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談話会のご案内

日時: 2005年12月21日(水) 16:30~17:30
(16:00より談話室でTea)
場所: 京都大学大学院理学研究科 数学教室大会議室
講演者: 古田 幹雄 氏 (東大・数理)
題目: Pontrjagin-Thom construction revisited
Abstract:

Pontrjagin-Thom 構成は、代数的トポロジーの対象と多様体の幾何学とを結びつける基本的な構成であり、 代数的トポロジー、微分トポロジーの勃興期に重要な役割を果たした。

Thomによる同境群の計算はHirzebruchによって符号数定理へと応用され、 Riemann-Roch-Hirzebruchの定理の証明に用いられた。ひとつの見方では、 PT構成は、(co)homotopy論における一種の双対性として理解することもできる。

PT構成は、最も基本的な場合には、球面のホモトピー群と枠付き同境群との間の同型を与える。

たとえば、$\pi_4(S^3)$は、PT構成によって、 「4次元ユークリッド空間の中に埋め込まれた連結1次元多様体の、 法束の安定自明化の可能性」と一対一に対応し、この可能性を数えることによって、 丁度2個の要素が存在することがわかる。

PT構成に現れる同境群を、二つの方向に少し拡張することができる。 多様体が特異性をもつ場合にも、同境群の要素と考えることができる。 ここで特異性としては滑らかな写像の零点集合のもつ特異性を考える。 局所係数付の枠付き同境群。ここで「局所係数」は、 具体的には法束の安定自明化のかわりに、 与えられたベクトル束の制限との安定同型によって与えられる。 これらの拡張は群作用がある場合にPT構成を考察するために必要となる。

無限次元空間に無限次元の群が作用しているときにも、 適当な条件のもとでPT構成を考えることができる。 そのとき、homotopy群の要素にあたる対象と比較して、 同境群の要素にあたる対象のほうが、直接扱いやすい。

Seiberg-Witten理論における高次不変量が、 このようなPT構成によって理解できることを説明したい。 このとき同境群の要素とは、「モジュライ空間の接束の安定自明化」を、 上記2方向に拡張して定式化したものである。また、 Donaldson理論における類似の試みについても、ひとこと言及したい。


日時: 2005年12月14日(水) 16:30~17:30
(16:00より談話室でTea)
場所: 京都大学大学院理学研究科 数学教室大会議室
講演者: Joachim Hilgert 氏 (Paderborn University)
題目: An ergodic Arnol'd-Liouville Theorem for symmetric spaces
Abstract: The Arnold--Liouville Theorem is a classical result for completely integrable hamiltonian systems on compact symplectic manifolds which asserts that the manifold can be fibered by tori via the moment map and on these tori the flow can be linearized. This could be reformulated by saying that there is a Poisson commuting family of functions which fibers the manifold into level sets and acts transitively on each level set via its hamiltonian vector fields.

It turns out that for the cotangent bundle of a locally symmetric space of finite volume something very similar happens. Here we also have a family of Poisson commuting functions fibering the manifold into level sets and acting on these level sets via their hamiltonian vector fields. The only difference is that these actions are no longer transitive, but for generic orbits they are still ergodic. This is the result I call the ergodic Arnol'd--Liouville Theorem for locally symmetric spaces.


日時: 2005年12月7日(水)16:30~17:30
(16:00より1階ロビーでtea)
場所: 京都大学数理解析研究所 202 号室
講演者: 高木 泉 氏(東北大・理)
題目: ヒドラ再生実験のシミュレーションの妥当性の数学的検証 [pdf]

日時: 2005年11月30日(水) 16:30~17:30
(16:00より談話室でTea)
場所: 京都大学大学院理学研究科 数学教室大会議室
講演者: 森下 昌紀  氏 (九大・数理)
題目: Geometry of polysymbols
(寺嶋郁二氏(東工大)との共同研究)
Abstract: 絡み数、 Legendre記号、 終結式は、各々、結び目理論、整数論、 代数幾何学における類似物である。 MilnorとMasseyは、ボロミアン環の非自明性を示すために、 高次の絡み数、Massey積を導入した。 Legendre記号のMilnor-Massey版も知られている(Redei-筆者)。 ここでは、代数幾何における類似、すなわち、 Riemann面上のtame symbolの高次化(多重化)のMilnor-Masseyタイプの構成を与える。 実際、 DeligneコホモロジーにおけるMassey積およびChenの反復積分を用いて、 tame symbolの多重化たちの住むべき家-- polysymbol --を構成する。

京都大学数学大談話会のご案内

1. 「反応拡散系における爆発問題について」
二宮 広和 氏(龍谷大・理工)
Abstract: 反応拡散系とは, 常微分方程式系に(対角成分のみの)拡散項をつけた放物型偏微分方程式をいう. 拡散はそれ単独では空間一様化の効果をもっているが, 2成分以上の反応拡散系では,必ずしも空間一様化に作用しない. 反応拡散系において拡散はどのような役割を果たしているのか調べるために, 爆発問題を取り上げる.拡散によって解の有限時間爆発が, 引き起こされる例と,逆に爆発が抑止される例を紹介する.
2. 「Grothendieck の二重二十面体について」
橋本 義武 氏(阪市大・理)
Abstract: 二重(双)二十面体とは6点集合上のある構造であり,Grothendieck によって定義された. これに関して次の話題を紹介する.

1.対称群のうち外部自己同型をもつものは6次対称群のみである. これは,6点集合が「双対」をもつことの現れと見ることができる. 6点集合の双対は二重(双)二十面体の集合として実現される.

2.6点集合とその双対の和である12点集合には「シンプレクティック構造」が入る. その自己同型群が12次 Mathieu 群である. さらにシンプレクティック12点集合は「双対」をもち,それらの和である24点集合にも「シンプレクティック構造」が入る. その自己同型群が24次 Mathieu 群である.

3.二重(双)二十面体は,種数0の5点つき代数曲線のモジュライの Deligne-Mumford コンパクト化において現れる. これは,Leibniz による ζ(2) の積分表示に関係している.


日時: 2005年11月16日(水曜日)14:40より
場所: 京都大学大学院理学研究科数学教室大会議室(講演)
    同      123号室 (Tea Break)

プログラム

二宮 広和 氏 14:40~15:40 大会議室
Tea Break 15:40~16:30 123号室
橋本 義武 氏 16:30~17:30 大会議室

数学談話会

日時: 2005年11月9日(水) 16:30~17:30
(16:00より談話室でTea)
場所: 京都大学大学院理学研究科 数学教室大会議室
講演者: 足立 匡義  氏 (神戸大・理)
題目: 定磁場中の 3 体 Schrodinger 作用素に対する Mourre 評価について
Abstract: 定磁場内を運動する 3 体量子力学系を支配する Schrodinger 作用素のスペクトルの性質を考察する。より具体的には、 2 個の荷電粒子と 1 個の非荷電粒子からなる 3 体系に対して、 荷電粒子と非荷電粒子との間の相互作用ポテンシャルが有限距離型であるという仮定の下で Mourre 評価が成立することを示す。 Mourre 評価はスペクトル理論だけでなく、 散乱理論においても重要な役割を果たす評価である。 この講演で考える系では荷電粒子と非荷電粒子が混在しており、 その系の荷電粒子の個数は複数である。その個数が単数であれば、 空間次元が2 である場合と 3 である場合とで取り扱いに差異はないけれども、 複数になると差異が現れるようなので、 その辺りの事情をこの講演で見ていきたいと考えている。

日時: 2005年11月2日(水)16:30~17:30
(16:00より1階ロビーでtea)
場所: 京都大学数理解析研究所 202 号室
講演者: 荒川 知幸 氏 (奈良女子大学)
題目: Vertex algebras associated with Slodowy slices
Abstract: アフィンリー環は、有限次元リー環のアフィン化(あるいはchiralization)ですが、 それと同じ意味で、量子化されたSlodowyの横断片のアフィン化(chiralization)は、 W代数と呼ばれる頂点代数になります。

W代数はもともと、80年代後半に、 Zamolodchikov等物理学者の共形場理論の研究の中から導入されたもので、 Virasoro代数の一般化ととも捉えることができます。ただ、 一口に一般化と言いましても、 それが良い一般化であるかどうかは別問題なわけですが、 それを保証するのが1992年のFrenkel-Kac-Wakimoto予想でありました。

本講演では、Frenkel-Kac-Wakimoto予想の解決など、 この興味深い頂点代数の表現論を中心にお話しする予定です。


日時: 2005年10月26日(水) 16:30~17:30
(16:00より談話室でTea)
場所: 京都大学大学院理学研究科 数学教室大会議室
講演者: 小沢 登高  氏 (東大・数理)
題目: 離散群の従順作用とその応用
Abstract: 従順性の概念は離散群の函数解析的取り扱いにおいて大切であり、 これまでに多くの研究が従順離散群に対してなされてきた。 その結果、従順離散群においては、 バウム・コンヌ予想や群フォン・ノイマン環の分類などの重要な問題が既に解決している。 従順群のクラスは全ての可解群や劣指数的増大群を含むが、 残念なことに非可換な自由群、非初等的な双曲群、 及び大抵の行列群は従順でない。ところが、 従順性の概念を一般化して群作用に対して考えると、 従順でない多くの離散群が従順な境界作用を持つことを示せる。 講演では、 従順作用の概説とそのバウム・コンヌ予想や群フォン・ノイマン環の分類に対する応用を述べる。

日時: 2005年10月19日(水) 16:30~17:30
(16:00より談話室でTea)
場所: 京都大学大学院理学研究科 数学教室大会議室
講演者: 加藤 文元 氏 (京大・理)
題目: リジッド幾何学とその応用
Abstract: 次の二つの点に絞ってお話ししようと思います。

(1) リジッド幾何学の「逆」歴史的な紹介:従来のリジッド幾何学の紹介は、 大抵 J.Tate によるリジッド解析幾何学の紹介から始り、歴史的順序に沿った ものが多かったのですが、今回はこれをやめて、名古屋大学の藤原一宏氏との 共同研究で現在進行中である理論の方からお話しします。その方が、「一体リ ジッド幾何学とは何なのか」とか「何のためにあるのか」といった素朴は疑問 に答えやすいからです。この方法では「何故、リジッドという名前がついてい るのか」という質問には答えられませんが...

(2) 今一番ホットな応用:これは Kontsevich-Soibelman らによる「ミラー対 称性」への応用です。これについて「何故リジッドが使えるのか」ということ に絞ってお話ししようと思います。

「リジッド幾何学は便利なものだ」という印象を持ってもらうこと、そして今 私が藤原さんと書いている本が出版された暁には「買ってみよう」と思っても らうことが、この講演の目標です。


日時: 2005年10月12日(水)16:30~17:30
(16:00より1階ロビーでtea)
場所: 京都大学数理解析研究所 202 号室
講演者: 安田 正大 氏 (京大・数理研)
題目: L関数の特殊値, 代数的K群および周期
Abstract: Riemann のζ関数は整数論において最も重要な複素解析関数である. これを一般化した複素解析関数として数論的多様体の Hasse-Weil L関数や 保型形式の L関数がある. これらの L関数の整数点における値について, いくつかの重要な予想および多くの研究がなされている. 本講演では, 数論的多様体の研究の立場から, 代数的 K群, および周期との関係に 重点を置いて, L関数の特殊値に関する研究の基本的な枠組と現状について 概説する. 最後に, 関数体上の Drinfeld modular 多様体に関する 近藤智氏との共同研究の結果について話す.

日時: 2005年10月5日(水) 16:30~17:30
(16:00より談話室でTea)
場所: 京都大学大学院理学研究科 数学教室大会議室
講演者: 中西 賢次 氏 (京大・理)
題目: Zakharov方程式系の非線形Schrodinger極限について
Abstract: 非線形 Schrodinger 方程式は様々な物理モデルから導出されるが、その導出 過程における方程式への極限操作が、実際の解に対しても極限移行を引き起 こすかどうかは明らかでない。この講演では、プラズマ中の非線形相互作用 を記述する Zakharov 方程式系からの極限移行に関する最近の研究を解説す る。そこで鍵となるのは、様々な時空周波数を持つ波の、非線形相互作用に おける共鳴・非共鳴成分の区別と、それらに対する極限パラメーターについ て一様な評価である。非線形共鳴によって極限方程式に違いが現れる場合に ついても言及したい。

日時: 2005年7月6日(水)16:30~17:30
(16:00より1階ロビーでtea)
場所: 京都大学数理解析研究所 202 号室
講演者: 大槻 知忠 氏 (京大・数理研)
題目: On the 2-loop polynomial of knots
Abstract: 円周を3次元球面にうめこんだものを結び目といい、 自己交叉しないように変形してうつりあう結び目を isotopic という。 結び目の集合からある集合(多項式環などのよくわかった集合)への写像で isotopic な結び目に対して同じ値をとるものを不変量という。 1980年代に、量子群や Chern-Simons 場の理論と関連して、 大量の結び目不変量が発見された。 Kontsevich 不変量はそれらの中で最強の不変量である。

この講演では、Kontsevich 不変量とそのループ展開について概要を解説し、 ループ展開の2ループの項を表示する2ループ多項式について筆者の最近の結果を述べる。


日時: 2005年6月29日(水) 16:30~17:30
(16:00より談話室でTea)
場所: 京都大学大学院理学研究科 数学教室大会議室
講演者: Stefan Helmke 氏 (京大・数理研)
題目: Groups, Lie algebras and singularities
Abstract: At the International Congress of Mathematicians in 1970, E. Brieskorn gave a natural explanation of a mysterious relation between algebraic groups and simple singularities. More recently, in a joint work with Peter Slodowy, this relation was extended to simple elliptic singularities. In this case, the corresponding group is an affine Kac-Moody group. In my talk, I will explain this relation.

日時: 2005年6月22日(水)16:30~17:30
(16:00より1階ロビーでtea)
場所: 京都大学数理解析研究所 202 号室
講演者: 勝股 審也 氏 (京大・数理研)
題目: TT-リフティングの意味論的定式化と計算的メタ言語のための論理述語
Abstract: 論理述語(logical predicate)とは単純型付ラムダ計算の部分モデルを型に関して再帰的に構成する方法である。 今、論理述語をMoggiの計算的メタ言語(computational metalanguage)に拡張することを考える。 計算的メタ言語にはモナディック型 Tt が存在するため、論理述語を拡張するには、 型 t の述語から型 Tt の述語を計算する方法を与えなければならない。

今回の談話会では、 最近LindleyとStarkらが構文的に与えたTT-lifting と呼ばれる計算方法の意味論的な定式化について述べる予定である。


日時: 2005年6月15日(水) 16:30~17:30
(16:00より談話室でTea)
場所: 京都大学大学院理学研究科 数学教室大会議室
講演者: 野海 正俊 氏 (神戸大・自然)
題目: 楕円差分パンルヴェ方程式と楕円超幾何積分
Abstract: 楕円差分パンルヴェ方程式には幾通りかの定式化があるが,ここ では,E_8 型格子上のタウ函数に対する非自励的な広田・三輪 型双線形方程式系を考察し,その方程式系が所謂楕円超幾何積分 を成分とする行列式解を持つことを報告する.

日時: 2005年6月8日(水) 16:30~17:30
(16:00より談話室でTea)
場所: 京都大学大学院理学研究科 数学教室大会議室
講演者: 吉田 正章氏 (九大・数理)
題目: 白頭絡群的保形函数
Automorphic functions for White-head-link-complement group
Abstract: 白頭絡の補空間には実又曲構造が入ることが知られている。 即ち3次元又曲空間のある離散群による商が3次元球面か白頭絡を除いた物に同相と言う訳である。 「同相」だけでは悲しいので、 又曲空間で定義された関数でその離散群で不変な関数を何個か作って、 又曲空間の離散群による商の埋め込みを構成する。

京都大学数学大談話会のご案内

1. "Cyclotomic quotients"
有木 進 氏 (京大・数理研)
In algebraic group theory and algebraic combinatorics, there are algebras which have been studied in detail in last two decades. Hecke algebras, Brauer algebras are two major examples. When we study their affine version, one way to study them is to consider its finite dimensional truncation. This gives us examples for the general theory of Artin algebras, and, as modular representation of such algebras are not studied, we have new area of research.
In this talk, I will survey related results in the first half: I start with finite dimensional truncation of the category O by Cline-Parshall-Scott, and then continue to cyclotomic quotients of the affine Hecke algebra of type A. A recent result shows their relationship with the rational Cherednik algebra. In the second half, I will explain our recent results on cyclotomic Wenzl algebras.
2. "ルジャンドル双対性と擬球面幾何学" [pdf]
泉屋 周一 氏 (北大・理)

日時: 2005年6月1日(水曜日)14:40より
場所: 京都大学数理解析研究所 420号室(講演)


202号室 (Tea Break)

プログラム

有木 進 氏 14:40-15:40 ( 420号室 )
Tea Break 15:40-16:30 ( 202号室 )
泉屋 周一 氏 16:30-17:30 ( 420号室 )

日時: 2005年5月11日(水)16:30~17:30
(16:00より1階ロビーでtea)
場所: 京都大学数理解析研究所 202 号室
講演者: 小西 由紀子 氏 (京大・数理研)
題目: 3次元トーリックカラビヤウ多様体のゴパクマール・ヴァッファ不変量の整数性について
Abstract: 複素3次元カラビヤウ多様体のグロモフ・ウィッテン不変量に関してゴパクマール・ヴァッファ予想と呼ばれる予想がある。 これは弦理論の考察によって導かれた。 グロモフ・ウィッテン不変量のある線形和として、 非負の整数 g と2次のホモロジー類を添え字にもつような数の系列を定義する。 この数はしばしばゴパクマール・ヴァッファ(GV)不変量と呼ばれる。 予想の主張は次の2つに分けて考えることができる。

1.GV不変量は整数であり、かつ g が十分大きいところではゼロになる。
2.GV不変量はカラビヤウ多様体にコンパクト化したM理論のBPS状態の数に等しい。 (数学的定式化は細野-齋藤-高橋によるものがある。)

近年の弦理論の双対性の発展により、 カラビヤウ多様体がトーリック多様体の場合にはグロモフ・ウィッテン不変量の生成関数を具体的に書くことが可能になった。 生成関数は(変数を特殊化した)対称関数をトーリック扇の形にしたがって組み合わせることで得られる。 そしてこの生成関数を用いるとGV予想の主張1を組み合わせ論的に証明することができる。

講演では3次元トーリックカラビヤウ多様体のグロモフ・ウィッテン不変量の生成関数について説明し、 主張1の証明を紹介したい。


日時: 2005年5月6日(金)15:30~16:30
(15:00より1階ロビーでtea)
場所: 京都大学数理解析研究所 115 号室
講演者: Professor Mikhail SHUBIN (Northeastern University)
題目: Can one see the fundamental frequency of a drum?
Abstract: In 1966 Marc Kac asked the famous question "Can one hear the shape of a drum?", formulating a goal to determine the shape of a domain in Rn by its frequencies, i.e. eigenvalues of the Laplacian with the Dirichlet boundary conditions in this domain. This question stimulated thousands of papers in inverse spectral problems, which have numerous applications. The question in the title of this talk is somewhat opposite but seems very important too. The fundamental frequency of a domain in Rn is the lowest eigenvalue of the Dirichlet Laplacian in this domain. It plays an important role in mathematical physics and applications (e.g. to stability of mechanical systems).

The goal is to find visual characteristics of the domain which determine or at least estimate the lowest eigenvalue. I will explain two-sided estimates for this eigenvalue in terms of capacity. Such a result was first obtained by V. Maz'ya, and was considerably improved in a recent work by V. Maz'ya and M. Shubin.


日時: 2005年4月27日(水) 15:00~16:00
(14:30より談話室でTea)
場所: 京都大学大学院理学研究科 数学教室大会議室
講演者: Blagovest Sendov氏
(ブルガリア・アカデミー会員、同国の日本大使)
題目: A Conjecture in the Geometry of Polynomials [pdf]

日時: 2005年4月20日(水)16:30~17:30
(16:00より談話室にてtea)
場所: 京都大学大学院理学研究科 数学教室大会議室
講演者: 荒井 迅 氏(京都大学数学教室)
題目: 力学系の双曲性について
Abstract: 「双曲性」は力学系の研究において中心的な役割を果たして来た概念である. 力学系の双曲性は一種の非退化条件であり,このよい性質を持つ力学系に対 しては,系のふるまいの幾何学的および確率論的な理解を得たり,系がどの 程度カオス的であるかを測定する不変量を計算することができる.

その一方で,双曲的でない力学系も力学系全体の空間の中で豊富に存在する ことが示されており,具体的な力学系が双曲性を持つかどうかを判定するの は実は簡単ではない.数値実験などで明かに双曲性を持つと予想できても, それを数学的に厳密に検証することは一般に難しい.

本講演では,非専門家向けに双曲型力学系の一般論を簡単に解説した上で, 「擬双曲性」という概念を用いて双曲性を判定するアルゴリズムを紹介する. とくに実平面上のエノン写像において,このアルゴリズムにより双曲性が 多数のパラメータ領域で証明されたので,これについても触れる予定である.


日時: 2005年4月13日(水)16:30~17:30
(16:00より1階ロビーでtea)
場所: 京都大学数理解析研究所 202 号室
講演者: 阿部 健 氏 (京都大学数理解析研究所)
題目: On moduli spaces of vector bundles on a nodal curve
Abstract: 射影的代数多様体上の(半)安定なベクトル束たちは 代数的なモジュライをなします。このモジュライは 幾何学的不変式論によって構成されます。 そこで、その具体的構造やそれにまつわる現象を調べること が問題になります。

nodeを持った代数曲線上のベクトル束のモジュライで Giesekerによるものがあります。これは、モジュライの境界に、 nodeを有理曲線の鎖に置き換えた曲線上のベクトル束を付け加えて 得られるもので、もともとGisekerがRamanan-Newstead予想を 曲線の退化によって解くために、階数2の場合に考えました。 その後、このモジュライはNagaraj-SeshadriやKauszらによって、 一般階数の場合に構成されました。

本講演ではこれらの結果の紹介をした後、階数2で 行列式束をとめた場合のモジュライの様子について 話す予定にしてます。


日時: 2005年1月19日(水) 16:30~17:30
(16:00より談話室でTea)
場所: 京都大学大学院理学研究科 数学教室大会議室
講演者: 齋藤 政彦氏(神大・理)
題目: パンルベ型方程式の幾何学
Abstract: パンルベ方程式やその一般化であるパンルベ性を持った 微分方程式や差分方程式は,近年, 可積分系や数理物理学の様々な分野に 出現している.

数学的にも,パンルベ方程式系の対称性であるベックルンド変換群 がアファインワイル群の構造をもったり, 方程式系がハミルトン系で書けたり 付随するτ関数が戸田方程式を満たす等, 多くの美しい 性質をもっている. また, そもそもパンルベ性とは何ぞやという基本的問いもある.

最近の岩崎氏と稲場氏との共同研究において, 確定特異点のみ をもつ線型方程式のモノドロミー保存変形の理論を, 安定放物接続のモジュライ空間の理論から代数幾何 的に定式化した. また, パンルベVI型やその一般化である ガルニエ系について, リーマン・ヒルベルト対応の 構造からそのパンルベ性の証明や, 対称性の起源について の幾何学的な解釈も可能になった. この共同研究の内容と最近の発展について出来るだけ わかりやすく紹介する.

 

 

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