数学入門公開講座

今年度の公開講座は終了致しました。公開講座テキスト全文を公開します。

2018年7月30日-8月2日(第40回) 演題及び講師


代数幾何の源流を求めて(付:クレモナ群について)      教授・向井 茂

 代数幾何は、言葉の通り、代数を用いて幾何(あるいはその逆)を研究する。よって、デカルト的な座標幾何は当然の前提としている。しかし、座標系に依存しない概念や道具がなければ闇雲な計算の集まりに堕してしまう。その点でポンスレー等による射影幾何学の基礎付けには、無限遠点の導入(コンパクト化)や双対平面(モジュライの元祖)のように、現代数学に欠かせないアイデアも含まれていて、代数幾何の一つの由緒正しい源であると言えるだろう。講演では、この辺りを復習した後、6角形や3角形対に対する古典的定理群(パッポス、パスカル、デザルグ等)を代数幾何的に紹介する。また、これらに関係する現代的話題を、最近の進展が著しいクレモナ群の研究などから紹介したい。

シンプレクティック双対性入門                助教・疋田 辰之

 幾何学的表現論と呼ばれる分野では表現論をある種の良い性質を持つ空間の幾何を用いて研究します。最近では半単純リー代数の表現論の一般化として、シンプレクティック特異点解消と呼ばれる性質を持つ多様体とそれにまつわる表現論が研究されています。そしてシンプレクティック双対性とは、あ る意味で半単純リー代数のラングランズ双対の一般化と見なせるシンプレクティック特異点解消の間の双対性です。この双対性についてはまだ分かっていないことが多いですが、双対であると考えられるシンプレクティック特異点解消の間には様々な不思議な関係があることが観察されています。講義ではそのような現象の一端をできるだけ簡単な例で紹介したいと思います。

「代数学入門」入門としての普遍代数学          准教授・照井 一成

 代数学の基礎事実の中には、群・環といった特定の代数構造にあまり依存しないものがあります。準同型定理がその典型例です。一方で、群・環の直積はやっぱり群・環ですが、体についてはそうはなりません。では、既知の性質や構成法は、どのような条件の下でどのような方向に一般化することができるのでしょうか?それを探求するのが普遍代数学です。
 もちろん一般化すればするほどあまり面白いことはいえなくなっていくのですが、それでも一般化によって見えてくるものはありますし、代数各論を系統的に理解するためにも役に立ちます。本講義では予備知識を仮定せず、また特定の代数構造も仮定せず、「代数一般について何がどこまでいえるのか」をはじめから考えていきたいと思います。

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