談話会/Colloquium
Title
等比数列の一様分布論
Date
2013年2月20日(水) 16:30~17:30 (16:00より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科3号館110講義室
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)
Speaker
福山 克司 (Katusi Fukuyama)氏(神戸大・理)
Abstract
公比の絶対値が 1 より大きい等比数列の小数部分はほとんど全ての 初期値に対して一様分布することが知られている。 その経験分布函数の一様分布函数との隔たりを sup norm で測るのが discrepancy であるが、それが重複対数の法則に従うことが完全に 分かったのはここ7年位のことである。そこに現れる定数は一部の公比 について未確定であり、整数の範囲に限っても公比 -2 の場合が特別 に困難でつい最近ようやく確定に成功したところである。 本講演ではこの辺の事情について解説することを試みたい。
Title
Higher Spherical Polynomials
Date
2013年1月30日(水) 16:30~17:30 (16:00より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科3号館110講義室
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)
Speaker
伊吹山 知義 (Tomoyoshi Ibukiyama)氏(阪大・理)
Abstract
領域の制限について良いふるまいをする保型形式上の微分作用素は、 もっとも単純な場合は Gegenbauer 多項式により記述されるなど、 特殊関数論の良いソースでもある。本講演では、領域がジーゲル上半空間の 対角成分への制限である場合の特殊関数論、標準基底、母級数、母関数、 ホロノミー系などについて、Don Zagier との共同研究の成果から、その一部を述べる。
Title
射影ユニタリ群 PU(3) の分類空間の mod 3 コホモロジー再訪
Date
2013年1月23日(水) 16:30~17:30 (16:00より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科3号館127大会議室
(Rm127, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)
Speaker
亀子 正喜 (Masaki Kameko)氏 (芝浦工大・システム理工)
Abstract
1950 年代の Borel 等の研究によりに始まったリー群の分類空間とそれに関連 する空間のコホモロジーの計算はリー群の整係数ホモロジー群がねじれ部分群 を持たない場合にはおおむね満足のいく結果が得られているがリー群の整係数 ホモロジー群がねじれ部分群を持つ場合にはいまだに満足のいく結果が得られ ているとは言いがたい. 整係数ホモロジー群がねじれ部分群を持つ場合の最も 単純な場合としてユニタリ群 U(3) の商群 PU(3) がある. この場合には分類 空間の mod 3 コホモロジーは Kono-Mimura-Shimada (1975)により決定されて いるがこの講演ではこの例を違う角度から再検討する. 整係数ホモロジー群が ねじれ部分群を持つリー群の分類空間とそれに関連する空間のコホモロジーの 一般論についても言及する予定である.
Title
The hypoelliptic Laplacian
Date
2013年1月16日(水) 16:30~17:30 (16:00より1階ロビーでtea)
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110 号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
Jean-Michel Bismut 氏 (Université Paris Sud)
Abstract
Title
On the augmentation quotients of the IA-automorphismgroup of a free group
Date
2013年1月9日(水) 16:30~17:30 (16:00より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科数学教室110号室(理3号館)
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)
Speaker
佐藤 隆夫 (Takao Satoh)氏 (東京理科大・理)
Abstract
本講演では,自由群F_nの自己同型群及び,その部分群であるIA自己同型群
の組み合わせ群論的な構造について考察する.IA自己同型群とは,F_nの
アーベル化に自明に作用するようなF_nの自己同型全体のなす群である.
そもそも,自由群の自己同型群は,曲面の写像類群を部分群として含み,
IA自己同型群は曲面の写像類群におけるTorelli部分群のfree group analogue
とみなすことができる.IA自己同型群とTorelli群の両者は頻繁に比較研究
の対象とされるが,現在でも群の表示が得られていないなど,群構造は依然
として複雑である.
さて,群Gの整係数群環Z[G]の添加イデアルIは,その冪乗を考えることで
自然に,Z[G]にイデアルの降下列を定める.この降下列の各次数商
(augmentation quotientsという.)の構造は,Gの降中心列の各次数商の
構造と深い関係がある.本講演では,自由群の自己同型群のJohnson準同型
写像を,IA自己同型群のaugmentation quotients上に"拡張"させることを考え,
いくつかの性質について解説する予定である.
Title
測度集中とラプラシアン
Date
2012年12月19日(水) 16:30~17:30 (16:00より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科数学教室110号室(理3号館)
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)
Speaker
船野 敬 (Kei Funano)氏 (京大・理)
Abstract
本講演では非負リッチ曲率を持つ閉リーマン多様体のラプラシアンの 固有値の挙動と測度集中の間の関係について得られた結果を紹介する. 応用として固有値の間の次元普遍不等式についても述べたい. 本講演の内容は塩谷隆氏(東北大)との共同研究に基づく.
Title
ランダムウォークの軌跡の構造について
Date
2012年12月12日(水) 16:30~17:30 (16:00より1階ロビーでtea)
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110 号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
白石 大典 (Daisuke Shiraishi)氏 (京大・理)
Abstract
ランダムウォークの軌跡の構造を調べる問題は、確率論において基本的な問題 のひとつである。その構造を解明するアプローチの仕方は数多く存在するが、 本講演では軌跡の上のカットポイントと呼ばれる点に注目する方法を考える。 ここで軌跡上の点がカットポイントであるとは、その点を通過すまでの過去の 軌跡と通過後の未来の軌跡が交叉しないことをいう。結果としてランダムウォーク の軌跡は、カットポイントによりお互いに交わらないいくつかのパスに分離さ れることになるが、それぞれのパスの構造を理解することは軌跡全体の形状を 研究する上で重要となる。本講演ではこれまでの研究で解明されていることや 今後の課題をわかりやすく説明したい。
Title
Chern-Simons-Dirac theory
Date
2012年12月5日(水) 15:00~16:00 (16:00より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科数学教室110号室(理3号館)
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)
Speaker
五味 清紀 (Kiyonori Gomi)氏 (信州大・理)
Abstract
Donaldson不変量とSeiberg-Witten不変量は, ともに4次元多様体の不変量である.
両者の背景にはある量子場の理論がある.それらの理論の双対性から不変量の同値性
がWittenにより予想され, 近年は大きな進展があった.これらの不変量を境界つきの
4次元多様体に対して定式化しようとすると, それぞれに対応して,3次元多様体の
FloberホモロジーとSeiberg-Witten Floerホモロジーを考える必要がある.両者は
ともに無限次元空間におけるある種のMorseホモロジーである. Morse関数の役割を
果たすのは,前者ではChern-Simons汎関数, 後者ではChern-Simons-Dirac汎関数と
呼ばれるものである.
Floerホモロジーの定式化とは別に, Chern-Simons汎関数それ自身を物理理論における
汎関数とする3次元の場の理論は,Chern-Simons理論と呼ばれる.Chern-Simons理論に
おける量子的な観測量は位相不変量を与えることがWittenにより示唆され,数学的な
アプローチにより実際に不変量が構成されている.
Donaldson不変量とSeiberg-Witten不変量の双対性を踏まえれば, Chern-Simons理論は,
Chern-Simons-Dirac汎関数それ自身を汎関数とする3次元の場の理論と何らかの関係が
あろうと安直には期待できる.しかし汎関数の計量依存性から, この「Chern-Simons-
Dirac理論」は安直には3次元多様体の位相不変量を与えない.この点を回避して位相
不変量を構成する方針およびその進展についてを, この講演で話すつもりである.
Title
F特異点と極小モデル理論に現れる特異点
Date
2012年12月5日(水) 16:30~17:30 (16:00より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科数学教室110号室(理3号館)
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)
Speaker
高木 俊輔 (Shunsuke Takagi)氏 (東大・数理)
Abstract
F特異点とはフロベニウス写像を用いて定義される正標数の特異点で,極小モデル理論に現れる標数0の特異点と対応することが予想されている.数体上定義された滑らかな射影代数多様体の通常還元に関するMusta\c{t}\u{a}-Srinivasの予想を認めると、この対応が得られることを解説する.
Title
半線形熱方程式の type I 爆発解と爆発集合
Date
2012年11月28日(水) 16:30~17:30 (16:00より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科数学教室110号室(理3号館)
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)
Speaker
石毛 和弘 (Kazuhiro Ishige)氏 (東北大・理)
Abstract
大談話会
Title
調和バンドルと戸田格子
Date
2012年11月14日(水) 14:40~15:40
Place
京都大学大学院理学研究科数学教室110号室(理3号館)
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)
Speaker
望月 拓郎 (Takuro Mochizuki)氏 (京大・数理研)
Abstract
調和バンドルとは, K. CorletteとC. Simpsonによって1980年代末に導入された
数学的対象です. 彼等は射影多様体上の調和束と平坦束とヒッグス束の間の
``三位一体''を確立しました. 90年代には射影多様体の基本群への興味から
研究され, さらに21世紀になってからは特異性を持つ調和バンドルの研究が
進み, 代数多様体上のD-加群へも応用されるようになりました.
一方, このような流れとは独立に, 調和バンドルはtt*-equationという名前で,
物理学者のS. CecottiとC. Vafaによって1990年代初めに導入・研究されました.
彼等の仕事に触発されて多くの数学者が研究をしてきましたが,
まだ全てを汲み尽くしてはいないようです.
例えば, ある状況ではtt*-equationの大域解が一意的に存在することを
Cecotti-Vafaは洞察し, これを``magical solution''と呼びましたが,
近年にM. GuestとC-S. Linが着目するまで
数学者による研究はなされなかったようです.
この講演では, 調和バンドルの理論の概観を述べた後に,
``magical solution''へのKobayashi-Hitchin対応によるアプローチや
関連する話について述べる予定です.
大談話会
Title
非線形発展方程式のノイズによる正則化
Date
2012年11月14日(水) 16:30~17:30
Place
京都大学大学院理学研究科数学教室110号室(理3号館)
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)
Speaker
堤 誉志雄 (Yoshio Tsutsumi)氏 (京大・理)
Abstract
Title
Moduli spaces of Bridgeland stable objects on abelian surfaces
Date
2012年11月7日(水) 16:30~17:30 (16:00より1階ロビーでtea)
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110 号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
柳田 伸太郎 (Shintaro Yanagida)氏 (京大・数理研)
Abstract
代数曲面上の安定層のモジュライ空間の研究において、Fourier-Mukai変換の下で
Gieseker安定性が保たれるかという問題は重要であり、変換の導入以来さまざまな条件
の下で調べられてきた。
2000年代にはBridgelandにより安定性の概念が導入されたが、上記の問題はこの
Bridgeland安定性で考えた方がより良く扱える事が分かりつつある。Fourier-Mukai変換
は連接層のなす導来圏上で定義されるものなので、三角圏上の概念であるBridgeland
安定性の方を扱った方が自然なのは明らかである。
Bridgeland安定性条件の空間にはwall-chamber構造がある。代数曲面上の連接層の導
来圏に関しては安定性条件が具体的に構成されており、wall-chamber構造を詳しく調
べることができる。
今回の講演では、アーベル曲面の場合に話題を絞ってBridgeland安定性条件の空間の
構造の説明をする。特に「性質の良い」壁というものを導入し、それに関する壁越え
現象が半等質層を用いた安定層のモジュライ空間の具体的な記述と密接に関係するこ
とを解説したい。
講演内容は神戸大学の南出・吉岡両氏との共同研究(arXiv:1106.5217, 1111.6187)
及び吉岡氏との共同研究(arXiv: arXiv:0906.4603, 1203.0884)に基づく。
Title
放物型Anderson模型について
Date
2012年10月24日(水) 16:30~17:30 (16:00より1階ロビーでtea)
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110 号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
福島 竜輝 (Ryoki Fukushima) 氏 (京大・数理研)
Abstract
ランダムなポテンシャルを伴うSchroedinger作用素はAnderson Hamiltonianと呼ばれ,不純物を含む結晶中の電子の状態を記述する モデルとして盛んに研究されており,完全結晶では起こりえない局在 などの興味深い現象が起こることが知られている. ここで,電子の運動を記述するのは双曲型の方程式であるが,対応 する放物型(拡散)方程式に関しても古くから研究されている. これは元々Anderson Hamiltonianのスペクトルの研究に有用である ことから始められた研究であるが,その後拡散粒子の局在自体が独立 な興味の対象となり,様々な設定で研究が進められている. 本講演ではこの放物型の問題について,その起源から最近の結果まで を講演者の結果を交えつつ概観したい.
Title
Triple degeneracy in 3-component reaction-diffusion system
Date
2012年10月17日(水) 16:30~17:30 (16:00より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科数学教室110号室(理3号館)
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)
Speaker
小川 知之(Toshiyuki Ogawa)氏 (明治大・理工/大学院先端数理科学研究科)
Abstract
There has been a lot of studies about spatiotemporal patterns and
their dynamics to systems of reaction-diffusion equations. Let us
consider variations of bifurcations from a stationary solution.
Suppose this stationary solution is spatially uniform. Then we
linearize the equation about this equilibrium and we know a bifurcation
occurs only if the linearized problem has zero or purely imaginary
eigenvalues which we call critical eigenvalues. Moreover if this
critical eigenvalue is 0 with spatially non-trivial eigenfunction,
a stationary bifurcation to non-uniform steady state occurs.
One of the typical examples for this is the well-known Turing instability.
On the contrary, if the critical eigenvalues are a pair of purely
imaginary numbers with spatially non-trivial eigenfunctions, spatially
non-trivial oscillations may occur. The so-called wave instability
corresponds to this.
Now what can we say about the bifurcations from a spatially non-uniform
steady state? Since the linearization about non-uniform steady states
is not easy in general, we need to restrict ourselves to some special
cases. One of the possibilities where we can predict bifurcations of
non-uniform steady states is in the analysis about degenerate instability
points. We focus our attention to the case where the system has the triple
degeneracy with 0, 1 and 2 modes (0:1:2-mode interaction). We can, in fact,
show that this type of triple degeneracy really occurs in 3-component RD
system. And we found the case where the 1-mode stationary solution may become
unstable with a pair of purely imaginary critical eigenvalues. Moreover
we obtained the complete condition for the Hopf bifurcation from the 1-mode
stationary solutions. Thus we can conclude that oscillatory solutions may
bifurcate from a non-uniform steady state in 3 component RD systems.
This is the joint work with Takashi Okuda in Meterological college.
Title
代数多様体の有理写像の力学的次数と算術的次数
(Dynamical and Arithmetic Degrees of Rational Maps of algebraic varieties)
Date
2012年10月10日(水) 16:30~17:30 (16:00より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科数学教室110号室(理3号館)
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)
Speaker
川口 周(Shu Kawaguchi)氏 (京大・理)
Abstract
射影代数多様体 X からそれ自身への支配的有理写像 f が与えられたとき,f の 反復合成による次数の増大度を考えることができる.この増大度は f の力学的 次数とよばれ,最近よく研究されている.一方,f が有理数体上で定義されてい るときには,X の適当な有理点 P をとり,f の反復合成による P の高さの増大度 を考えることができる.この増大度を f の P での算術的次数とよぶ.談話会 では,有理写像の力学的次数と算術的次数に関連する話題を,講演者の Silverman氏との共同研究の結果も含めて紹介したい.
Title
グラフを使った数学とコンピューターサイエンス
(Mathematics and Computer Science using graphs)
Date
2012年9月26日(水) 16:30~17:30 (16:00より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科数学教室110号室(理3号館)
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)
Speaker
河原林 健一(Ken-ichi Kawarabayashi)氏 (国立情報学研究所)
Abstract
本講演は,2部構成になっている.
第1部は,主に講演者がリーダーとなる国際研究センターについてである.10月1日より,国立情報学研究所にて,「離散アルゴリズム国際研究センター」が設立される.この研究センターは,大学の一学科ほどの予算規模を持ち,15-20人の研究員と,多数のビジターを迎える予定である.この国際研究センターは,過去10年にわたって継続されているIAS(プリンストン高級研究所)の「離散数学&理論計算機科学」プログラムの日本版とも考えられるが,グラフの関連する問題については,実用的な問題も扱う予定である.本講演の第1部では,この研究センターに関する詳細と,この国際研究センターが今後日本の数学界とどのようにかかわっていくかを述べたい.
第2部は,本研究者が最近行っている「アルゴリズム的グラフマイナー理論」の詳細,とくにグラフ理論で最も深遠なHadwiger予想に関する話題を述べたい.
Title
概均質ベクトル空間の軌道
Date
2012年7月25日(水) 16:30~17:30 (16:00より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科数学教室110号室(理3号館)
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)
Speaker
雪江 明彦(Akihiko Yukie)氏 (京大・理)
Abstract
概均質ベクトルの軌道はさまざまな数論的対象を パラメータ化する. こういった軌道と数論的対象の対応と 幾何学的不変式論(GIT)との関係と解析的理論について解説する. また,とくにp進整数環上の軌道をGITにおけるconvexityの観点 から解釈することについての試みについて述べる予定である.
Title
Some representation-theoretic aspects of AGT conjecture
Date
2012年7月18日(水) 16:30~17:30 (16:00より1階ロビーでtea)
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110 号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
Boris Feigin 氏 (京大・数理研 & Landau Institute for Theoretical Physics)
Abstract
In the talk I will explain how the toroidal algebras involve in the studies of instanton-like moduli spaces. After that I discuss the conformal limit of the toroidal algebras. It means that in some limit toroidal algebras degenerate to W-algebras which are coincides with cosets. In the end I present new things from representation theory which follow from geometry but rather unpredictable from the pure representation-theoretic point of view.
Title
非可換Donaldson-Thomas理論の展開
Date
2012年7月11日(水) 16:30~17:30 (16:00より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科数学教室110号室(理3号館)
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)
Speaker
長尾 健太郎(Kentaro Nagao)氏 (名大・多元数理)
Abstract
Donaldson-Thomas理論は3次元Calabi-Yau多様体上の安定連接層のモジュライ理論
である.Gromov-Witten理論との等価性が期待され,代数幾何と弦理論の両面から盛
んに研究が行われている.ホモロジー的ミラー対称性の思想によれば,連接層の
モジュライ理論を3次元Calabi-Yau「圏」の対象のモジュライ理論に拡張することが
有意義となる.これが非可換Donaldson-Thomas理論である.
談話会では,非可換Donaldson-Thomas理論の壁越え現象について紹介した後,
今後期待される展開を概観したい.
Title
III 型作用のエルゴード理論と Baumslag-Solitar 群
(Ergodic theory for type III actions and Baumslag-Solitar groups)
Date
2012年7月4日(水) 16:30~17:30 (16:00より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科数学教室110号室(理3号館)
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)
Speaker
木田 良才(Yoshikata Kida)氏 (京大・理)
Abstract
(X, \mu) を Lebesgue 確率測度空間とする.X の可測な自己同型 T で非特異
なもの,つまり,測度 0 の可測部分集合を保存するようなものを考える.
T が \mu と同値などんな測度も保存しないとき,T は III 型であるという.
そのような二つの自己同型 T,S が軌道同型であるとは,T,S が作用する
測度空間の間の同型写像で T と S の軌道を保存するようなものが存在する
ときをいう.1960 年代に始まったとされるこの軌道同型の研究は,von Neumann
環の理論と関連し合いながら発展し,70 年代には III 型自己同型の軌道同型に
関する完全不変量が得られた.この不変量は実数群による非特異作用の同型類で
与えられ,III 型自己同型 T が X 上の確率測度 \mu をどれほど変化させて
いるのかを反映しているものと見なせる.本講演ではまず,III 型自己同型の
具体例をはじめ,III 型理論の基本となるこの不変量について述べたい.
一方,最近では,離散群による保測作用を軌道同型の観点から調べる研究が
盛んに行われている.0 でない整数 p,q に対し,表示 < a, t | ta^pt^{-1}=a^q >
で定義される群を Baumslag-Solitar 群という.この群は組み合わせ群論に
おいて基本的な役割を果たしてきた群である.関係式に見られるように,a で
生成される部分群上で捩れが起こり,このことがこの群を興味深くしている.
この捩れは,III 型作用による測度の変化とどこか似たものを感じさせる.
本講演の後半では,この直感を基にして得られた,Baumslag-Solitar 群による
保測作用に関する結果を紹介する.
大談話会
Title
群の双曲性とその応用
(Hyperbolicity of groups and its application)
Date
2012年6月27日(水) 14:40~15:40
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 420 号室
(Rm420, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
藤原 耕二 (Koji Fujiwara)氏 (京大・理)
Abstract
Gromovは80年代に、双曲平面の幾何学的性質に基づいて、測地空間や
離散群に双曲性を定義しました。以来、それまでの組み合わせ群論や
リー群の格子部分群に関する成果も踏まえて、離散群論は大きく進展しています。
双曲性を持つ群の例としては、断面曲率が負の閉多様体の基本群や
自由群があります。
この講演では、双曲性の応用として導かれる結果、たとえば、
群の「有界コホモロジー」の非消滅などについて説明します。
大談話会
Title
toric 多様体上の Lagrangian Floer 理論
(Lagrangian Floer theory on compact toric manifolds)
Date
2012年6月27日(水) 16:30~17:30
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 420 号室
(Rm420, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
小野 薫 (Kaoru Ono)氏 (京大・数理研)
Abstract
compact toric Kähler 多様体の運動量写像のファイバーは
Lagrangian トーラスとなる。これらに対する Lagrangian Floer 理論
は potential 関数と呼ばれるもので記述することができる。
compact toric 多様体の量子コホモロジーは potential 関数の
Jacobi 環と同型になることが分かる。講演では深谷氏、Oh氏、太田氏との
共同研究に基づき、これらのことを含めて研究の現状をお話ししたい。
The fibers of the moment map on compact toric manifolds are Lagrangian
tori. Lagrangian Floer theory of these tori are governed by so-called
potential function. The quantum cohomology of the compact toric manifold
is isomorphic to the Jacobian ring of the potential function. We will
discuss the current status of the study based on joint works with
K. Fukaya, Y.-G. Oh, H. Ohta.
Title
An introduction to the Hanna Neumann Conjecture
Date
2012年6月20日(水) 16:30~17:30 (16:00より1階ロビーでtea)
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110 号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
Igor Mineyev 氏 (京大・数理研 & UIUC)
Abstract
The Hanna Neumann Conjecture is an easy-to-state question about subgroups of free groups that has been open since 1956-1957. I will present examples, ways to restate the conjecture, and some ideas of its recent proof.
Title
表現論と数論的不変量
Date
2012年6月13日(水) 16:30~17:30 (16:00より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科数学教室110号室(理3号館)
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)
Speaker
市野 篤史(Atsushi Ichino)氏 (京大・理)
Abstract
局所Langlands対応は、局所体上の簡約代数群の表現論と数論的対象を結びつける。この対応のもと、表現論的不変量がどのように数論的不変量と結びつくかを、次元(とその拡張である形式次数)の場合に紹介する。
Title
Group actions on quasi-trees and applications
Date
2012年6月6日(水) 16:30~17:30 (16:00より420号室でtea)
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 420 号室
(Rm420, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
Mladen Bestvina 氏 (University of Utah)
Abstract
It is Serre who pointed out that SL_2(Z) acts on a tree. According to
Bass-Serre theory, a group that acts on a tree can be decomposed as an
amalgam of its subgroups.
In this talk I will consider actions of groups on quasi-trees -- these
are metric spaces (e.g. graphs) quasi-isometric to a tree. Having an
action on a quasi-tree is a much more flexible condition than having
an action on a tree. There is a general construction of such actions
for "rank 1" groups. There are also many groups that do not admit
nontrivial actions on quasi-trees, by the work of Manning,
Burger-Mozes, N. Ozawa (SL_3(Z) is an example). Applications include a
construction of quasi-morphisms and quasi-cocyces on various groups,
characterization of elements in mapping class groups with zero stable
commutator length, and finiteness of asymptotic dimension of mapping
class groups. This is joint work with Ken Bromberg and Koji Fujiwara.
Title
相互作用に基づいたプログラミング言語の意味論について
(Semantics for programming languages based on interaction)
Date
2012年5月30日(水) 16:30~17:30 (16:00より1階ロビーでtea)
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110 号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
星野 直彦 (Naohiko Hoshino)氏 (京大・数理研)
Abstract
Girardによって始められたGeometry of Interaction (GoI)
は証明論、特にカット除去に関する研究がそのはじまりではあるが、
プログラミング言語の意味論としての研究も行われている。GoIの意味論
としての特色の一つは、GoI意味論を与える為に必要なパラメータを
変化させる事でいろいろな計算の世界のモデルが得られる点である。
本講演ではプログラミング言語に対する意味論がどのような研究分野であるかを
説明し、Abramsky, HaghverdiとScottにより整備されたGoIの枠組みを解説する。
最後に講演者の最近の結果と、GoIによるプログラム意味論の具体例を幾つか紹介する。
Title
A new look at the Takagi function
Date
2012年5月23日(水) 16:30~17:30 (16:00より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科数学教室110号室(理3号館)
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)
Speaker
Pieter Allaart 氏(University of North Texas)
Abstract
It has been more than a century since Teiji Takagi gave us the function now commonly bearing his name. Yet this simple example of a continuous but nowhere differentiable function keeps fascinating and inspiring mathematicians as never before, not least because of its wide variety of applications to such diverse areas as number theory, combinatorics, and analysis. It has even been linked to the Riemann hypothesis. The talk will begin with an overview of these applications, to make it clear that the Takagi function is much more than just 'a peculiar function' and that it is actually a function worth studying in more detail. We will then see that studying the Takagi function is also intrinsically rewarding, as it possesses many deep and beautiful secrets that have only recently started to come out into the light. These include the location of infinite derivatives and its rich level set structure. In the last part of the talk we will look at a natural generalization of the Takagi function, and compare its properties with those of the Takagi function itself.
Title
Lefschetz fibrationのgeography問題について
Date
2012年5月16日(水) 16:30~17:30 (16:00より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科数学教室110号室(理3号館)
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)
Speaker
門田 直之(Naoyuki Monden)氏 (京大・理)
Abstract
4次元トポロジーと複素曲面を比較する研究手段の一つとして,極小な4次元symplectic多様体と極小な一般型(代数)曲面のgeography問題(Chern数の組の存在域を問う問題)の比較があった.異なる手法として,fibrationに対して定まる不変量の組の存在域を問う問題の比較,いわゆるfibrationのgeography問題と呼ばれるものの比較がある.一般型曲面の重要な研究手法として,底空間とファイバーを(代数)曲線とする相対極小なfibrationを考えることが挙げられる.一方,
4次元symplectic多様体には(ある操作を行うことで)Lefschetz
fibrationという最も簡単なfibrationの構造が入ることが知られている.
本講演では,一般型曲面におけるfibrationのgeography問題とLefschetz
fibrationのgeography問題の相違について紹介する.特に, slope不等式と呼ばれる不等式の違いについて言及したい.
Title
On a problem of Atiyah
Date
2012年5月2日(水) 16:30~17:30 (16:00より1階ロビーでtea)
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110 号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
Andrzej Żuk 氏 (京大・数理研 & University of Paris 7)
Abstract
In 1976, Michael Atiyah defined $L^2$-Betti numbers for manifolds and asked a question about their rationality. These numbers arise as the von Neumann dimensions of kernels of certain operators acting on the $L^2$-space of the fundamental group of a manifold. The problem concerning their values is closely related to the Kaplansky zero-divisor question. We present constructions of closed manifolds with irrational $L^2$-Betti numbers.
Title
勾配流としての熱流
Date
2012年4月25日(水) 16:30~17:30 (16:00より105談話室でtea)
Place
京都大学大学院理学研究科数学教室110号室(理3号館)
(Rm110, Building No.3, Faculty of Science, Kyoto University)
Speaker
太田 慎一(Shin-ichi Ohta)氏 (京大・理)
Abstract
熱流はL^2空間でのエネルギーの勾配流と見なせることが古典的に 知られています.一方,Jordan, Kinderlehrer, Otto (1998) は, 熱流を確率測度のなすWasserstein空間での相対エントロピーの 勾配流とも見なせることを示しました. この関係はリッチ曲率と熱流の挙動をつなぐためにも有効です. この講演では,熱流の勾配流としての解釈とその応用について, 最近の測度距離空間への拡張を織り交ぜながら概説します.
Title
グラフの剛性の組合せ的特徴付けについて
(Combinatorial rigidity of graphs)
Date
2012年4月18日(水) 16:30~17:30 (16:00より1階ロビーでtea)
Place
京都大学数理解析研究所 (RIMS) 110 号室
(Rm110, Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University)
Speaker
谷川 眞一 (Shin-ichi Tanigawa)氏 (京大・数理研)
Abstract
ユークリッド空間内に埋め込まれたグラフの各辺を棒材,各頂点
を節点と捉えることでグラフの剛性を定義することが出来る.
2次元の場合,Maxwellの条件によってグラフの一般剛性が組合せ
的に特徴付け出来ることがLamanによって1971年に示された.
しかしながら3次元以上の場合においてはMaxwellの条件は十分で
はなく,特に3次元剛性の組合せ的特徴付けは剛性理論における
重要な未解決問題である.
本講演では,Lamanの証明を通してグラフ剛性の基本的性質を解説し,
3次元剛性に関する講演者の最近の成果や近年活発に研究が行われて
いる対称性を有するグラフの剛性についても紹介する.
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