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談話会/Colloquium

Title

Doubly laced crystals: axioms and structure

Date

2009年2月18日(水) 16:30~17:30    (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 202 号室

Speaker

Gleb Koshevoy氏 (Central Institute of Economics and Mathematics, Moscow)

Abstract

  A crystal graph of $U_q(g)$ is an edge-colored directed graph in which each connected monochromatic subgraph is a finite path and there are certain interrelations on the lengths of such paths, described in terms of a Cartan matrix $M$ of $g$. An important class of crystals is formed by the crystals of representations, or {\em regular} crystals.
   Stembridge (2003) pointed out a list of ``local'' graph-theoretic axioms characterizing the regular {\em simply laced} crystals.
   In the talk we deal with the problem of ''local'' axiomatization of regular double laced crystals. There are three groups of results that we present. First, we give an explicit combinatorial construction for a class of 2-edge-colored graphs, which we call {\em S-graphs}. Second, we characterize the S-graphs by ``local'' axioms. Third, we develop a combinatorial {\em worm model} and show that the objects ({\em worm-graphs}) generated by this model are isomorphic to S-graphs. Moreover, we prove that the finite worm-graphs satisfy the conditions in Littelmann's path model for regular $B_2$-crystals. As a result, we obtain that the set of finite S-graphs is just the set of regular $B_2$-crystals, and that these crystals are characterized by our ``local'' axioms. We also obtain new axiomatization of $A_2$-crystals.
   Thus, we obtain an axiomatization of doubly laced crystals, since due to Kang et al., a crystal of type $M$ is regular if and only if each (maximal connected) 2-colored subgraph in it is regular (concerning the corresponding $2\times 2$ submatrix of $M$).
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Title

多品種流と距離空間

Date

2009年2月4日(水) 16:30~17:30    (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 202 号室

Speaker

平井 広志 (Hiroshi Hirai)氏 (京大・数理研)

Abstract

  組合せ最適化の分野において、 最も基本的でかつ、有用な応用をもつ定理の一つに、Ford-Fulkersonによる 最大流最小切断定理(Max-Flow Min-Cut Theorem)がある。 それは、枝容量のついた(無向)グラフにおいて、 2頂点s,tをターミナルとして決めたとき、次が成り立つというものである。 「s-t間に流せるフローの最大流量は、 sとtを分離するカット容量の最小値に等しい。 さらに、容量がすべて整数値であれば、整数最大フローが存在する。」
   この定理を多品種流に拡張したいというのは自然な考えである。 多品種流というのは、いくつかの異なる種類のフローであって、 その全体が容量条件を満たし流れているものである。
   例えば、「4頂点s,s',t,t'をターミナルとして、 s-tフローとs'-t'フローの流量和を最大化したい」 という問題は「2品種流最大化問題」と呼ばれ、 この場合も最大流最小切断定理に類似した 最大2品種流最小切断定理(Max-Biflow Min-Cut Theorem) と呼ばれる双対定理が成立することがHuにより60年代に示されている。 この場合、一般に容量がすべて整数値であっても 整数最大フローが存在しないことがある。 しかしながら、半整数最大フローは常に存在する。
   例えば、ターミナルの集合をSとして、 「Sのどんな2点間を結ぶフローの総流量を最大化したい」 という問題(自由多品種流問題) においても、類似の組合せ的双対定理と半整数性が成立することが 70年代にLovaszとCherkasskyにより示されている。
   このように、多品種流最大化問題は、様々なバージョンが考えられるが、 70年代後半以降、KarzanovやLomonosovによって、 あるクラスの問題では、上のような組合せ的双対定理と半整数性が成立し、 あるクラスの問題(3品種流問題など)では成立しないことが明らかにされてきた。 この差はどこから来るのだろうか?
   講演では、この問題に焦点を当てて、 90年代後半以降の展開、および、近年の講演者の研究成果を紹介したい。 特に多品種流問題の組合せ的双対定理を統一的に導き出す方法論を解説したい。 それは、多品種流問題の双対問題をタイトスパン(Tight span) と呼ばれる多面体的な図形上の距離空間における配置問題として定式化し、 タイトスパンの次元が低い場合(2以下)には、上に述べたような 組合せ的双対定理が図形的に表れる、というものである。

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Title

Spectral Decomposition for reductive symmetric spaces

Date

2009年1月21日(水) 16:30~17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

Patrick Delorme 氏 (Marseille-Luminy)

Abstract

The notion of abstract spectral decomposition, or Fourier inversion formula, for an homogeneous space of a Lie group will be described, starting with finite groups. It expresses some class of functions as sums, or series and integrals of ''elementary waves''.
   Real reductive symmetric spaces will be defined and some important examples presented, like the group case.
   One goal of the lecture is to explicit the abstract Fourier inversion formula for the homogeneous spaces, explaining various aspects and contributions.
   The group case has been solved by Harish-Chandra in the 70's. In general the discrete spectrum has been elucidated by Oshima-Matsuki using Flensted-Jensen duality and Poisson transform in the 80's. The contribution of the continuous spectrum has been determined in the 90's by van den Ban-Schlichtkrull and Carmona-D.
   The structure of the proof I will present has a lot in common with the spectral decomposition of Langlands for automorphic forms.
   In particular one proves a meromorphic continuation of a family of functions: the Eisenstein integrals which are the elementary waves. One studies their asymptotic behavior : theory of the constant term. A process of truncation is also used.
   The corresponding problem for p-adic reductive symmetric spaces is still open, although some partial results are available.
   A word will be said for Whittaker functions for real and p-adic groups.

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Title

The Schrödinger operator: perturbation determinants, the spectral shift function, trace identities, and all that

Date

2009年1月14日(水) 15:00~16:00   

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

Dimitri Yafaev氏 (Université de Rennes I)

Abstract

We discuss applications of the M. G. Kre\u{\i}n theory of the spectral shift function to the multidimensional Schr\"odinger operator. Specific properties of this function, for example, its high-energy asymptotics are studied. Trace identities are derived.

Comment 数理研でも談話会(16:30 - 17:30)があります。

Title

有理楕円曲面の整切断(整点)について
--- グレブナ基底と E_8 格子

Date

2009年1月14日(水) 16:30~17:30    (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 202 号室

Speaker

塩田徹治 (Tetsuji Shioda)氏 (京大・数理研)

Abstract

楕円曲面において、零切断(ゼロセクション)と交わらない切断を”整切断”あるい は”整点”とよぶ。 特異ファイバーの存在を仮定すると、切断の全体M は有限生成なアーベル群をなし (モーデル・ヴェイユの定理)、 整点の全体 P はその中の有限集合である。有限性は有理数体上の楕円曲線の整数点 の有限性(ジーゲル の定理)の類似である。実際、楕円曲面の生成的ファイバーは、底曲線の関数体上定 義された楕円曲線E/K であり、E のK-有理点のなす群E(K)はM と同一視され、整切断は自然にE(K) の”整 数点”とみなされる。
K = k(t) が1変数有理関数体のとき、E のワイヤシュトラス方程式を選ぶと、 各整点の”座標”が一定のアファイン空間の点として定まり、P がE の方程式を満た す条件として、 多項式環R のイデアルI が定まる。 Nbr> 問題 E/K が与えられたとき、(i) 整点の個数n = |P|、(ii) 線形次元 dimk R/I、 および (iii) I の(最短な) 準素分解 における各準素イデアルの重複度を決定せよ。
これらは、原理的にはグレブナ-基底の方法によりコンピュータで直接計算でき、実 例による実験、 理論の検証に役立つ。
さて、有理楕円曲面の場合には、上の問題を完全に解決することができる。 とくに、個数 n は常に 240以下, かつ n = 240 となる条件は、可約ファイバーをも たないこと、 このときモーデル・ヴェイユ格子はルート格子E_8 に同型で、整点 は240 個のルー トに対応する。 一般に、各整点に対しある”ルート図形”を定義してその中の”特別なルート”の個 数として (iii) の重複度を捉えることができる。 この観点から、既知の有理楕円曲面の分類(小木曽・塩田)をもちいて、 準素イデアル分解の興味ある例が数多く構成できる。 

Comment 数学教室でも談話会(15:00 - 16:00)があります。

Title

証明論への代数的アプローチ

Date

2008年12月17日(水) 16:30~17:30    (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 202 号室

Speaker

照井 一成 (Kazushige Terui)氏 (京大・数理研)

Abstract

19世紀末から20世紀初頭にかけて、集合論において いくつかのパラドックスが発見された。 それらを契機として、数学の基礎づけをきちんと行おうという動きが ヒルベルトらを中心として巻き起こった。そのために考案されたのが 証明論である。 そしてその限界を示したのがゲーデルの不完全性定理である。
証明論の基本定理(カット除去定理)は、計算論的な観点からいえば 関数型プログラムの実行に相当するが、代数的な観点からいうと 一種の完備化とみなすことができる。両者の正確な 対応関係は、非古典論理を体系的に取り扱うことにより見えてくる。 そして証明論的手法と代数的手法の共同作業により、両者の 可能性と限界が明らかになってくる。「可能性」とは基本定理の拡張であり、 「限界」とは非古典論理の”不完全性定理”である。
本発表ではこのあたりの事情について、 技術的な細部には立ち入らずに、 背景と動機、核心となるアイデア(証明論の代数化)を中心として 論じたいと思う。

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Title

トーリック多様体と半群環のコホモロジー群

Date

2008年12月10日(水) 16:30~17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

石田 正典 (Masanori Ishida)氏 (東北大・理)

Abstract

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大談話会


Title

個別記述と集団記述 ---------振動子系の場合-------

Date

2008年12月3日(水) 14:40~15:40

Place

京都大学理学部3号館110講演室

Speaker

蔵本 由紀 (Yoshiki Kuramoto)氏 (京大・数理研)

Abstract

物質の統計力学はミクロレベルの記述と熱力学に代表されるようなマクロレベルの記 述を互いに関連付ける。要素レベルの法則と集団レベルの法則という、記述レベルに 固有な法則性は、物質科学に限らず非線形散逸力学系によってモデル化されるような マクロ現象の世界自体にもしばしば見られる。そこでは従来の統計力学にとらわれな い新しい見方が求められている。
その一つの典型例として、リミットサイクル振動子の集団がある。よく知られてい るように、相互作用するリミットサイクル振動子は互いに同期する。したがって、ち ょうど原子が担う磁気モーメント(ミクロな磁石)間の引力相互作用によって磁化 (マクロな磁石)が現れるように、リミットサイクル振動子集団はしばしば1個の大 きなリミットサイクル振動子のように振舞う。また、外部刺激に対する個別振動子の 応答に類似した形で、この大きな振動子は外部刺激に応答する。個別振動子レベルの 記述を基礎にしてこのような集団レベルの記述をいかにして導き出すことができる か、また個別的な応答関数と集団的な応答関数の関係はどのようになっているのか。 この講演ではこれらの問題を議論したい。
リミットサイクル振動子系の集団振動が生命現象において果たす役割に関しては近 年急速に研究が進んでいる。たとえば、集団振動は概日リズムや心拍の正常な働きに とって必須であり、ある種の脳障害においては病的に働く。いずれにせよ、外部刺激 による集団振動の制御は今後きわめて重要な問題になると期待されている。上記のよ うな理論的研究はその基礎となりうるものである。
この講演では、位相縮約法と呼ばれる方法を適用することによって、いくつかの制 約の下ではあるが集団的記述を導出することが可能であることを示す。同時に、残さ れたいくつかの理論的課題についても言及したい。

Comment 15:40-16:30 152セミナー室にてTea Break

大談話会


Title

値分布と有理点分布の幾何学について

Date

2008年12月3日(水) 16:30~17:30

Place

京都大学理学部3号館110講演室

Speaker

野口潤次郎 (Junjiro Noguchi)氏 (東大・数理)

Abstract

イロハ予想(abc-conjecture)と関数論との関係から考える。イロハ予想の方程式 $a+b=c$は、ジーゲルによる単元方程式にその源を求められます。そうすると、これは 関数論ではピカールの定理に相当する。数論では単元方程式の一般化としては、 シュミットの部分空間定理が有名です。これには、関数論ではボレルの定理が相当する。 この類似解釈によれば、 イロハ予想は、ネヴァンリンナの第2主要定理がこれに相当し、この高次元化 が愁眉の問題になっています。これが、できますとBombieri予想(一般型代数 多様体の有理点はザリスキー稠密にならない)に相当するGreen-Griffiths予想 が分かることになります。このように関数論と有理点の問題には数学現象論的にみて 非常に近い関係がみられます。対数的Bloch-落合の定理と準アーベル多様体上の 有理点分布に関するFaltings-Vojtaの定理も同様で、その分布の幾何学的部分は 全く同じ結論が得られます。現在この方面の研究は双方で進展中で、準アーベル 多様体への正則曲線についてのイロハ予想である、打ち切りレベル1の第2主要定 理が、最近野口-山ノ井-Wineklamnnにより証明された。 古典的な有理型関数の場合が永く未解決であったが、これは最近山ノ井氏により 解決され Yamanoi's abc Theorem として注目されている。 また数論では、Corvaja-Zannierがシュミットの部分空間定理を高次の超曲面に拡張し、 このアイデアでMin Ruは、Cartanの第2主要定理を高次の超曲面の場合に 拡張した。
以上のような内容を中心に、この分野の最近の進展状況をできる範囲で紹介した い。
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Comment 15:40-16:30 152セミナー室にてTea Break

Title

2次元ベルヌーイ・パーコレーションにおける優臨界領域について

Date

2008年11月26日(水) 16:30~17:30    (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 202 号室

Speaker

杉峰 伸明 (Nobuaki Sugimine)氏 (京大・数理研)

Abstract

2次元の格子点を頂点集合とし、(ユークリッド)距離が1となる各2頂点間にそれ ぞれ独立に確率pで辺を与える。このとき、グラフがランダムに生成されることにな るが、2次元ベルヌーイ・パーコレーションとはそのグラフの連結成分についての研 究である。特に本講演では、確率pが1/2と1の間にある場合を扱う。
まず、確率pを1/2より大きく取った時に優臨界的と呼ぶ理由である、無限連結成分 の存在・非存在について説明し、その特徴づけであって局所的な量となる横断確率と いう概念を導入する。この概念から自然に興味の対象となる横断可能距離について述 べた後、先の特徴づけにおいて鍵となっているRSW法を紹介し、それから導かれる結 論を背景にして連結成分の個数が中心極限定理に従うことを概観する。さらに、いく つかあるこの中心極限定理の証明のうちから、数理ファイナンスでは必ずと言ってい いほど耳にするマルチンゲールと呼ばれる概念を用いた証明を紹介する。最後に、グ ラフ上のフローの簡単な例でもある、互いに素な横断路の最大数に関する極限定理を 紹介する。
また、これらの研究を基に発展させた私の研究についてもその時々に触れる。

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時間周期的に変動する電場中の量子散乱理論

Date

2008年11月19日(水) 16:30~17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

足立 匡義 (Tadayoshi Adachi)氏 (神戸大・理)

Abstract

時間周期的ハミルトニアンが支配する量子力学系に 対する散乱問題については、定常的ハミルトニアンが 支配する系に対する問題に比べると、知られている ことはそれほど多くはない。特に多体問題になると、 それは限られる。この講演では、時間周期的に変動する 一様電場中の多体量子力学系を考え、電場の時間平均が 零でないという仮定の下での漸近完全性に関する結果を 述べる。

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Title

パターンとは何か――地に足のついた計算の理論について

Date

2008年11月12日(水) 16:30~17:30    (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 202 号室

Speaker

石川 博 (Hiroshi Ishikawa)氏 (名古屋市立大・システム自然科学研究科)

Abstract

計算機科学は、全ての情報はビットに符号化でき符号化自体は本質的に任意である として、ビットで表される記号列の世界のみをその対象としてきた。しかし、符号化 の任意性のため、非記号の世界における情報の概念が不明瞭になる場合がある。たと えば、画像などに含まれるパターンを一般に扱おうとするとき、パターンの種類ごと に個別に符号化を定義していると、異種間の相対的な情報量の比較に意味がなくな る。なぜなら、符号化自体が情報を隠し持つことがあるからである。
本談話会では、より一般の対象に一様な「符号化」を与えることで、非記号の世界 において計算と情報の概念を自然に定義する一つの試みを紹介する。そのため、空間 の部分集合として与えられた一般の対象を一様に表すことのできる「表現」を定義す る。これによって記号列より一般の対象を表現できるだけでなく、記号列を介するこ となくそれらの対象の間の「計算」を定義することが可能になる。また対象に内在す る規則性を捉え、規則性の高い対象ほど小さく表現することができるため、表現の大 きさによって対象に含まれる情報量を自然に定義することができる。この表現および 情報量は、写像の集合によって定義される空間の構造に相対的に定義される。特に記 号列にも適用可能であり、自然数を特徴づける写像の集合(0を与える写像及び後者 関数)に相対的に定義されたとき、上記「計算」は一般のChurch-Turing計算を含 み、また情報量はKolmogorov複雑性に同値であることが証明される。

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Harmonic Analysis for supersymmetric Riemannian symmetric spaces

Date

2008年11月5日(水) 16:30~17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

Joachim Hilgert氏 (Univertisty of Paderborn)

Abstract

Supersymmetric Riemannian symmetric spaces were introduced by Zirnbauer in the context of calculating correlation functions of random matrices of given universality classes. He also found that other physical quantities are calculable as Berezin type integral using a supersymmetric Plancherel formula for the supersymmetric analog of the upper half-plane. All this motivates a systematic study of the geometry and invariant analysis of supersymmetric Riemannian symmetric spaces. In this lecture we will explain the basic concepts involved and then, as a first substantial result, we show how to formulate and prove an analog of Chevalley's restriction theorem for invariant super-functions.
This is joint work with A. Alldridge (Paderborn) and M. Zirnbauer (Cologne)

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ブラウン運動汎関数とその数論、数理ファイナンスへの応用

Date

2008年10月29日(水) 16:30~17:30    (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 202 号室

Speaker

藤田 岳彦 (Takehiko Fujita)氏 (一橋大学/京大・数理研)

Abstract

まず、前半では コーシー確率変数とその一般化に関するその 分布論とそれらのリーマンゼータ関数やその類似物の特殊値求 値への応用について論じる。
後半では ブラウン運動やランダムウォークのフラグメンツの 分布論とそれらの応用(無限分解可能性と自己分解可能性、リ ーマンゼータ関数等式、あるエキゾティックオプションの価格 付けなど)について論じる。

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Gromovの平均次元理論とBrody曲線の空間の幾何

Date

2008年10月22日(水) 16:30~17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

塚本真輝(Masaki Tsukamoto)氏 (京大・理)

Abstract

Gromovは1999年の論文で, 平均次元という概念を導入した. これは「無限次元空間の次元」とでも言うべきものである. 例えば(以下は不正確な言い方である), 単位区間$[0, 1]$の無限直積を考えた時, この空間は 「平均的には1次元である」などという考え方である. これにより, (非線形な)無限次元空間の研究に対して新たな方向性 が示された. 興味深い無限次元空間を得るひとつの手段は, 非コンパクト多様体上で 非線形偏微分方程式を考えることである. その解の空間として, 無限次元空間が出現する場合がある. そして, そのひとつの例として, Brody曲線の空間というものがある. Brody曲線とは, 複素平面から複素射影空間への正則写像であって, 適当な条件をみたすものであり, 複素平面が非コンパクトなため, 無限次元 存在する. この講演では, まずGromovの平均次元理論について入門的解説を試みる. その後, Brody曲線の空間の平均次元がどうなるかを, Nevanlinna理論の道具や, 変形理論の考え方を用いて追及するというテーマを 話したい.
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Thin 3D Navier-Stokes equations: Ultimate boundedness of solutions with large data and global attractors.

Date

2008年10月21日(火) 15:30~16:30    (15:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

George Sell氏 (University of Minnesota)

Abstract

In this lecture, we will examine a new topic of the thin 3D Navier-Stokes equations with Navier boundary conditions. We will treat the ultimate boundedness of strong solutions and the related theory of global attractors. The lecture is based on joint work with Genevieve Raugel, Dragos Iftimie, and Luan Hoang.

Comment 臨時談話会(偏微分方程式セミナー共催)
いつもと曜日と時間が異なりますので、ご注意下さい。

Title

連続オイラー変換による近似超関数とその応用

Date

2008年10月15日(水) 16:30~17:30    (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 202 号室

Speaker

大浦 拓哉 (Takuya Ooura)氏 (京大・数理研)

Abstract

連続オイラー変換は,収束の遅い,または緩やかに発散するフーリエ積分を 速く収束するフーリエ積分に変換するための方法として私が考案した ものである.この連続オイラー変換を応用することで,今まで計算が 困難だった収束の遅いまたは緩やかに発散するフーリエ積分に対する 高速高精度の数値計算が可能になる.さらに最近,連続オイラー変換は, さまざまな超関数を,線型写像としての性質を近似的に保った状態で, 滑らかな連続関数に変換する方法でもあることを明らかにした. この連続オイラー変換による超関数の近似は機械的に構成でき,線型写像の 意味で非常に高精度であり,計算機で容易に計算可能なものである. 本講演では,まず近似超関数の導入となるフーリエ積分に対する数値積分公式を 簡単に述べ,次に連続オイラー変換の概略を説明した上で,連続オイラー変換を 用いた近似超関数とその応用例を示す.

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Orbit closures in the enhanced nilpotent cone

Date

2008年10月8日(水) 16:30~17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

Pramod N Achar氏 (Louisiana State University)

Abstract

Let $\mathcal N$ denote the set of $n \times n$ nilpotent matrices. The ``enhanced nilpotent cone'' is the space $\mathbb C^n \times \mathcal N$. $GL(n)$ acts on $\mathbb C^n$ in an obvious way, and on $\mathcal N$ by conjugation. The orbits of this action are the subject of this talk. From this surprisingly elementary starting point, I will discuss connections to various topics in representation theory, combinatorics, and algebraic geometry, and especially to Syu Kato's work on the ``exotic nilpotent cone'' and affine Hecke algebras. This is joint work with A. Henderson.
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ナヴィエ・ストークス方程式における内部遷移層:コルモゴロフ問題と パターン形成

Date

2008年10月1日(水) 16:30~17:30    (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 202 号室

Speaker

岡本 久 (Hisashi Okamoto)氏 (京大・数理研)

Abstract

ナヴィエ・ストークス方程式は非圧縮粘性流体の運動を表す非線形 偏微分方程式である。クレイ研究所のミレニアム問題に選ばれてい ることもあって、その解の「爆発・大域的存在の問題」はつとに有名 である。しかし、それ以外にもわくわくするような問題も多く、汲め どもつきない泉のような存在である。コルモゴロフの解の安定性の 問題もそうした楽しい問題のひとつである。この談話会では、 ロシア学派などが開拓してきた問題の起こりや無限次元力学系理論 からの貢献などをふまえて、私が東海林まゆみ氏(日本女子大学) やKim Sun-Chul氏(韓国の中央大学)と一緒に行ってきた数値実験 の結果を紹介したい。特に、レイノルズ数が極めて大きいときにどう いう定常解が現れるのかを探り、レイノルズ数の増大とともに解が むしろ単純になるという、直観に反するような例について紹介したい。

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Title

Large deviation control arising from mathematical finance

Date

2008年7月9日(水) 16:30~17:30    (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 202 号室

Speaker

長井 英生 (Hideo Nagai)氏 (大阪大学大学院基礎工学研究科)

Abstract

最近数理ファイナンスの分野で、投資家が保有する資産の増加率 が予め決められた目標値より下回る確率を最小化したり、上回る確率を 最大化する問題が考察されるようになっている。数学的にはこれは 大偏差確率制御の問題と考えられる。 risk-sensitive stochastic control の値関数を大偏差原理における対数モーメント母関数と対比させて 考えれば、その双対問題として、上の大偏差確率制御問題を考えることが 妥当であると思われる。 ファクターモデルと呼ばれる市場モデルに対して この問題をそのように取り扱った結果を報告したい。

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一般化レフシェッツ数の理論とその2次元離散力学系への応用

Date

2008年7月2日(水) 16:30~17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

松岡 隆 (Takashi Matsuoka)氏 (鳴門教育大)

Abstract

 有限多面体を自分自身に移す連続写像の不動点を調べるために開発された 一般化レフシェッツ数の理論と,曲面上の離散力学系への応用について解説する.
最もよく知られた不動点定理であるレフシェッツの不動点定理は, ホモロジーの情報で定まるレフシェッツ数が不動点集合の近傍における写像の様子 を表わすことを主張するものである.1930~1940年代に, Reidemeister とWeckenは,基本群の情報も考慮に入れることにより レフシェッツ数の概念を精密化し,一般化レフシェッツ数 と呼ばれるホモトピー不変量を構成した. 一般化レフシェッツ数は,不動点近傍での写像の様子のみならず, 各不動点の大域的な特徴の違いを基本群の元として捉えることができるものである. 従って理論的には,一般化レフシェッツ数はレフシェッツ数よりも はるかに深い情報を含んでいるが,その計算は極端に難しく, 現実に不動点や周期点を調べるために応用することは容易なことではない.実 際,誕生以来約70年 経った今でも,ある種の等質空間以外の場合には,ほとんど組織的な計算はな されていない状況にある.
ここでは,穴あき曲面上の同相写像の場合に,一般化レフシェッツ数の計算を 行った結果 と,それを用いて得た周期点の構造および 写像のNielsen-Thurston分類に関する結果を紹介する.

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From Celestial Mechanics to Dynamical Systems: a go and return trip

Date

2008年6月25日(水) 16:30~17:30   (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 202 号室

Speaker

Carles Simó氏 (Departament de Matemàtica Aplicada i Anàlisi, Universitat de Barcelona)

Abstract

    Celestial Mechanics studies the motion of celestial bodies and, in general, all topics related to the N-body problem and their applications to astronomy and space science. We can consider Babylonian and Chinese astronomers as the founders of our knowledge.
In a wide sense, Dynamical Systems study ``everything that moves'', that is all phenomena in which there is a magnitude which evolves with time. The study is done both in the quantitative and qualitative aspects, analytic and numeric, theoretical and applied.
    At present Dynamical Systems are, possibly, the branch of mathematics which has more interactions with other branches and with more potential applications.
    In this talk we present some basic ideas of the theory of Dynamical Systems, trying to see many problems as geometric questions in suitable spaces.
    Finally a problem in Dynamical Systems will be presented. More concretely, we can consider families of maps on a manifold, which depend on a parameter ranging on a group, endowed with the Haar measure. Two different values of the metric entropy are considered: the ``averaged'' one, the average being with respect to the parameter, and the ``randomised'' one, when the iterations of the map are done using random values of the parameter distributed according to the measure.
    There exist several conjectures and partial results concerning the relation between both entropies. The dynamical meaning of these conjectures will be discussed. One of the simplest cases, the manifold and the group being both the circle S¹, has been studied recently. The solution has been possible thanks to the use of very old tools coming from Celestial Mechanics.

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Title

1次元非対称排他過程におけるtagged particleの揺らぎ

Date

2008年6月11日(水) 16:30~17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

笹本 智弘 (Tomohiro Sasamoto)氏 (千葉大・理)

Abstract

近年, 1次元非対称排他過程の揺らぎに関する性質がYoung盤の 組合せ論やランダム行列理論等を用いて詳しく調べられている. 本講演では, そのような手法を用いて, tagged particle(1つの 粒子に着目したときの粒子)の性質についても調べられることを述べ, 特にstep型初期条件(...111000...)とalternating初期条件(...10101010...) の場合の長時間での振る舞いについての結果を示す.

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Title

ルート系のゼータ関数について

Date

2008年6月4日(水) 16:30~17:30    (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

松本 耕二 (Kohji Matsumoto)氏 (名大・多元数理)

Abstract

Witten のゼータ関数とは, 量子ゲージ理論に関係するある 種の量を計算するために導入された, 半単純 Lie 環に付随するゼータ関数で あるが, その性質を深く調べるには, 本来は一変数である Witten のゼータ関 数を多変数化することが有効であることがわかってきた。この立場では Witten のゼータ関数は, ルート系, あるいはさらに一般にルートの有限集合 に対応する多変数ゼータ関数の, 特別な場合とみなされる。
ルート系のゼータ関数のなす族には Mellin-Barnes 積分で具体的に記述 できる帰納的関係があり, それは Dynkin 図形の辺の切り落としに対応する。 この帰納的関係を下から辿ることによってルート系のゼータ関数の解析的な性 質 (解析接続, 特異点の位置など) を調べることができる。
またルート系のゼータ関数たちの間には種々の関係式が存在するが, それ らの関係式の存在理由は対応する Lie 環に作用する Weyl 群の対称性に基づ いて説明できる。特にこの方針で Witten の volume formula の一般化として の, ルート系のゼータ関数の特殊値の表示式が得られ, それはルート系に付随 する一般化された Bernoulli 数の言葉で記述できる。

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Title

球面上の渦力学 ~特異渦構造の相互作用~

Date

2008年5月28日(水) 15:00~16:00    (16:00-16:30 205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

坂上 貴之 (Takashi Sakajo)氏 (北大・理)

Abstract

台風・竜巻など「渦」は我々が日常生活の中で普遍的に認識される 流体パターンの一つである。その普遍性ゆえに、古来より多くの人々 から注目されて来たが、渦が数理科学的対象としてはっきりと認識される のは流体の運動方程式が定式化され、速度場のcurlとして定義される 「渦度場」が導入されて以後のことである。その結果として現在では 時々刻々変遷する複雑な流体運動の数理的記述は「渦度」の言葉を通 して行われることが多い。
ここで扱う対象を二次元空間における非粘性・非圧縮流体の運動とする。 その運動を記述する方程式(Euler方程式)において、速度場から定義され るスカラー関数「渦度」は場の量でありながら、あたかも実在する粒子 であるかのような振舞をすることが知られている。この事実に着目して、 流れにおいて渦度が点や線の上に分布して特異な渦構造を持つとき、 Euler方程式は渦の相互作用を記述した少し簡単な方程式に帰着させる ことができる。その定式化の簡単さもさることながら、こうした特異 渦構造の相互作用の記述が乱流現象のような極めて複雑な現象を記述 する手がかりになるのではないかという指摘が近年なされており、その 数理的研究はますます重要なものとなっている。
本談話会では、地球などの惑星における流体運動の数理的理解を念頭 において、球面における非粘性・非圧縮流体を考え、そこにおける特異 渦構造の相互作用の数学解析・数値解析を行っている講演者の最近の研究 成果の一端を紹介する。特異渦構造の方程式はEuler方程式よりは扱いが 簡単ではあるものの、その数理的理解には多くの困難が伴い、高精度で 大規模な数値計算も必要不可欠である。こうした数値計算の利用とその 数理的研究との関わりなどについてもいくつかの例を紹介する。

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Title

数論的Teichm\"uller理論

Date

2008年5月28日(水) 16:30~17:30    (16:00-16:30 205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

望月 新一 (Shinichi Mochizuki)氏 (京大・数理研)

Abstract

正標数(標数$p$)の代数曲線の関数体と数体の類似性は数論幾何に おいて非常に古典的なテーマである。この二種類の体の数論について これまで類体論等、様々な側面の類似性が研究されてきたが、標数$p$ の双曲的代数曲線の$p$進Teichm\"uller理論における「標準的持ち上げ」 やその上の「標準的Frobenius持ち上げ」に対応する数体の理論は 今まで研究されてこなかった。複素数体上の古典的なTeichm\"uller理論 と、講演者が十数年前に確立した$p$進Teichm\"uller理論の類似性について 復習した後、2000年以降の講演者の研究において中心的なテーマの一つと なった「一点抜き楕円曲線付き数体」に対する新型の「数論的Teichm\"uller 理論」について紹介する。この数体に対するTeichm\"uller理論では、絶対遠 アーベル幾何的な定理は中心的な役割を果たし、また楕円曲線の Hodge-Arakelov理論にヒントを得た構成法が「標準的持ち上げ」の構成の鍵と なる。 

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Title

p-compact groups and Kac-Moody groups

Date

2008年5月21日(水) 16:30~17:30   (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 202 号室

Speaker

Jaume Aguadé氏 (Universitat Autònoma de Barcelona)

Abstract

p-compact groups and Kac-Moody groups Abstract: Both p-compact groups and Kac-Moody groups are generalizations of the concept of a compact connected Lie group, in two different directions. The purpose of this talk is to give a quick overview of these two concepts, as seen from the eyes of homotopy theory and to present some results on the homotopy theory of Kac-Moody groups and their classifying spaces that have been obtained in joint work with my colleagues in Barcelona. If time permits, I will finish with some very recent new connections between these two worlds (p-compact groups and Kac-Moody groups) which may have implications in classic homotopy theory.

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大談話会


Title

作用素環への群作用

Date

2008年5月14日(水) 14:40~15:40

Place

京都大学数理解析研究所 420 号室

Speaker

泉 正己 (Masaki Izumi)氏 (京大・理)

Abstract

ヒルベルト空間の有界線型作用素からなる共役演算について 閉じた代数の中で、ノルム位相について閉じたものをC*-環、弱位相について 閉じたものを von Neumann 環と呼び、これらを作用素環と呼ぶ。 作用素環への群作用の研究は常に作用素環論の中心的研究課題であった。 その一つの理由は、量子場の理論や量子統計力学の作用素環による定式化において、 物理系の対称性が自己同型や反自己同型で記述されるからである。 もう一つの理由は、環自体の構造の解析に自己同型の研究が不可欠であるからで ある。 実際 Connes の von Neumann 環の分類理論の中では、自己同型の解析が大きな 役割を果たしている。
本講演では、最近の作用素環への群作用の分類や量子群の作用に関する研究成果 を紹介する。 一般に、von Neumann 環へ代数系の作用に関しては比較的きれいな結果が得られ るのに対し、 C*-環への作用に関してはK-理論的障害が多くその研究は難しいものとなる。 時間が許せばその難しさを克服する最近の試みにも触れたい。

Comment 15:40-16:30 202号室にてTea Break

大談話会


Title

代数曲線の遠アーベル幾何 --- 歴史と未解決問題
(Anabelian geometry of algebraic curves --- history and open problems)

Date

2008年5月14日(水) 16:30~17:30

Place

京都大学数理解析研究所 420 号室

Speaker

玉川 安騎男 (Akio Tamagawa)氏 (京大・数理研)

Abstract

1980年代初頭にGrothendieckによって提唱された遠アーベル幾何(anabelian geometry)は、代数曲線の場合、1990年代半ばまでの中村、講演者及び望月の研 究により、期待通り(ないし期待以上)の結果が得られ、一応の完成と思われた。し かしながら、その後、望月のディオファントス幾何への新しいアプローチや講演者の 正標数特有の現象の探究などを通じ、代数曲線の遠アーベル幾何に数々の新しい意外 な展開がもたらされ、現在も活発な研究の場を与えている。
本講演では、代数曲線の数論的基本群と遠アーベル幾何の歴史を簡単に復習した後、 正標数における幾何的基本群、絶対遠アーベル幾何、カスプ化、副Σ遠アーベル幾何、 など、代数曲線の遠アーベル幾何における最近10年間のさまざまな展開を、今なお 未解決な問題にスポットを当てつつ概説する。

Comment 15:40-16:30 202号室にてTea Break

Title

計算機システムに現れる数学的(圏論的)構造
(Mathematical (esp. Categorical) Structures in Computer Systems)

Date

2008年4月30日(水) 16:30~17:30   (16:00より1階ロビーでtea)

Place

京都大学数理解析研究所 202 号室

Speaker

蓮尾 一郎 (Ichiro Hasuo)氏 (数理解析研究所)

Abstract

圏論は現代数学にとって欠くことのできない道具ですが,理論計算機科学 と呼ばれる分野においても盛んに応用されています.今回の発表では,そ の中でも特に「余代数 coalgebra」を用いた「計算機システム」のモデル について,入門的なことがらをお話します.
理論計算機科学は従来,計算機単体の振る舞いを調べることに主眼を置い てきたのですが,現代においては複数の計算機のなす「システム」の重要 性がどんどん増しています.そのような「計算機システム」を正しく設計 するためには,計算機システムに対する適切な(数学的)理解が欠かせま せん.
そこで1990年代から,Jacobs,Rutten らによって coalgebra をシステム のモデルとすることが提唱されました.coalgebra は圏論的な,それ自身 非常に単純な概念ですが,計算機システムに関する多くの既存の結果が coalgebra を用いてより簡潔に,一般的な形で記述できることが近年明ら かになっています.発表では coalgebra の理論の基本的なところをお話 しすると共に,以下のような私の結果をご紹介します.

- (数学の言葉で言うと)
適切な順序関係が備わった Sets 上の monad に対して,その Kleisli 圏における final coalgebra を同定

==> (計算機システムに対する意義)
システムの軌跡意味論を, coalgebra を用いて記述

- Microcosm principle (たとえば,"a monoid in a monoidal category")の高次元圏論を用いた定式化

==> システムの並行合成の,compositionality と呼ばれる良い性質を保証

予備知識として仮定するのは,category と functor の定義だけです. わかりやすく楽しい発表を心がけます.

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グラスマン・カラビヤウ多様体と パフィアン・カラビヤウ多様体の 高次のグロモフ・ウィッテン不変量について

Date

2008年4月23日(水) 16:30~17:30   (16:00より205談話室でtea)

Place

京都大学大学院理学研究科数学教室127大会議室(理3号館)

Speaker

小西 由紀子 (Yukiko Konishi)氏 (京大・理)

Abstract

グラスマン多様体Gr(2,7)の中の3次元カラビヤウ多様体Xと パフィアン多様体Pf(7)の中の3次元カラビヤウ多様体 X' は、そのミラーとなるカラビヤウ多様体が求められており、 それぞれミラー対称性を使って 種数ゼロのグロモフ・ウィッテン不変量が計算された。 おもしろいことに、これらのミラーのピカールフックス方程式は 一致する(つまりB模型は同じだと思ってよい)。 また、X, X' は双有理同値ではないが、連接層のなす圏の導来圏は 同じであることが知られている。 (注:この2つの事実はホモロジー的ミラー対称性予想によれば 密接に関連している。)
さて二つのカラビヤウ多様体が双有理同値ならばそれらの 導来圏は同値である。そしてそのような場合にはフロップで 移りあうので、グロモフ・ウィッテン不変量は (例外曲線のクラスの定数倍の場合を除いて)同じである。 それでは双有理同値でないX,X'のグロモフ・ウィッテン不変量の間には 何か関係がみつけられるだろうか?
この講演では、正則異常方程式を解いてX,X'の高次の種数の グロモフ・ウィッテン不変量(と期待される数)を求めた 東大の細野忍氏との共同研究について話をする。

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Title

An approach to resolution of singularities in positive characteristics

Date

2008年4月16日(水) 16:30~17:30   (16:00より1階ロビーでTea)

Place

京都大学数理解析研究所 202 号室

Speaker

川ノ上 帆 (Hiraku Kawanoue)氏(数理解析研究所)

Abstract

代数閉体上定義された代数多様体を考えます. この多様体 に非特異代数多様体からの固有双有理射が存在する時, それを元の多様体の特異点解消と呼びます.
与えられた多様体が標数0の体上で定義されている場合に ついては, 廣中平祐先生が1964年に任意の次元において 特異点解消が存在することを示されました.一方で多様体 が標数正の体上で定義されている場合には, 特異点解消の 存在はまだ高々3次元までしか知られていません.
何故正標数の場合が標数0の場合に比べ難しいのかという 疑問に対する一つの答えは, 正標数下では最大接触超曲面 が存在するとは限らないから, というものです. そこで, 正標数の場合も従来と類似の議論が機能するべく最大接触 超曲面の代替物を定義することを考えます. この方針を Idealistic Filtration Program (IFP) と呼び これによって任意標数任意次元の場合の攻略を目指します.
最大接触超曲面を中心に標数0と標数正での状況を簡単に 説明した後にIFPについて解説し, 得られている部分的な 結果の一部を紹介する予定です.

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Title

Introduction to the Monster sporadic simple group and moonshine

Date

2008年2月6日(水) 16:30~17:30   (16:00より1階ロビーでTea)

Place

京都大学数理解析研究所 202 号室

Speaker

John McKay 氏(Concordia University)

Abstract

With the publication by Aschbacher and Smith of their recent book, the classification of finite simple groups may be said to be complete. They are the Lie-Chevalley families and the sporadic groups. This introductory talk is centred on the largest of these exceptional structures, of order about 10^54, and the quest for a broader understanding of it and its representations characterized by modular functions, a phenomenon known as "moonshine".

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Research Institute for Mathematical Sciences (RIMS)