付いている研究対象でもあります。論理学の研究に直観主義論理、二階論理、古典論理、線型論理など多くの論理体系が現れるのと同様にラムダ計算の研究には単純型付きラムダ計算、多相型ラムダ計算、ラムダミュウ計算、線型ラムダ計算と多様なラムダ計算が現れます。この講義ではその中で最もシンプルな型無しラムダ計算を扱います。型無しラムダ計算は関数抽象と関数適用のみを純粋に形式化した体系ですが、型の概念が無いために我々の直観が働かない「関数」が型無しラムダ計算の世界では定義できます。そのために型無しラムダ計算の数学的モデルの構成が容易でないなどの問題があり古くから多くの研究がなされてきました。この講義では型無しラムダ計算が型を持たないために起こる現象について他のラムダ計算との比較も交えつつ解説します。  

クラッシュアイスの数理     講師・福島 竜輝

 液体に氷を入れて冷やすときに、同じ量の氷ならば砕いた方が冷却効率が良くなることは誰もが経験則として知っていることでしょう。しかし、なぜ/どれくらい、良くなるのでしょうか? 例えばもっともらしい仮説として「砕くと表面積が増えるから」ということが考えられますが、この仮説が正しいかどうかは数学的にはモデルを作って検証する必要があります。熱伝導はいわゆる熱方程式によって記述されると仮定し、氷は考えている領域のある部分の温度を0に保つ境界条件と考えるのが自然です。
 本講義ではこのような設定のもとで冷却効率が境界条件付きLaplace作用素の固有値で表現されることを説明し、さらにそれが氷を砕いたときにどのような振る舞いを示すかをお話しします。

Morse理論とFloer理論     教授・小野 薫

 空間をその上の関数を用いて調べることはよく行われる。中でも Morse理論と呼ばれる方法や考え方は、多くの重要な結果を導き、発展した。今回はそのような話題からいくつか取り上げる予定である。簡単な例を通して関数とその臨界点の説明をし、臨界点の存在が空間の性質とどう関わるのかを見ることから始め、Morse理論の考え方を説明する。
 最後には、Morse理論の類似である周期的Hamilton系に対するFloer理論について紹介したい。

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(講義ノート)